令和2年度施政方針演説(3月議会)

2020年2月25日

 

令和2年2月25日
令和2年第1回(2月) 千曲市議会定例会

 

 

 

【はじめに】

 

 令和2年度の一般会計予算案をはじめ、関連諸議案をご審議いただくに当たり、市政経営に対する所信の一端を申し述べ、あわせて、重点施策について説明いたします。

 

 昨年は、合併の総仕上げとも言える新市庁舎が7月に完成、92日に「開庁式」を行いました。令和という新しい時代とともに、千曲市の新たな一歩を踏み出すことができ、まちづくりもようやく次のステップに進めると思っておりました。しかし、1012日に台風19号が襲来し、千曲川の水位が氾濫危険水位5mを1.4m上回り6.4mに達したことで、霞堤からの逆流などにより歴史的な水害に見まわれました。

 

 被災直後から、職員とともに一丸となって復旧復興に全力で当たってまいりましたが、その工程はまだ道半ばである現在、今まさに、新たな脅威として「新型コロナウイルス」の感染拡大が世界中を混乱に陥れています。

 

 今月16日時点での厚生労働省の発表によれば、感染は世界28の国や地域に及び、感染者数は7万人を超えており、2003年に流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」の世界全体の感染者数8,096人を大きく超えています。中国の経済活動が事実上マヒ状態となっているため、世界経済に与える影響も懸念されており、中国に進出している市内企業でも対応に追われているものと思います。

 

 今のところ県内での感染は確認されておりませんが、市としても注意喚起と情報提供を継続するほか、感染させないための「咳エチケット」や手洗いなどの予防対策についても周知をしてまいります。

 

 

 

【令和2年度予算案の概要】

 

 次に、令和2年度当初予算案の概要について申し上げます。

 

 本市の財政状況につきましては、平成30年度決算において、合併の総仕上げによる大型事業の完了により将来財政を圧迫する可能性を示す「将来負担比率」は45.5%と、平成29年度の25.3%から20.2ポイント悪化し、この傾向はしばらく続くものと思われます。今後、「合併特例債」の償還に係る公債費が嵩むことや、「各種扶助費」等に係る社会保障費、また、「会計年度任用職員制度」による人件費など義務的経費の増加が見込まれ、さらに令和2年度は、台風19号関連の災害復旧・復興事業を最優先で行わなければならないことから、大変厳しい財政運営となります。

 

 こうした情勢を踏まえ、令和2年度の予算編成に当たりましては、災害復旧・復興を確実に成し遂げることを第1に捉え、先送りできる事業は後年度に先送りするとともに、将来の千曲市のために必要な事業は継続することを念頭に、前年度比8.8%増の2638千万円の予算編成としました。

 

 歳入のうち市税では、個人市民税及び宅地造成や企業の設備投資が堅調なことから固定資産税の増額が見込まれる一方、法人市民税の法人税割では税率改定に伴い、前年比約1億円減のとなり、市税全体では前年度とほぼ同額の742766千円を見込んでいます。

 

 また、普通交付税は、国が示す「地方財政対策」に基づき598千万円を、特別交付税は災害関連経費の増加に伴い73千万円を見込みました。なお、財源不足分については、財政調整基金から今年度と同額の5億円を繰入れることとしました。

 

 歳出については、「大西緑地公園」や「上山田中央緑地」、「更埴文化会館」などの災害復旧事業に約20億円を計上しました。台風19号災害に係る予算は、今議会に上程している7号補正を含めると総額で約80億円となり、その内、一般財源の充当額は、約12億円を見込んでいます。ただし、「激甚災害指定」による「補助率の嵩上げ」や「市債の充当率の引上げ」等により一般財源の充当額は一定程度抑えられものと考えています。

 

 一方、災害以外にも、将来への投資となる、「屋代地区の開発」では、「一重山二号線関連事業」に着手するなど進出企業の確定に向けて事業を進めるほか、新たな「八幡東産業団地」についても地権者との協議を進め一定の方向付けをしてまいります。

 

 また、引き続き「子育て支援事業」や「健康寿命の延伸など福祉施策」の充実に努めるほか、交流人口の増加などにつながる「シティプロモーション」についても継続して取り組み、東京オリンピック、パラリンピックについては、ハンガリーのホストタウンとして、大使館の協力のもと選手団を千曲市にお迎えしたいと考えています。

 

 先に述べたとおり義務的経費は増嵩が続く現状であり、引き続き厳しい財政運営が予想されますが、平成16年度から着実に取り組んできている「行政改革」を一層前進させるべく、過去の取組みを検証しながら時代に即した「第5次行政改革大綱」を今年度中に策定してまいります。

 

