市長所信表明演説(平成24年12月議会)

2012年12月7日

平成24年 第5回千曲市議会定例会における
岡田千曲市長 所信表明演説

平成24年12月6日

〇はじめに
 私は、近藤前市長の病気辞任に伴い、11月11日執行の市長選挙により千曲市長に就任いたしました。本日で25日が経過しましたが、就任した日が選挙日と同日であり、慌ただしく業務に追われる毎日でありました。ようやくここにきて落ち着きを取り戻したように思いますが、職員時代と異なり、責任の重さをひしひしと感じているところであります。
 12月定例会の冒頭ではありますが、お時間をいただき、市長就任にあたり、私の市政経営の基本方針について申し上げ、市民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

〇市政経営の基本方針

 私は、市政を進めていく上で、六つの基本的な考えのもと市政を経営してまいりたいと存じます。

◆第一には、市内経済の活性化であります。

 市内経済の活性化は、選挙期間中、私の最大の主張として、市民皆様に強く訴えてきた事項であり、元気な千曲市を実現するためのキーワードであると認識しております。
 千曲市の人口は、年々減少を続けており、合併時の人口は約65,000人でありましたが、現在は約62,000人と3,000人が減少しています。市の総合計画の人口推計でも、この傾向は今後も続くと想定されているところであります。
 特に、千曲市の高齢化率は、28.6%と県下19市中5番目に高く高齢化は急ピッチで進んでいます。一方、合計特殊出生率は1.35と全国平均の1.39を下回っており、少子高齢化の進行速度が速く、都市としての活力に大きな影響を与える状況にあります。
 一方、若者の就業状況を見ますと、市外に流出する若者が多く、千曲市で生まれ育ち千曲市で働く若者の人口がなかなか増えないという現実も直視しなくてはなりません。
子供を生み、莫大な費用をかけて育て、市の税金を投入して教育し、ようやくこれから働いて家計を助け、税金を納めていただけるようになった時期に大都市に就職し、定年を迎え故郷の千曲市に帰ってくるとしたら、どうでしょう。千曲市は教育費と社会保障費を負担するだけになってしまわないのか。もっと大事なのは、子供達が大都市に就職することで、各家庭はいずれ老老介護あるいは一人暮らしのお年寄りが増えることにも繋がり、地域社会の活力が失われてしまわないか心配をするところであります。
○企業誘致と雇用の確保
 まずは、人口減少にどう歯止めをかけるのか、そして、企業を誘致し地域経済をどう活性化させるのか、極めて大きなテーマであると考えています。
若者の流出を抑制するためには、まずは雇用の確保であり、若者が学んだ知識と経験が活かせるような産業をなんとしても誘致しなければなりません。
 市としても積極的に行動するために関東・関西圏などの産業立地の動向について、情報収集する体制づくりが急務であります。
 私は、まず、具体的な第一歩として、首都圏に職員を派遣し、この任に当たらせたいと考えています。
 また、既存企業を支援するための施策も重要です。行政に何を求めているのか徹底した実態調査を行うとともに、これまで9,000平方メートル以上の敷地を有する大規模な製造業の工場は、緑地や環境施設の面積率について、工場立地法により規制されていましたが、面積率を緩和することにより、工場敷地の有効利用を図るなど、行政ができる最大限の支援をしていかなければなりません。
 そのためには、組織を見直し、職員体制の充実を図ることが必要です。
○商業の活性化
 これまでも様々な施策を進めてきましたが、長野、上田という大きな商圏に飲み込まれ、なかなか活性化が図れないのが実態であります。私は、商店街を再生するため、国が示すコンパクトシティの理念を活かし、土地の高度利用による「まちなか居住」を進めたいと考えています。
 つまり、長野、上田間の中間に位置する地の利を活かし、中心商店街に居住環境を整え、夜間人口を増やすことで、街中の人口を増加させ購買力を高める努力をして参ります。
 また、街が活性化するためには、交流人口の増加が不可欠です。ヒト、モノ、カネ、情報が集まる仕組みが必要であり、商店街の皆様と協働して、様々なイベントを恒常的に開催していく努力も欠かせません。
