市長所信表明演説(平成28年12月議会)

2017年6月7日

 

平成28年第5回(12月)千曲市議会定例会 

 

所 信 表 明

 

 

平成28年11月30日

 

 

1 はじめに

 私は、去る1030日執行の千曲市長選挙におきまして、多くの市民の皆様から、温かい、また力強いご支援を得て、引き続き市政を担当させていただくことになりました。

 改めて市長という責任の重さを自覚し、市民の皆様の期待に応えるべく、微力ながら持てる力を傾注し、その任に当たる覚悟でございます。

 12月定例会の冒頭ではありますが、お時間をいただき、市長就任にあたり、「市政を担当する基本的な考え方」について申し上げ、市民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

 

2 政治信条

 はじめに、私の政治信条について申し上げます。これまでの4年間もそうでありましたが、基本的な姿勢としては、主権者である「市民と共に歩む市政の推進」を基本としてまいりました。

 多様化する市民の意見を一つにまとめていくことは、極めて難しいことではありますが、引き続き、しっかりと説明責任を果たしながら、時間がかかっても前進していく「市政経営」を目指してまいります。

 また、これまでの取り組みの成果として、過去になく多くの市民団体が自主的にサークルをつくり活動されております。そして、行政においても、主要事業の推進に当たっては、ワークショップをはじめ、市民主体の委員会や協議会、実行委員会、パブリックコメントによる意見聴取など、その都度、出来るだけ多く、市民の皆様の意見をお聞きするよう努めてきたところであります。

 まちづくりは、まさに、千曲市という都市そのものの魅力や地域資源を活かして、市民と議会、行政が一丸となって、千曲市の安心・安全を含めた全体のレベルアップを図っていくことが必要と考えています。

 

 

3 千曲市の課題

1)人口減少と高齢化

 平成27年国勢調査では、千曲市の総人口は60,298人と前回の平成22年調査に比べると1,770人減少(2.9%減)しています。

 また、65歳以上の高齢者の割合は、前回調査より4.0ポイント上昇し31.4%と、全国平均26.6%や長野県平均30.1%を大きく上回る結果でありました。

 一方、15歳未満の割合は12.3%と、前回調査より1.1ポイント低下しており、人口減少と少子高齢化が一層進んでいる状況がわかります。

 こうした中で、2025年には、65才以上人口の5人に1人が「認知症」になるとされており、私たちがこれまで経験したことのない社会が訪れようとしています。

今でも、「認知症患者」を抱える家庭では、家庭崩壊も懸念される状況にあるケースも多く、大きな社会問題となっています。こうした家庭が今後ますます増え続けることは、セーフティーネットを担当する市行政においては、極めて重大な課題と思っています。

 

2)地 価

 平成28年の地価調査では、千曲市の「住宅地」「商業地」「工業地」、合わせて10地点のうち、ほとんどの地点で下落しています。

 平成17年当時の価格と比較すると、住宅地が約32%の下落、商業地と工業地がともに約44%下落しており、結果として、市の基幹税目であり、主要財源である固定資産税にも大きく影響しています。地価の下落にブレーキをかけていくことも行政の大きな課題であります。

 

3)商業力

 平成27年の長野県商圏調査において、居住する市町村(平成15831日現在の旧市町村単位を基準)内で買い物をする世帯の割合を示す「地元滞留率」を見ると、旧更埴市では49.2%。合併前の長野市は93.2%、合併前の上田市は91.5%であり、両市は地元で買い物をする市民の割合が高いことがわかります。

 また、「他市町村からの流入人口の割合」を示す「吸引力係数」では、旧更埴市は0.713と、合併前の長野市の1.243、合併前の上田市の1.456に比べて極めて低く、残念ながら千曲市の地域経済は「低い状態」が続いていると言わざるをえません。

 

 以上3点、当面する大きな課題等について申し上げましたが、行政を経営する観点から申し上げますと、少子高齢化の進行、地価の下落、商業の衰退、地域経済の停滞、空き家の増加などに対して、効果的な対策をどう打ち出していくのかが、今後、問われていると認識しています。