 いずれにしても千曲市は、前段で申し上げたように、大きな課題を幾つも背負っており、市政経営にあたっては、市民との「協働」の理念に基づき「地域力」を高めながら、「オール千曲」「ONE CHIKUMA」として、住民福祉の向上に努め、市民満足度の高い千曲市の実現に向けて邁進してまいります。

 

 

 

【令和2年度重点施策】

 

 令和2年度は、次の7点を重点施策として進めてまいります。

 

 

 

『第1 台風19号災害の復旧・復興』

 

 重点施策の第1は「台風19号災害からの復旧・復興」であります。

 

 

(1)復旧・復興計画の策定

 

 これまで被災直後から被災者の「生活再建支援」や商工業者、農業者の「経営再建」に向けて様々な支援事業を進めてまいりました。しかし、災害からの復旧・復興には、一定の時間と大きな費用が必要になることから、災害に強いまちづくりのためのビジョンが重要であります。

 

 このため、先ごろパブリックコメントなどを通じて『千曲市「復旧」及び「復興」計画策定方針』を定め、現在「復旧計画」の素案、並びに「復興計画」の策定の準備を進めています。

 

 特に「復旧計画」は、被災者が通常の生活を一日でも早く取り戻すことや、インフラ等の復旧に当たっては、スピード感をもって対応することが重要であることから、3月末を目安に計画を策定し、順次事業を進めてまいります。

 

 また、「復興計画」は災害に強いまちづくりを念頭に、先人達が築き上げてきた地域基盤の回復や、希望が持てる未来と地域の魅力を強く創造していくことが求められていますので、中長期的な視点のもと、生活基盤である地域経済の再生や今回の災害による新たな課題への対応など、幅広い市民の意見や専門家の知見を活かした計画として、本年秋頃を目途に策定をしてまいります。

 

 

(2)防災・減災対策

 

 台風19号災害を教訓に、千曲川を含めた信濃川水系の治水対策を緊急に進めるため、昨年12月、国、県、すべての千曲川・犀川沿線市町村が参加して「信濃川水系緊急治水対策会議」が開催され、先月末に「緊急治水対策プロジェクト」が発表されました。

 

 プロジェクトでは、国直轄河川である千曲川をどのように強化していくのか、また、千曲川の支流である県管理の1級河川、市町村管理の河川について、それぞれの役割を明確にし対策を実行するとしています。

 

 国では、千曲川本川の河道掘削をはじめ堤防の整備・強化など、洪水流下断面の拡大や遊水地等の整備による洪水調整機能の強化などを行なうことにしています。

 

 また、県では県管理の河川の堤防補強・強化等を行い、市町村は、開発行為における調整池や地下浸透桝の整備、公共施設等への雨水貯留槽の整備などにより、支流への雨水排水の流入を極力遅らすことで、短時間での千曲川への流入を抑制することを目指すことにしています。

 

 こうした対策は、今後5年間で集中的に進めるとしていますが、千曲市としては、「千曲川杭瀬下水位観測所」における氾濫危険水位である5mに到達させないことが最も重要であると考えています。

 

 このため、国、県に対しては「河道掘削による河道整備の実施」、「堤防の嵩上げや補強等による堤防強化」、「遊水地機能の確保」、「被災した低水護岸の早期復旧」などを、早期に実施するよう引き続き強く要望してまいります。

 

 一方、市では千曲川を含む浸水被害が発生した河川等について、専門家により河川の増水状況や浸水の広がり方などを解析、検証のうえ、霞堤の影響なども含めた災害のメカニズムを明らかにし、国や県に示すことで今後の治水対策に活かしてまいります。

 

 また被災時には、千曲市でも避難の在り方や避難行動要支援者への支援、避難所の開設、運営などで混乱が生じました。災害発生時には「平常時に準備している以上のことはできない」との指摘もあり、ソフト対策として被災された皆様や関係者からご意見をいただきながら、防災訓練の強化とともに地域防災計画や防災ガイドブック、ハザードマップの見直しに着手してまいります。

 

 さらに、防災と減災を実現するには、地域の絆や助け合いなどコミュニティの形成が重要な鍵となることから、各地域での防災・減災の教育や訓練など、市民活動を活発にして「地域防災力」を高める取り組みが必要であり、市として必要な支援をしてまいります。

 

 加えて、市民の皆様には、災害時に取るべき行動を事前に明確にしておく「マイ・タイムライン」を作成していただけるよう講習会等を開催するなど、働きかけを強めてまいります。

 

 

(3)公共施設の復旧

 

 「杭瀬下保育園」は応急工事が完了しており、今後、仮設園舎を建設するとともに復旧工事に着手しますが、併せて不足している耐震化工事も行ってまいります。

 