 一例ではありますが、今月22日に、飲食店等の空き時間を活用して様々な人が集う「まちコン」をモデル的に開催いたします。今後は、商店街活性化に向けた「まちなか再生会議」を設立し、商店街の皆様とともに活性化に向けた具体的な行動を起こしていきたいと考えています。
○農業の活性化
 千曲市は、年間降雨量が900ミリ前後と果樹や花卉の生産に極めて適した条件を備えています。しかし、農業者の高齢化や後継者不足は深刻であり、農業の再生には極めて困難な状況があります。これまで、市でも様々な支援をして参りましたが、いずれも根本的な解決策に繋がっておらず深刻な状況が継続しています。
 私は、農業の再生には、りんごやあんず、トルコギキョウなどの千曲市の特産品を市場で高く売る努力が必要だと思っています。収益が上がる農業であれば、後継者も出てきますし、荒廃農地も減少します。
 一例ではありますが、まず販路の拡大が必要であり、特に海外を見据えた販売ルートの展開や農産物の六次産業化、ネットマーケット等の推進も真剣に考えていかなくてはならないと思っています。
 海外展開のための方策はこれからでありますが、経済成長の著しい中国などへの輸出が可能かなど、行政として支援できる様々な努力をして参ります。
 地産地消については、地元で採れた農産物の購入者にポイントを付与し、消費者も農地の守り手であるという意識付けを行う地産地消の「ファームマイレージ推進事業」の導入も検討してみたいと考えています。
 また、私も驚いたのですが、千曲市の空き家の数は何と3,500棟あまり存在しており、防災や防犯の面でも大きな課題であると認識しています。こうした空き家は、都会に住む皆さんの移住先にならないのか、十分検討しながら、空き家が都市と農村の交流の場のきっかけとなり、遊休農地の活用策などにも活かせないか研究が必要と考えています。
○観光産業の活性化
 千曲市には、素晴らしい観光地が沢山あります。しかし、十分活かされているのかと言えば疑問もあります。観光の定義は、「日常暮らしている環境と異なる空間を求めて人々が行動すること」であると、私は考えています。
 こうした観点から、千曲市の観光を考えた時、千曲市そのものを観光地としなければならないと思っています。あんずの里や姨捨棚田・田毎の月など全国に誇れる観光地をもっともっと全国に宣伝していかなくてはなりません。
 しかし、あんず観光は季節的に観光地となるものであり、棚田は耕作している農地であります。通年の観光地になり得る資産を再発掘していくことも必要です。その一つに、市の名前の由来である「千曲川」を新たな観光地に組み入れられないか検討してみたいと考えています。
 以前、市議会でも論議されたこともありますが、私は、広域観光の一つとして、千曲川の上流から千曲市までの間を「千曲川王国」として各市町村に呼び掛け、流域市町村が協力しながら、 母なる大河を長野県観光の一つに位置付けていくことが、市の名前に「千曲」を使った千曲市の役割ではないかと思っています。
 戸倉上山田温泉は、戸倉温泉が開湯120年、上山田温泉が開湯110年を迎えますが、宿泊・日帰り利用者は、ピーク時の半分以下という極めて厳しい状況にあり、誘客のための具体的な仕掛けをきちんとしていかなくてはならないと考えています。
 そこで、観光事業者の皆様が、どういう戦略を持って経営をされているのか、行政として何が支援できるのか、もう一度考えていかなくてはならないと思っています。そして、最も大切なのは、観光事業者の皆様お一人おひとりが、戸倉上山田温泉全体の経営者であることを認識され、一丸となって誘客に努めていくことが必要であり、行政としても支援をしていきたいと思っています。
 また、我が国の人口が減少する中で、誘客人口の底辺を増やすためにも、インバウンド観光が大事であり、東アジアを中心とした海外からの誘客にも果敢に挑戦していかなくてはなりません。
 スポーツ・ツーリズムについては、県内に4つあるプロスポーツの内、千曲市はバスケットボールの信州ブレイブウォリアーズのホームタウンであり、スポーツ観光都市として、プロチームと協働した誘客活動にも力を入れて参ります。
 いずれにしても、工業、商業、農業など市内のすべての産業を活性化することで、元気な千曲市をつくって参りたいと考えています。

