所信表明(令和2年12月議会)

2020年12月1日

令和2年12月1日

令和2年第5回(12月)

所信表明

 

1.はじめに

 市議会12月定例会開会にあたり、私の所信の一端を申し述べさせていただき、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 千曲市をさらに良いまちに、豊かなまちにしたい、との思いで市長選を戦った岡田前市長や支援者の思いも謙虚に受け止めつつ、約5万9千人の千曲市民の皆様の期待に応えなければならない、と決意を新たにしております。

 

2.市政経営に当たっての基本姿勢・方針

 昨年の台風19号災害や新型コロナウイルス感染症によって、千曲市の姿は一変しました。特に新型コロナでは世界が大きく変わってしまいました。

 この大きな社会の変化に対応するためには、発想の転換が必要です。これまでの旧態依然とした前例主義・権威主義で既得権を守る市政ではなく、戦略的にスピード感を持って変化に対応できる市政、新しい発想ができる市政に変えなければ、明日の千曲市はありません。大胆かつ繊細に取り組みます。

 

 そのためには、まず、市民目線に立って、市民の皆様がどう感じるか、想像力を持ち、常に先を考える丁寧な行政運営を心がけます。市民の皆様の声に耳を傾け、市民感覚・民間感覚とのズレが生じないように対話を進めてまいります。具体的には、課題ごとに「市民の声を聞く会(仮称)」を設置し、市民ニーズを把握することで施策のアップデートを行ってまいります。

 

 市民目線の行政を実現するためには、私たちはサービス業の一員であるという意識で、常に市民の皆様のために気配り・心配りをし、職員の挨拶など「凡事徹底」を行ってまいります。同時に、職員の仕事の質を高め、生産性を向上させるためには、能力を最大限発揮できるような環境づくりが大切です。組織改編も順次行い、縦割り行政の弊害をなくし、社会の変化に即応できる組織にしてまいります。

 コロナ禍の社会変化に対応するためには、行政の力だけでは限界があります。民間の力と協働で、的確な判断のもとに迅速に取り組みます。また、積極的な女性登用の取り組みをはじめ、多様な人材が活躍できる組織づくりをしてまいります。

 

 市民の皆様からお預かりした大切な税金は、市民の皆様のために有効に使い、自分のお金と同じように扱うコスト意識を徹底しなければなりません。これまでの市政の良い部分はさらに伸ばし、足りないものを補い、無駄は省いてまいります。

 働き方と税金の使い方を見直すことにより、市民サービスの向上や新たな予算確保につなげたいと考えております。その上で、政策の研究、立案、決定、実行において、戦略的に、スピード感を持ち、粘り強く取り組みます。事後の評価・検証のためにも、可能な限り情報公開を行い、行政の透明性を向上させてまいります。

 

 なお、市民サービス向上の観点から、市役所新庁舎移転に伴い閉鎖された戸倉上山田地区の市民窓口の復活を検討しております。行政改革の趣旨を十分に尊重し、配慮しつつも、地域要望として行政サービス機能を復活させてほしいとの切なる声が想像以上に多いことから、場所や機能などをどうするか複数の案を作成し検討中でございます。来年4月からの窓口開設に向けて、準備に着手しております。

 

3.基本政策

市民の安全・安心を目に見える形に

 令和元年東日本台風では、それまで千曲市は大きな自然災害が少なかったということもあって、事前の備えや、災害時における迅速かつ的確な初動対応が十分ではなかったと思われる市民が多かったのではないでしょうか。

 まずは市の防災・減災対策を総点検し、市民の皆様が不安に感じている避難方法、避難所設置や運営等について分かりやすい形でお示しする必要があります。また、危機管理能力や防災・減災対策を強化するためには、組織のあり方を見直し、危機管理担当幹部の確保・育成、情報の一元化・共有の徹底、情報発信力の強化に取り組んでまいります。

 

 現在延期されている復興計画案の住民説明会については、来年1月下旬から順次開催し、復興計画を早急に策定してまいります。加えて、市民の皆様のマイ・タイムラインや区・自治会での取り組みの指針となる防災・減災のための具体的なマニュアルの作成も早急に取り組みます。

 

 国においては、気候変動による水害リスクの増大に備えるため、これまでの河川管理者等の取り組みだけでなく、流域に関わる関係者が、主体的に治水に取り組み、流域全体で行う治水「流域治水」へ転換するため、ハード・ソフト一体の事前防災対策を加速しております。そのため、千曲市においても「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」をはじめ、国、県、流域の自治体と連携し、その動向を把握して、流域での総合的な治水対策に取り組んでまいります。

 

 防災拠点として、川西地区における「防災道の駅」や「消防署の分署」などの設置を求めるご意見がございます。千曲川を挟んで東西に分かれる地形を考慮すると、川西地区に防災拠点を設置する必要性は理解できるところでございます。施設の機能、規模、場所、費用等について調査研究を進め、早期に方向性をお示しできるよう取り組んでまいります。

 

 防災・減災など安全・安心のまちづくりを進めていくには、ハード対策・ソフト対策ともに進めていく必要がございます。また、地域活性化、地域振興には、その地域の強みを活かすことが大切です。そこで、千曲市の地理的優位性、県内有数の交通の要衝という強みを最大限発揮できるよう国道18号バイパスの延伸、都市計画道路など社会資本の基盤整備を着実に進められるよう努めてまいります。

 