 「雨宮保育園」については、現在の場所は安全性に欠けており、また、あんず・雨宮統合保育園の開園を令和44月に予定していることから、現地での復旧は断念しました。統合保育園開園までの間、保護者や子どもたちに負担をかけることなく、より良い環境で保育ができるよう、仮設園舎建設等について国、県と協議してまいりましたが、このほど協議が整いましたので、仮設園舎建設に向けて地元や保護者との調整を進めてまいります。

 

 また、統合保育園の建設事業については、新年度前半に用地取得を行い、年度後半には建設工事に着手したいと考えており、災害復旧に併せてできる限り進捗を早めるよう努めてまいります。

 

 「更埴子育て支援センター」については、被災後から「ことぶきアリーナ千曲」の柔道場で平日に「出張子育てひろば」を開催していますが、利用者からの要望もあり、5月には復旧工事を完了させる予定であります。

 

 「更埴デイサービスセンター」については、令和2年度中に建物を復旧し、令和3年度の早い時期に再開したいと考えています。

 

 被害が大きかった「更埴文化会館」については、現在、復旧工事に向けた調査・設計の発注業務を進めておりますが、国の災害査定は、現在のところ未定の状況にあります。復旧には多額の費用と時間を要することから、国庫補助や起債等の財源を確保しながら、一日も早い再開に向けて復旧工事に入れるよう努めてまいります。

 

 なお、併設する「更埴図書館」は、多くの皆様からのご支援をいただき、115日に再開することができました。更埴文化会館と共用している空調設備等が未復旧のためご不便をおかけしておりますが、再開からひと月が経過し、来館者はほぼ例年並みに戻っています。完全復旧に向けて努力してまいります。

 

 一方、壊滅的な被害を受けた「河川敷内の都市公園」については、先月災害査定が終了したため、現在、復旧工事に向けた準備を進めています。被災規模も甚大であり復旧には相当の期間を要する見込みでありますが、多くの市民が利用し、観光誘客にも重要な役割を果たしている公園施設でありますので、出来る限り早期の復旧を目指してまいります。

 

 

(4)地球温暖化対策

 

 台風19号など地球温暖化に起因する気候変動は、今や人類共通の課題となっています。

 

 県では、昨年12月に「気候非常事態宣言-2050ゼロカーボンへの決意-」を宣言し、2050年には県内の二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを表明しました。そして、市議会においても昨年の12月定例会で「気候非常事態に関する決議(案)」が全会一致で可決。市において「気候非常事態宣言」をするよう要請をいただきました。

 

 市としても県に賛同するとともに、市議会のご要請を重く受け止め、先ほど「千曲市気候非常事態宣言」を行ったところであります。

 

 今後とも、「脱炭素社会」実現に向けて市民とともに取り組みをスタートさせたいと考えていますが、まずはその一つとして、千曲市に設置されている6,400基ほどの防犯灯のうち、LED化されていない87%の防犯灯をリース方式で一斉にLED化する事業に着手し、脱炭素社会の実現に努めてまいります。

 

 また、今回の台風災害を踏まえ、治水対策や水資源の活用にも有効な、「雨水貯留施設」の設置者に対する補助制度をスタートさせます。この制度は個人や事業者を対象に、雨水を貯める貯留施設を設置した場合に補助金を交付する事業であり、千曲市では平成17年度まで実施していた制度を復活、拡充するものであります。

 

 地球温暖化は、国をあげて取り組まなくてはなりませんが、市としては、市民とともに一丸となって省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入、焼却ゴミの減量、森林の適正管理など出来うる対策を進め、県と共に脱炭素社会の実現を目指してまいりたいと思います。

 

 

 

『第2産業の振興』

 

 重点施策の第2は「産業の振興」であります。

 

 

(1)屋代地区の大規模開発事業

 

 平成28年度から検討に着手した「屋代地区上信越自動車道西側35haの開発事業」については、これまで企業誘致やまちづくりなど、様々な角度から開発の課題解決と事業化に向けた検討をしてまいりました。

 

 その結果、農地規制の除外は「農村産業法」の適応を受け、「商業系業種」でも農地規制の除外が可能となったことから「千曲市実施計画」の策定を進めています。

 

 また、上信越自動車道への「屋代スマートインターチェンジ」については、建設予定地の軟弱地盤解析や概算工事費の算出を進めており、引き続き県、国、ネクスコ東日本との協議を進め、早期に国の事業採択が受けられるよう取り組んでまいります。

 

 さらに、開発に伴う企業誘致に欠くことのできない開発予定地内の道路整備については、市道「一重山二号線」を4車線道路として整備に着手してまいります。

 