◆二つ目は、安全安心のまちづくりであります。
 地域医療の確保は、医師不足の中で大きな社会問題となりました。千曲市でも高度医療の確保など一次救急から三次救急までの総合的な医療体制の整備を進めなくてはなりません。特に市民の利用が大きい厚生連篠ノ井総合病院の改築や周産期医療に対する支援を進めて参ります。
 また、国民健康保険の一人当たりの1年間の医療費が2年連続で19市中ワースト2と高くなっているほか、生活保護世帯の医療扶助率は87.6%と極めて高いことから、市民の健康増進と医療費の伸びを抑えるためにも、特定健診の受診率を高め、予防と早期発見に努めて参ります。
 地域防災力の強化では、東日本大震災を教訓として、地域防災計画を見直すなど総合的な防災対策の再構築に取り組んできたところでありますが、引き続き地域の防災力の強化を図るほか、災害時に自力で避難することが困難な高齢者や障害者などの要援護者については、地域支援者との連携を図りながら、「何ができるのか」「何をしなければならないのか」、日常生活の中で一人ひとりの役割を再確認するため、防災講座などを通じて、引き続き災害に対する地域ネットワークを築いて参ります。
 学校教育では、耐震が不十分な東小学校の改築に続き、戸倉上山田中学校の改築に着手するほか、第一学校給食センター改築を進めます。また、子育て環境の整備やいじめ対策、不登校、発達障害児への支援、学力向上対策などにも積極的に対応していかなくてはなりません。
 社会教育では、稲荷山地区の皆様と十分協議し、「重要伝統的建造物群保存地区調査事業」を継続して実施して参ります。
 また、環境対策では、長野広域連合が千曲市に建設を予定しているごみ焼却施設は、地元のご理解をいただきながら早期に稼動できるよう進めるとともに、太陽光や小水力など再生可能エネルギーの積極的導入など、低炭素社会の構築にも努めて参ります。

◆三つ目は、市民と市がともに歩む市政であります。
 市民の声に耳を傾けることは、行政として当然であり、これからは市民と共に歩む市政を目指していかなくてはなりません。
 公共サービスに対する市民のニーズは、個々様々であり、画一化した公共サービスの提供だけでは限界があります。行政だけではまちづくりはできません。
 従来の公共サービスは、行政が管理的に提供する立場、市民は供給される立場でありました。しかし、市民のニーズは様々であり、画一的な公共サービスだけでは満足いただけない事象もみられます。
 こうした中で、消防団のように市民自身やNPOなどが主体となって公共的サービスを担う「新しい公共」の考え方が指摘されており、私としては、市民の皆様と十分協議しながら「市民と市の協働指針」を策定し、市民も公共サービスの担い手になっていただくための仕組みをつくって参ります。