 

 

4 課題解決に向けた方針

 大きな課題について申し上げましたが、これらの課題に対応していくための考え方について申し上げます。

 

○千曲市の立地条件を見ると、県民人口の約6割に当たる117万人が時間距離1時間の中に定住しており、言い換えれば、その「真ん中」に位置するのが千曲市といえます。

 

○千曲市は、高速道路が2本、国道18号、しなの鉄道、新幹線などが走っており、人が集まれる位置にあります。つまり、アイデアや工夫次第で、多くの皆様が千曲市に来ていただけるような環境をつくり、交流人口を増やし地域経済を元気にしていかなくてはなりません。

 

○また、人口減少と少子化は、経済の衰退と共に市財政の悪化をも招くことにもなります。前段でも申し上げましたが、超高齢社会は、30年或いは40年といった長期間にわたって支え続けていかなくてはなりません。まずは、地域経済に活力を与え、市の財政力を高め、超高齢社会に備えていくことが求められています。

 

○千曲市では、今「観光地域づくり」として、新たな観光推進組織「千曲市版DMO」の推進に取り組んでいます。この「千曲市版DMO」は、これまでのような観光関係者だけの組織ではなく、千曲市全体を「観光という視点」でとらえ、多くのお客様に千曲市に来ていただき、市内を巡り交流することで、市内全産業の活性化を図ろうとする組織でもあります。

 

○少子高齢化の中で、交流人口の増加策は、千曲市の生き残りをかけた施策でもあり、しっかりと進めてまいります。

 

 

 

5 まちづくりの「カタチ」4つのエリアから!

 

 千曲市の都市構造の在り方について、私の考え方を申し上げます。

 

 (1)第一は、人・物が出会い行き交う交通の要衝の地「埴科エリア」

  市域の東部地域は、高速道路が2本走り、新幹線やしなの鉄道など交通網が集中している地域であり、土地利用上も千曲市発展のための戦略には欠くことのできない地域といえます。

  最近では、大型商業施設や大規模物流センターの進出計画が幾つか浮上しており、まさに千曲市は、県内の新拠点としての位置付けがされようとしています。

  また、この地域は、既に、県の「新総合交通ビジョン」でも、広域交流拠点として、長野県の発展にも大きく貢献するエリアとされています。

  特に、新幹線新駅誘致は、県内の市長、議長全員が賛同したほか、篠ノ井や松代地区の住民自治協議会も賛同するなど、過去にない誘致環境が整ってまいりました。

  スケジュール的にも誘致するかしないかを含め、今後2~3年の間で結論を出して行きたいと考えています。

  大型商業施設やスマートインターチェンジ、新駅などの誘致を進め、千曲市が長野県内における「人や物の出入り口の玄関(ゲートシィティー)」としての役割を果たしていきたいと考えています。

 

 (2)第二は歴史と文化が連なる「さらしなエリア」 

  西部地域は、スーパーブランドの「さらしな」として、古来より内外にその存在感を示してきました。ご承知のように「稲荷山の重要伝統的建造物群」や「名勝姨捨の棚田」、「名月の田毎の月」、「民話のさらしな」など、歴史文化がギュッと詰まった地域であります。

  そんな「さらしな地域」を含む千曲市では、本年5月、第一弾として「地域固有の歴史や伝統があり歴史的価値の高い地域」を選定する「歴史的風致維持向上計画」の認定を国から受けることが出来ました。

  今後は、第二弾として「姨捨の棚田」を中心とした一帯を「日本遺産」として認定していただくよう、目下、準備を進めているところであります。

  また、来年5月からは、姨捨駅にJR東日本の超豪華寝台列車トランスィート「四季島」が停車。スーパーブランド「さらしな」を全国にPRする絶好の機会であり、歴史文化の拠点として整備してまいります。

 

 (3)温泉・スポーツ・健康長寿の「南部エリア」

  市域の南部地域は、戸倉創造館、白鳥園、サッカー場、戸倉体育館、県民グラウンド、テニスコート、マレットゴルフコースのほか、戸倉上山田温泉や上山田文化会館などが集積する地域であります。まさに一帯は、「スポーツ・健康・長寿・温泉」のエリアとして整備をする地域であります。