 この道路は、雨宮のJAあんず店の「屋代工業団地南」交差点から、県立歴史館前の「県道白石千曲線」までの開発予定地の南北を縦断する総延長約1.4キロメートルの道路であり、前段申し上げた「屋代スマートインターチェンジ」の接続道路にもなります。

 

 また、交通渋滞対策として「一重山二号線」と国道18号線を結ぶ県道を含む南北の関連道路網の整備についても、県と協議しながら事業化できるよう努めてまいります。

 

 こうした条件を示すことで、年度内にも進出予定企業が確定できるよう努め、開発面積35ha全体の計画を明確にしてまいりたいと思っています。

 

 

(2)雨宮産業団地造成事業

 

 昨年5月からダイワハウス工業が造成工事に着手しており、予定では今年5月までに造成が完了する計画でしたが、台風19号による被害を受けて造成高の見直しが検討されていることから、造成完了時期が計画より若干遅れる見通しとなっています。市といたしましても、円滑に事業が推進できるよう引き続き支援をしてまいります。

 

 

(3)八幡東産業団地造成事業

 

 かねてから、市が誘致をしてまいりました大手企業から、大字八幡字蛭坪、字中川原地籍約9.5haに大規模な工場を建設したいとの意向が示されました。

 

 この提案は、地域の雇用拡大や地域経済の活性化につながるだけでなく、全県の防災拠点になりうる施設の建設も含まれるため、防災という観点からも極めて公共性の高い地域貢献が期待できます。

 

 このため、市も立地にあたり、用地取得などを積極的に支援する「公民連携事業」に位置付け、「八幡東産業団地造成事業」として取り組んでまいります。

 

 

(4)市内企業等への支援

 

 市の融資制度利用状況は、昨年12月末時点で昨年度よりも件数では微増、貸出額では減少しています。これは、金融機関のプロパー融資が相手先によっては制度資金の金利を下回るケースが増えていることが一つの要因と考えられます。こうした中、平成26年度に創設した「設備投資特別資金」は使い勝手が良く、企業側のニーズもますます増えていることから、運用期間を延長して令和2年度も継続し、企業側の資金調達を支援します。

 

 昨年は、消費税率が10%に引上げられたことに伴い、プレミアム商品券の取組み、キャッシュレス決済の推進など、小売事業者の皆さんを取り巻く様々な仕組みが変わったことにより、きめ細かな対応に追われた年でした。市としましても、引き続き商工団体等と連携し、小売事業者の皆様を支援してまいります。

 

 

 

『第3 子育て支援の推進』

 

 重点施策の第3は「子育て支援の推進」であります。 

 

 少子高齢社会の中、千曲市の人口は、自然動態では減少が続いていますが、本年11日現在、転入と転出を比較する「社会増減」が、平成28年から令和元年までの4年間、連続してプラスになったほか、合計特殊出生率も上昇基調にあり、人口は59,100人と千曲市人口ビジョンの目標数を上回っています。

 

 こうした傾向は、子育て支援策として「49の市独自の事業」を含む「93の子育て支援事業」を中心に、これまでの取り組みの成果が出てきたものと思っています。

 

 今後は、令和2年度を初年度とする「第2期子ども・子育て支援事業計画」に基づき、これまでも取り組んできた幼児期の教育・保育の環境や放課後児童クラブ、病児・病後児保育事業、子育て短期支援事業などの各種施策をより充実させてまいります。

 

 婚活事業では、昨年度から始めた結婚新生活支援事業や連携中枢都市圏結婚支援事業など、引き続き、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる施策に取り組んでまいります。

 

 また、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援のため、今年度設置した「子育て世代包括支援センター」では、母子保健サービスと子育て支援サービスをより一体的に提供できるよう、本年4月から専任の母子保健コーディネーターを配置するほか、昨年4月に設置した児童虐待や養育困難家庭などの相談窓口と必要なサービスを結びつける「子ども家庭総合支援拠点」との連携をより強化してまいります。

 

 子どもの貧困対策では、市民との協働事業により市内3会場で「ひとり親家庭サポート事業」として学習支援を中心に行ってまいりました。

 

 子どもを取り巻く環境は複雑であり、ひとり親家庭、生活困窮家庭の子どもに限らない支援が求められています。このため、新年度には「ひとり親家庭サポート事業」を、地域の大人と子どもの触れ合いの中で「あたたかなつながり」ができる居場所として、学習支援や食事の提供、地域との交流など、複数の機能を提供する「子どもの居場所づくり事業」として見直し、クラウドファンディング(インターネット経由で不特定多数の人が財源などを提供する仕組み)の活用などにも取り組んでまいります。

 