◆四つ目は、市政を運営から経営に転換することであります。
 千曲市の税収は数年前まで、85億円程度ありましたが、現在は70億円代半ばであり、10億円も減少しています。また、平成26年度からは普通交付税の一本算定が始まり、平成30年度までに10億円程度減少する見込みであります。つまり数年前と比較すると20億円が減少する計算であります。
 一方、少子高齢化の影響により、社会保障費は確実に伸びており、歳入(経常的収入)が減り歳出(義務的経費)が増加する傾向が続くことになり、市財政は極めて厳しい状況におかれているといっても過言ではありません。
 このため、行政改革大綱・特別対策プランを定め、平成30年までに13億円の削減目標を立てておりますが、市民皆様に痛みを伴うものもあり、目標通りに進むのか極めて厳しい状況にあります。
 また、地方主権の時代を迎え、財源の裏付けがないまま権限移譲が進むなど、もはや地方自治体は国や県に頼れなくなってきております。
 こうした中で、今までのように歳出ばかりを議論するのではなく、歳入をどうやって確保するのか、徹底して無駄を省くことはもちろんですが、本気で考えていかなくてはなりません。
 市の組織機構も、前段で申し上げたように、市内経済活性化に向けた実働部隊となる組織改革も必要になるでしょう。従来の枠にとどまることなく、必要があれば、重要課題には民間からの人材登用も考えていかなくてはなりません。
 少子高齢化で伸び続ける医療費や社会保障費などの抑制のための施策を進める一方、地域経済の活性化や産業の誘致で課税客体を増やし、税収を上げ、増え続ける社会保障費や教育の充実に充てていかなくては、十分な行政サービスの提供ができなくなる恐れがあります。
 市政は、もはや運営ではなく経営の時代に入ったといっても過言ではありません。投資するところにはしっかりと投資し、投資した財源は何倍にもして確実に歳入として還元できるような施策を進めていかなくてはなりません。
 その上で、福祉や医療、教育、環境、安全安心なまちづくりなどに財源を回すことで、今まで以上の行政サービスを提供することができるものと考えています。

◆五つ目は、合併の総仕上げであります。
 千曲市は来年で合併10周年を迎えます。昨年の東日本大震災が起因となり、合併特例債の発行期間が5年間延長されたことにより、合併時の約束事項を再検証するとともに、残された課題に対応していかなくてはなりません。
 特に、大規模事業であります戸倉上山田中学校の改築や新庁舎の建設、白鳥園の改築、保育所の計画的改築など大型事業にも手をつけることが可能になり、市民合意を得ながら着実に進めて参りたいと考えています。
 合併後、市民の一体感は大きく進んだものの、まだまだすべての壁が取り払われたわけではありません。市民の融和に向けて、様々な機会をつくりながら交流を進め、一体感の醸成を引き続き進めて参ります。

◆六つ目は、新幹線新駅誘致であります。
 新駅誘致については、市長選挙で一つの争点でもありました。私も、皆さんと懇談をいたしましたが「新駅なんて出来っこない」とか「駅間距離が短い」、「停車本数が数本だ」という意見の一方、新駅は千曲市の「経済を活性化する手段として重要だ」という意見など、様々な意見をいただきました。
 ご承知のように、新駅誘致は今に始まった課題ではなく、これまでも長い時間をかけて議会でも論議が繰り返されてきました。
 新幹線新駅は、市の将来や市内経済の発展にとって、子や孫の世代に本当に必要ないのか、経済効果はどうなのか、集客力はどうなのか、観光面での影響はどうなのか、もっともっと考えなくてはなりません。将来に禍根を残さないためにもしっかりとした検証が必要であります。
 過日、市長就任のあいさつで県知事を訪問し、その際にも新幹線新駅について意見交換をいたしました。知事は担当部局と相談してほしいとのことでありましたが、新駅の必要性には一定の理解を示していただいたのではないかと思っています。
 私自身、選挙期間中、市民の皆様には、(1)まず、現在県が策定中の「長野県新総合交通ビジョン」(15年先を見越した長野県の交通体系のあり方)に新駅を位置付けていただくこと。(2)市民の皆様に新駅について十分説明した上で、市民間での論議を深めていただくこと。を提案して参りました。今後もそのような方向で取り組んで参りたいと思っています。

おわりに
 以上、私の所信を申し上げましたが、これらは私の市政への思いの一端を申し上げたものであり、より具体的な施策については3月市議会定例会での施政方針の際に申し上げさせていただきたいと存じます。
 いずれにしても、私は、市民との合意形成を重視する「庶民派市長」として、千曲市が長野・上田間の中間都市と言われないよう、元気な千曲市、存在感のある千曲市を目指して、頑張って参る所存であります。
 議員各位並びに市民皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。
ありがとうございました。

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