名勝「姨捨(田毎の月)」(おばすて たごとのつき)

2015年6月8日

所在地 : 長野県千曲市大字八幡

指 定 : 平成11年5月10日 名勝に指定

面 積 : 名勝指定地67,692.01平方メートル

 

 

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 姨捨の棚田は、我が国で初めて文化財指定を受けた農耕地、棚田が織り成す文化的景観です。棚田は、冠着山(かむりきやま 1,252m)や三峰山(みつみねさん 1,131m)などを中心とする聖山高原(ひじりやまこうげん)を背に善光寺平(ぜんこうじだいら)を一望する標高460mから560mに至る面積約40ha、約1,500枚の棚田が残っています。16世紀半ばから造られていった棚田は、特に江戸時代には文学・絵画の題材に取り上げられるなど、文化的景観の優れたものとして指定を受けたものです。

 姨捨は、『古今和歌集』(905年)に初めて「姨捨山の月」と歌に詠まれ、また『大和物語』(956年)にみられる棄老説話等、古くから月の名所として数々の歌が詠まれてきました。狂言本『木賊(とくさ)』(1578年)には、姨捨の田毎の月が初めて登場し、江戸時代になると棚田開発が大きく進展するのに伴って、姨捨山だけでなく棚田も俳諧や紀行文の題材として注目されるようになりました。

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 貞亨5年(1688年)には松尾芭蕉の来遊もあり、また「冠着山・更級川・姨石(おばいし)・姪石(めいし)・甥石(おいし)・小袋石(こぶくろいし)」など、姨捨を構成する13か所の風景や事物を描いた「放光院長楽寺十三景之図」(『善光寺道名所図会』所収)、あるいは観月の名所としての姨捨の棚田を情緒深く描く「信濃更級田毎月鏡台山」(歌川広重『六十余州名所図会』所収)などにより、「姨捨の田毎の月」はさらに広く知られるようになりました。

 このような、歴史文化的な姨捨「田毎の月」の景観を保護するために、姨石や芭蕉の句碑などが残る長楽寺一帯と、そこから望まれる四十八枚田、姪石を展望地点としてそこから望むことの可能な棚田地域、追加指定の上姪石地域の4地区を、それぞれ名勝に指定して保存を図るものです。

 

長楽寺地区(4,945.07平方メートル)


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 姨捨山放光院長楽寺は「信濃三十三番観音霊場」の十四番に数えられ、境内の巨大な凝灰角礫岩の「姨石(おばいし)」を中心に、その隣に本尊「聖観世音菩薩」が納められた「観音堂」がある。また、山門を入ったところに「芭蕉翁面影塚」の句碑や「観月堂」、千曲市指定天然記念物「長楽寺の桂の木」がある。さらに、本堂・月見殿の堂宇や、境内には面影塚のほかに57基の句碑等があり、古くから観月の名所となっている。江戸時代には、長楽寺周辺の景色や事物を「姨捨十三景」と紹介していた。

 また、長楽寺北西の姨捨集落内に、姨石と同じ凝灰角礫岩の「甥石(おいし)」があり、姨捨十三景の一つに数えられている。

四十八枚田地区(3,039.00平方メートル)


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 小字「月見田」にあり、西行法師が阿弥陀仏四十八願にちなんで「四十八枚田」と名づけたと伝えられている。

 長楽寺所有田で、宝永3年(1706年)の銘がある石仏「田毎観音」があり、四十八枚田保存会により維持管理されている。また、道沿いに「芭蕉更級紀行250年記念」や「大観月会」の句碑19基、姨捨十三景に数えられる凝灰角礫岩の「小袋石(こぶくろいし)」がある。

姪石地区(26,207.27平方メートル)


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 通称「一本松街道」沿いの小字「姪石(めいし)・上姪石(かみめいし)・判官塚(はんがんづか)」にあり、姨石と同じ凝灰角礫岩の「姪石」がある。耕作放棄され荒廃化していたが、平成7年県営ふるさと水と土保全モデル事業により復田整備され、「棚田貸します制度」によって耕作が続けられている。

上姪石地区(33,087.04平方メートル)


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 長楽寺境内地区と姪石地区の間に位置しており、棚田を中心に更級川までの一帯が、平成18年に追加指定された。姪石地区の上部にある上姪石地区は、旧来の区画のまま土地所有者によって耕作が継続されているが、耕作条件の悪さや後継者不足等が課題である。

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