 また、経済的・精神的負担を軽減する子育て支援や育児と仕事の両立を図る施策として、三世代同居近居促進事業や家庭・児童相談、ひとり親家庭自立・就業支援、ファミリーサポートセンター事業など、子育て世代のニーズに沿った事業を充実させ「子育てがしやすいまち千曲市」の実現に努めてまいります。

 

 

 

『第4 教育の充実』

 

 重点施策の第4は「教育の充実」であります。

 

 

(1)学校教育

 

 スマートフォンの普及やビッグデータ、人工知能(AI)の活用による技術革新など、社会の急激な変化が進む中で、子供たちが予測困難な未来社会を、自ら学び、考え、判断して行動し、よりよい社会や人生を切り拓いていける資質や能力を育成するため、学校教育の改善・充実が求められています。

 

 学習指導要領の改訂により、小学校では4月から34年生に「外国語活動」、56年生で「教科としての外国語」が全面実施となります。それらに対応するため、小学校への外国語指導助手(ALT3名体制を継続し外国語教育の充実を図ってまいります。

 

 また、中学校では外国語教育の対話的活動を重視するため、外国語指導助手(ALT)を1名増員して4名体制とし、全中学校に常駐配置します。

 

 さらに、小学校への英語の接続が円滑に行われるよう、これまで試行的に取り組んできた市内12保育園での外国語指導助手(ALT)の派遣事業を、本格的に導入し、英語の歌や遊びなどを通じて園児が英語に親しめる環境を充実させてまいります。

 

 子供たちが、保育園で英語に親しみ、義務教育の全課程での英語教育を充実させ、スムースに切れ目なく高等教育に引き継ぐことで、国際感覚豊かなグローバル人材を育てる土壌を築いていければと思っています。

 

 

(2)学校における働き方改革

 

 学習指導のみならず、学校が抱える課題は、複雑化・困難化しており、文部科学省が行った「教員勤務実態調査(平成28年度)」結果でも、看過できない教員の勤務実態が明らかとなっています。

 

 市としては、国や県とともに学校における働き方改革を進めるため、煩雑化する学校事務の効率化を目指して、ICT(情報通信技術)を活用した教務・保健・学籍事務など校務事務全体を統合した、「校務支援システム」を導入し、事務の効率化を図ってまいります。

 

 また、中学校では部活動指導員を増員し、教員の部活動での負担軽減を図るなど、限られた時間の中で児童生徒に接する時間を十分に確保できるよう進めるほか、新年度から「第一学校給食センター」に「給食費徴収システム」を導入し、令和3年度の稼働を目指すなど教員の事務負担の軽減を図り、働き方改革につなげてまいります。

 

 

 

『第5 健康・福祉施策』

 

 重点施策の第5は「健康・福祉施策」であります。

 

 

(1)健康づくり

 

 保健事業実施計画(データヘルス計画)等に基づき、引き続き生活習慣病の発症予防や重症化予防に取り組んでまいります。

 

 特定健診においては、心電図検査を全員に実施し、脳卒中・循環器病の予防対策に努めます。また、人生100年時代を見据え、高齢者一人ひとりの特性に応じたきめ細かな保健事業と介護予防の一体的な実施を進め、健康寿命の延伸を図ります。

 

 歯周病検診については、妊婦・40歳・50歳・60歳・70歳に加え20歳・30歳に対象年齢を拡大し、歯周疾患の早期発見・早期治療を目指します。

 

 

(2)高齢者福祉

 

 市では、団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることができるよう、「医療・介護・生活支援・介護予防・住まい」の5つの要素を連携しながら、高齢者の暮らしを支える仕組み、「地域包括ケアシステム」の実現を目指しています。

 

 「地域包括システム」は、少子高齢化により、担い手の減少、一人暮らし世帯や認知症患者の増加等、社会の枠組みが大きく変化する中で、専門性が必要な医療・介護はしっかりと専門職・事業者が支え、介護予防や生活支援など日々の暮らしの支援は、できるだけ住民やボランティアの「支え合い(互助)」による主体的な活動で、高齢者の生活を支えていこうとするものです。

 

 このため市では、昨年「生活支援体制整備事業」として、市内4地区に「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」を配置し、地域全体で高齢者の生活を支えるべく体制の整備に着手しました。今後は、助け合い活動の更なる充実に向けて、10年後20年後を見据えて多くの人たちが地域にかかわっていけるような仕組みづくりを進めてまいります。

 

 また、高齢者の総合相談窓口である「地域包括支援センター(高齢者相談センター)」の機能強化については、相談件数が増えている「更埴地域包括支援センター」を分割し、更埴川東地域を管轄する「更埴川東地域包括支援センター」を本年4月から新たに設置します。「更埴地域包括支援センター」は、その名称を「基幹地域包括支援センター」に改称。更埴川西地域も含めたセンターとして充実してまいります。