  また、戸倉上山田温泉は、情緒あふれる「さらしな温泉郷」のイメージを意識した温泉街の形成に努め、非日常的異空間を創出していくことが、これからは求められるものと考えています。

 

 (4)自然と水辺に親しむ「千曲川エリア」

  幅500メートルの大河「千曲川」は、「埴科エリア」と「さらしなエリア」「南部エリア」のまん中に位置し、各エリアを結ぶエリアでもあります。

  千曲川は、生態系や自然環境を保全するとともに、河川敷のスポーツ施設やサイクリングロード等を整備することで、アウトドア体験や市内観光へ誘導する出発点として位置づけ整備する地域といえます。

 

 (5)各エリアの連携

  特色ある各エリアの連携として、集客力の強い「埴科エリア」からスーパーブランドの「さらしなエリア」、スポーツ・健康・長寿・温泉の「南部エリア」に人の流れを向けることで、商店街や温泉などの観光地に人を流し、地域経済の活力を向上させるなど、各エリアが、それぞれ連携することで、千曲市全体の発展に繋げてまいります。

 

 (6)千曲市を愛する千曲人づくり 

  都市づくりは人づくりとも言われています。すべてのエリアに千曲市を愛する市民が暮らしており、「千曲人(チクマビト)」として、より安心安全で快適な暮らしが営むことが出来るよう、様々な取組みを展開してまいります。

 

 

6 具体的施策

 今、国を挙げて、「地方創生」に取り組んでいますが、「地方創生」とは、まさに地域経済を活性化し、地方の経済力を高めることにあると思っています。

 その一つとなる企業誘致などは、全国の自治体が競っており、大変厳しい中で、担当の部局には、相当頑張っていただいていると思っています。

 千曲市は、ご承知のとおり、交通の集積地であり、今、大型商業施設や物流施設など、過去になく大きな企業の進出計画が浮上しており、県下の他市に比べても、企業進出の優位性は明らかになりつつあります。

 地方創生が叫ばれる中で、地域経済を活性化させ、財政力を豊かにしていく大きなチャンスを迎えていると言っても過言ではありません。

 こうした中で、私は、千曲市民一人ひとりの「幸せな将来」のため、そして、次世代に向けた具体的施策として、次の7つの政策に取り組んでまいります。

 

 (1)合併の総仕上げ

 ○「戸倉上山田中学校の改築」、「合併支援道路千曲線の整備」及び「新庁舎、新更埴体育館の改築」については、平成30年度末までの完成を目指してまいります。

 

 

 (2)安心安全な地域づくり

 ○東日本大震災や本年4月に発生した熊本地震による災害は、我が国に大きな被害をもたらしました。また、「首都直下地震」、「南海トラフ巨大地震」、更には「糸魚川静岡構造線断層帯地震」など、千曲市でも大規模地震の発生が危惧されております。

 

 ○特に、「糸魚川静岡構造線断層帯地震」は、政府の「地震調査委員会」の「全国地震動予測地図」によれば、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が千曲市では11.3%とされています。

 

 ○4月に震度72回記録した熊本地震では、2年前に発表された地震発生確率が7.8%でありましたので、千曲市で懸念されている「糸魚川静岡構造線断層帯地震」は、いつ発生してもおかしくない状況にあり、個人住宅や公共施設の耐震化など震災対策には、積極的に取り組んでまいります。

 

 

 (3)経済活性化、安定した雇用の創出

 ○元気な千曲市産業の創出は、若者の定住化、子どもを産み育てる環境の整備、福祉水準の確保など、市民生活の豊かさや健全な行財政運営につながることから、超少子高齢社会を支えるうえで、市政の重要な柱であり、地域産業の振興には、全力で取り組んでまいります。

 

 ○大型商業施設や物流センターなど進出を予定している企業と連携して、早期に進出計画を定着させ、併せて用地の確保など、進出を希望する企業を支援し、まちの賑わいや雇用の創出につなげてまいります。

 

 ○首都圏等の若者の中には、信州で農業をしたいという皆さんが多くいると考えられることから、新たな農業の担い手を確保するため、「農業の株式会社化」など、農業を職業として選択できる仕組みについて研究をしてまいります。

 

 

 (4)若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる、人口減少対策

 ○千曲市人口ビジョンでは、2040年の目標人口を50,000人と定めましたが、目標を達成するには、平成52年の合計特殊出生率を2.07(平成27年は1.59)とする必要があり、出生率を上げるための施策に取り組んでまいります。

 

 ○結婚、妊娠、出産、子育てに関する相談や情報提供、母親と子どもの健康づくり支援、仕事と家庭との両立支援など、総合的な子育て支援に取り組んでまいります。

 

 ○学校・家庭・地域等と連携した学校教育を充実させるとともに、国では、約6人に1人(16.3%)の子どもが「貧困状態」にあるとされており、「子どもの貧困対策」は喫緊の課題として取組んでいく必要があります。

 

 特に、20代の一人親世帯の貧困率が高いとされており、地域における「子ども食堂」の推進や教員OBによる「学習支援」などに取り組み、経済的な困窮が次世代に連鎖しないよう努めてまいります。

 

 

 (5)健康寿命を延ばし、高齢者・障がい者の社会参加を高める

 ○超高齢社会の中で、健康で暮らすためにも「健康寿命の延伸」を行政の大きな課題として取り組んでまいります。特に、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え「住まい」、「医療」、「介護」、「介護予防」、「生活支援」が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築に努めてまいります。

 

 ○我が国の認知症高齢者の数は、2012(平成24)年で462万人と推計されており、2025(平成37)年には約700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれています。

 

 過去に経験したことのない「認知症患者社会」にどう対応すべきか、どう受け止め支えていくべきか、なかなか難しい課題でありますが、行政としてしっかりとチャレンジしてまいります

 

 ○引き続き、障害のある人への「就労支援対策」や「社会のさまざまな分野への参加」を可能にする施策にも取組んでまいります。

 

 

 (6)住民参加型市政の推進

 ○合併して13年が経過し、市民同士のコミュニティの輪は大きく根付いてきました。現在では、約80にも及ぶ市民団体の方々が、自ら立ち上がり地域づくりに貢献しております。

 

 「市民参加型のワークショップ」、育児サークルやボランティア団体による「子育て支援」、地元高校生による「賑わい創出」、空き建物を活用した「移住・定住サポート」、「故郷の地名を活かして地域を盛り上げる取り組み」など多彩であります。

 

 「市民の力」は、千曲市を元気にする原動力であり、市民自ら新しい「コト」を創り上げようとする積極的な市民力をサポートしてまいります。

 

 

 (7)新たな計画策定と行財政改革で安定した市政経営

 ○現在、「第二次千曲市総合計画」を策定中ですが、限りある財源の中で、超高齢社会を支える財源をどう確保するのか大きな課題であり、今後とも議論していく必要があると認識しています。

 

 ○また、合併特例期間は、平成30年度をもって終了します。今後は「行政改革大綱」や「公共施設の再編」、「組織機構の見直し」など、一層の行財政改革を推進してまいります。

 

 

7 おわりに

 以上、私の市政経営に対する所信の一端を申し上げましたが、より具体的な施策については3月市議会定例会での「施政方針」の際に申し上げさせていただきます。

 いずれにいたしましても、2期目の4年間は、これまで以上に様々課題が山積し、極めて厳しい選択を迫られることもあると思いますが、困難な課題にもチャレンジしてまいります。

 特に、(1)しっかりと千曲市の未来のカタチをつくること (2)行政運営について説明責任を果たすとともに成果を重視し、結果を出していくこと (3)市民満足度を一層高めること―に力点を置き、市政を経営してまいります。

 

 議員各位をはじめ、市民の皆様には一層のご理解とご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

関連ワード

お問い合わせ

秘書広報課
電話:026-273-1111
ファクシミリ:026-273-1001