 

 

 

『第6 市民と共に歩む市政』

 

 重点施策の第6は「市民と共に歩む市政」であります。

 

 

(1)協働のまちづくり

 

 区・自治会、事業所、NPOなどと行政が、支え合いながら、課題解決やまちづくりに取り組んでいる「協働のまちづくり」は、「地域力」の向上に大きな役割を果たしています。

 

 このため、引き続き「協働事業提案制度」の充実を図ってまいりますが、令和2年度は、新たに「みんなで考えるあんずの里の将来事業」や「女性のためのライフワーク・プロジェクト事業」などに取り組んでまいります。

 

 また、地域人材育成事業やコミュニティ振興事業についても「第3次地域づくり計画」にのっとり、徹底した「住民の手によりまちづくり」を推進することで、市民と行政のみならず、地域の多様な団体が協働するマルチパートナーシップ型のまちづくりを進め、より高い「地域力」の向上を目指してまいります。

 

 

(2)地域課題解決実践事業

 

 前段も申し上げましたが、少子化や高齢化社会の中で、地域包括ケアシステムの構築など、地域連携によるまちづくりは大きな行政課題になっています。

 

 こうした中で、産学官が連携し、様々な課題解決に向けて国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)や信州大学、また、民間の気象会社などと協力し「地域課題解決実践事業」として「低電力無線通信技術(LPWA)」を活用した実証実験を進めています。

 

 これまでに、市内10か所に気象センサーやカメラを配備。市内全域を網羅した全国初の通信網を構築し、気温や降水量、積雪などの「気象データ収集・伝送実験」、更級川での「水位モニタリング実験」、戸倉上山田中学校での「教室内環境のモニタリング実験」を開始しています。

 

 それぞれの計測データは収集しつつありますが、今後は、安定的な通信網の構築と活用の幅を広げるため、環境、教育、農業、福祉などの幅広い分野での活用を視野に研究を重ねてまいります。

 

 また、こうした実験は、国連が提唱する「SDGs」推進にもつながるものであり、市としても、引き続き、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と連携してまいります。

 

 

 

『第7 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウン事業』

 

 重点施策の最後は「2020年東京オリンピック・パラリンピックのホストタウン事業」であります。

 

 いよいよ、2020東京オリンピック・パラリンピックの年を迎えました。一昨年、ハンガリー卓球連盟と千曲市における事前合宿の実施に係る協定を締結し、ハンガリーのホストタウンとして認定を受けました。千曲市では初めてとなる海外の国との正式な合意に基づく交流となります。

 

 今年に入り、ハンガリーの卓球選手が予選を勝ち抜き、「女子団体」がオリンピックの出場権を獲得しました。大変喜ばしいことであり、市内での事前合宿では、心を込めたおもてなしで歓迎したいと考えております。

 

 オリンピック・パラリンピックへの参加意識を市民全員が共有し、心をひとつにすることができる意義深い事業であり、千曲市の魅力をさらに高めていけるよう市を挙げて取り組んでまいります。

 

 また、この機会をとらえて異文化への理解、外国籍市民との交流の機会を増やすことで、国籍に関わらず、互いに尊重しあえる「多文化共生社会」の推進に努めてまいります。

 

 

 

【令和2年度の主な施策】

 

 次に、令和2年度に実施する重点事業以外の主な施策、事業について、総合計画の項目に沿って申し上げます。

 

 第1「千曲の魅力で創生する賑わいと活力あるまち」

 

 

(1)広域的な道路網の整備

 

 「国道18号バイパス」は、昨年度に引き続き稲荷山から篠ノ井塩崎間の早期完成と、八幡から力石までの未事業化区間の早期事業化を積極的に国に働きかけてまいります。

 

 「姨捨スマートインターチェンジ」は、24時間運用以降、利用台数が増加傾向にあることから、今後は次の段階となる「車種制限の撤廃」に取り組むなど、将来の「フル規格化」に向けて環境を整えてまいります。

 

 国道18号「杭瀬下交差点の改良」について基本設計に基づき国と協力して用地の取得を進めます。

 

 「県道整備」では、都市計画道路「若宮線」の事業推進をはじめ、内川姨捨停車場線の一本松踏切周辺の拡幅、森篠ノ井線の延伸など、引き続き県に働きかけてまいります。

 

 市道関係では、都市計画道路「千曲線」の令和2年度内の完成を目指して、整備を進めます。

 

 

(2)「戸倉駅」のバリアフリー化

 

 戸倉駅のエレベーター設置については、事業規模算定のための基礎調査結果が今月まとまりますので、令和4年度末頃の完成を目途にしなの鉄道と協議を進めてまいります。

 

 また、乗降客の増加などを念頭に、しなの鉄道と地元関係者との意見交換会を開くなど、戸倉駅周辺地域の活性化に向けた研究を引き続き進めてまいります。

 

 

(3)農業の担い手の確保と高付加価値農業の推進

 

 新規就農者の確保のため、都市圏での就農フェアの開催、就農里親研修制度による助成制度の活用や農地の貸し手と借り手をつなぐ「農地中間管理事業」などを中心に、引き続き担い手確保に努めてまいります。

 

 また、「ワイン用ぶどう」の栽培については、「マルベック」を中心に千曲市産ワインのブランド化を進めるほか、里山などを活用した新たなワイン圃場の拡大を通じて荒廃農地の減少につなげてまいります。

 

 あんず振興については、プレミアムハーコット「杏月(きょうづき)」の販売や求評活動によるPRを行うほか、引き続き栽培方法の研究に取り組んでまいります。また、実用化が可能となった「あんずコッペパン」など、新商品の販売にも力を入れ、あんず産業全体の底上げを図ってまいります。

 

 「姨捨の棚田」については、「棚田保全推進会議」などと協議しながら、引き続き、担い手の確保に全力を尽くすほか、営農面と観光面の双方の取り組みを強化してまいります。

 

 

(4)林業の振興

 

 森林経営管理法に基づき、今年度からスタートした「森林経営管理制度」に基づき森林整備を進めることにしていますが、山林の所有者が不明であったり、境界が不明確など問題が多くあり、地域林政アドバイザーを中心に課題の解決に努めてまいります。

 

 また「松くい虫」については、引き続き補助事業を活用し、伐倒駆除や民有林の更新伐、樹種転換への支援を促進するほか、個人が行う防除費用の一部についても補助してまいります。

 

 

(5)ロケツーリズムの推進

 

 千曲市でほぼ撮影した「地域発信型映画 透子のセカイ」は、国内外の数多くの国際映画祭で上映され、今月28日から長野県先行ロードショーが県内の映画館5館で行われ、順次全国公開される予定であります。

 

 また今年度は、「フィルムに宿る魂」など千曲市を舞台に新たに3本の映画が撮影されたことから、1月から6月までに合計で7本の映画が全国上映されることになります。

 

 映画のロケは、直接的な経済効果や聖地巡礼を目的とした誘客効果など、経済効果が大きく見込めることから、ロケ地マップやロケ地看板を作成し、観光客の受入れ態勢を整えるなど、「ロケのまち千曲市」をPRしてまいります。

 

 

(6)インバウンドの推進

 

 昨年のラグビーワールドカップに続き、本年の東京オリンピック・パラリンピックの開催によりインバウンドによる外国人観光客の増加が見込まれています。

 

 市では、昨年度から「インバウンドアドバイザー」を確保し、台湾や中国からの教育旅行など、宿泊を伴う視察を受け入れ、一定の経済効果を生み出してまいりました。引き続き取り組みを継続し、温泉街での外国人の受け入れの強化と地域活性化に努めてまいります。

 

 

(7)ワーケーションについて

 

 首都圏などの企業の新たなライフスタイルとして「休暇」と「仕事」を両立する「ワーケーション」が注目されており、市としても昨年から試行的に取り組んできました。特に本年は、東京オリンピック期間中の交通混雑が懸念されており、市としても、この機会を捉え、企業のワーケーション誘致やテレワークへの取組みを進めてまいりたいと考えています。

 

 

 

第2「安心して子育てができ、のびやかに育ち学べるまち」

 

 

(1)高校再編

 

 屋代南高校の発展、充実を図るため、引き続き専任の職員を配置するとともに、旧通学区ごとに設置された地域協議会の議論に参加し、「屋代南高校を発展させる会」の皆様とともに、存続に向けて最大限の努力をしてまいります。

 

 

(2)スポーツ振興

 

 昨年の「第5回千曲川ハーフマラソン」は、台風19号災害の影響により中止となりましたが、「第6回千曲川ハーフマラソン」は、本年1122日に開催を決定。関係者と諸準備を進めてまいります。

 

 また、台風の影響により、様々なスポーツ施設が被害を受けましたが、比較的被害の少ない学校施設等の有効利用に努めてまいります。

 

 さらに、障がいのある方や支援学級に通っていて運動の苦手な方が、家族や介助者と一緒に気軽に運動やスポーツ活動ができる体験教室やその活動を支援するサポートスタッフ講習会を開催し、より多くの市民がスポーツに親しめる環境を整備してまいります。

 

 

(3)戸倉体育館周辺の活用

 

 戸倉上山田温泉の活性化、市民の健康増進、各種スポーツ施設の整備など、「健康長寿・温泉・スポーツ」のゾーンとして位置付けている戸倉体育館一帯から白鳥園敷地一帯を千曲川河川敷で連結する「総合運動公園構想」については、河川空間とまちの空間が融合した良好な空間形成を目指す国の「かわまちづくり支援制度」の活用に向けて、関係機関や地域の皆様と協議を進めるほか、体育館周辺の将来を見越した施設の在り方等についても研究を重ねてまいります。

 

 

(4)男女共同参画

 

 男女共同参画では、政策や方針決定等において女性の参画が重要であることから、引き続き、審議会や委員会等の委員に占める女性の参画率40%の目標達成に向けて取り組んでまいります。また、令和3年度を初年度とする「第4次千曲市男女共同参画計画」を策定し、男女共同参画社会の実現を目指してまいります。

 

 

(5)人権・平和

 

 「第3次人権とくらしに関する総合計画」に基づき、あらゆる差別のない明るい千曲市の実現に向けて、引き続き市民、学校、地域等と連携を図りながら、人権教育及び人権啓発に取り組んでまいります。また、市民との協働事業「平和のつどい」を通じて、恒久平和の実現を目指してまいります。

 

 

 

第3「支え合い、だれもが健康で活躍するまち」

 

 感染症予防対策として、平成27年度から中高生を対象として実施している任意インフルエンザ予防接種の一部助成を、小学生にも拡大し、季節性インフルエンザのまん延と重症化の予防に努めます。また、感染の拡大が心配されている新型コロナウイルスによる肺炎対策については、インフルエンザ同様の対策を呼び掛けるほか、関係機関と連携して対応してまいります。

 

 

 

第4「災害に強く、安全で心穏やかに暮らせるまち」

 

 

(1)上下水道の整備

 

 上水道については、災害時にも安定した給水を行うため、避難所等の重要給水施設に供給する管路の計画的な耐震化を進めており、令和2年度は、八幡地区の配水管布設替えのための実施設計に着手するほか、引き続き、県営水道との業務の共同化・連携について検討を進めてまいります。

 

 下水道については、整備が概ね完了したことから、今後は、耐用年数を向かえる施設の評価などを通じて、計画的に管理していくためのストックマネジメント計画を策定します。

 

 

(2)長野広域連合が計画しているごみ焼却施設

 

 昨年4月、用地取得が完了しましたが、台風19号の影響などにより、長野広域連合では、工期が6カ月ほど遅れるとし、施設の本格稼働は、令和44月にずれ込むとの方針を示しています。当初計画より遅れることについては、葛尾組合との協議も整っており、市としては、長野広域連合とともに、周辺道路等の整備を進めてまいります。

 

 

 

第5「輝かしい歴史文化や美しい自然を未来に継ぐまち」

 

 稲荷山の重伝建地区の街並みを整備するため、令和2年度は、新たに4棟の建造物の修理・修景に対して補助してまいります。また、焼損した松田家の主屋等については、令和2年度中に整備計画を策定し、併せて修復・修理事業に着手、令和4年度中の完成と一般公開を目指してまいります。

 

 

 

第6「協働で創る、市民主体の住みたい住み続けたいまち」

 

 ふるさと納税は、家電製品などの返礼品は市内で製造したものに限るとされたことから、納税額が減少。今年度は2億円ほどにとどまる見込みのため、市内の製造企業の協力により、昨年11月から一部家電製品を市内で製造することになり、今月からは返礼品に加えることができました。

 

 市としては引き続き、市内企業と連携して、多くの寄付をいただけるよう努めるほか、これまであまり注目されなかった「企業版ふるさと納税」が、本年4月から制度が大幅に変わることから、同制度の積極的な活用に努めてまいります。

 

 

【むすび】

 

 以上、台風災害からの復旧復興を最優先に、千曲市の未来につなげるための令和2年度の市政経営の骨格となる施策について申し上げました。

 

 新年度から本格的に策定を進める「第二次総合計画・後期基本計画」の中では、市が推進する施策と「SDGs」の17分野がどのように関連しているのかを整理し、市民の皆様と共通の認識を持ちながら、持続可能な環境施策を市民とともに推進してまいりたいと考えております。

 

 私の市政経営の基本は「元気な千曲市の実現」、「市民満足度の高い千曲市の実現」であります。そのためには私自らが先頭に立ち、職員とともに千曲市の将来を見据えた市政経営をしてまいる所存であります。

 

 議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和2年度の施政方針とさせていただきます。

 

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