 社会資本整備には、事業自体により生産、雇用、消費等の経済活動が派生的に創出され、短期的に経済全体を拡大させる「フロー効果」と、道路などの社会資本が整備・蓄積され、機能することによって、継続的かつ中長期的に得られる「ストック効果」があると言われております。ストック効果には、風水害や地震等による人的被害などの災害リスクを低減する「安全・安心効果」、道路の拡幅や線形改良等によって渋滞の低減や利便性・快適性を向上する「生活の質の向上効果」、移動時間の短縮や輸送コストの縮減化により経済活動を促進する「生産性向上効果」がありますが、これらのストック効果を最大限に発現できるよう取り組んでまいります。

 

 人口減少社会においては、地域経済と生活を支えるサービスを広域的に効率的に共有できるようにしていく必要があります。市民はもちろん、市外の人々が住みたいと思える魅力ある環境づくりに取り組み、市外からの移住・定住促進にも資する基盤整備として取り組んでまいります。

 

市民を大切にするまち

 将来の千曲市を支えるのは、言うまでもなく子どもたちです。子どもたちが、のびのび育つみんなで育つ子育て支援や教育の充実に努めます。例えば、新生児を対象とした特別定額給付金を給付するなど、子育ての負担軽減をはじめ、子どもに関する相談体制の充実、学習支援、学力向上、発達支援の拡充にも積極的に対応し、さらに子育てしやすい環境づくり、子どもを健やかに育むまちづくり、子育て世代から選ばれるまちづくりに取り組んでまいります。

 

 また、誰もが住み慣れた地で安心して暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの実現や、高齢者や障がい者が安心して生き生きと暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

 

「稼ぐ地域」の仕組みづくり

 台風災害とコロナによって苦戦を強いられている千曲市でございますが、千曲市は幸い、県内有数の交通の要衝であり、自然環境にも恵まれ、全国に発信できる観光資源がございます。また、テレワークの普及により遠隔地でも勤務可能となり、住環境に恵まれた千曲市にもチャンスがやってまいりました。ピンチをチャンスに変え、「ないものねだり」ではなく「あるものさがし」によって、今あるものと地域の強みを最大限活かす戦略で自主財源を安定的に確保し、「稼ぐ地域」の仕組みづくりを行なってまいります。

 

 そのために、まずは基本理念として「ローカルファースト」という考え方を推進してまいりたいと思います。ローカルファーストとは、幅広い概念ですので、定義づけすることは難しい考え方ですが、私は「自分たちが暮らしている地域を大切に考える意識」としたいと思います。

 一人ひとりの市民が主役の市政を推し進めていくためには、千曲市で暮らしている私たち一人ひとりがまちをつくっていく、という意識が必要不可欠でございます。

 そこで、まずはローカルファーストという考え方を多くの市民の皆様に共有していただき、千曲市をより良いまちにしていこう、そのためにできることは何か、というところから始めていただきたいと思います。例えば、地元の飲食店で食事をすることによって、たとえわずかであっても市の税収増につながっていく、というような意識でございます。

 

 そして、行政としては、特色ある農業や商工業など地元産業の成長支援、消費拡大、販路拡大など「稼ぐ地域」の仕組みづくりに取り組んでまいります。例えば、地域通貨・地域ポイント制度の創設、食と農の体験型テーマパーク等の調査研究をし、地産地消、或いは地消地産をはじめとした地域内経済の循環を促進してまいりたいと思います。また、コロナ禍での経済対策も効果を検証しながら、最大の効果が得られるよう、国・県や近隣市町村と協力・連携しながら取り組んでまいります。

 

 さらに、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた企業誘致のあり方や、ICT、IoT、AIなど先進技術の活用による消費拡大、生産性向上への支援に取り組んでまいります。

 今後、日本は遅れていたデジタル化が急速に進みますが、デジタル社会に対応できる専門の人材が圧倒的に足りません。千曲市において、その需要に応えて専門の人材を育成することができれば、企業や人が集まり、税収確保と雇用の安定につながり、新たな千曲市の価値・強みを創造できると考えます。そのため、専門学校などデジタル人材育成の拠点設置についても研究してまいります。

 

 さらには、女性、若者、移住者の視点を活かした雇用創出・創業支援を行い、千曲市発の内発的な産業振興にも取り組んでまいります。なお、民間感覚を取り入れ、市役所庁舎・ことぶきアリーナを積極的に活用する体制を作り、庁舎やアリーナの維持管理コストを補うと同時に、稼げる施設にできるよう努めてまいります。

 

 また、企業等の立地推進については、これまで進めてきている雨宮産業団地や八幡東産業団地の造成事業を通じて積極的に取り組んでおります。屋代地区の開発計画については、これまで、進み具合等の情報公開については、主に地権者の皆様を対象に行ってまいりましたが、今後は、広く市民の皆様にお伝えできるよう、現在準備を進めております。

 

 税収をいかに増やしていくか、安全・安心なまちづくり、市民サービスの維持・向上や地域産業の発展につながるかなど、総合的に判断して、できるだけ補助金に頼らずに自立できる「稼ぐ地域」にする取り組みを進めてまいります。

 

観光振興

 国による令和元年版の観光白書では、国内旅行消費額は日本人観光客が82.7%、訪日外国人観光客が17.3%となっております。約26兆1千億円の市場のうち、日本人観光客の消費額(宿泊・日帰り)は約21.6兆円、訪日外国人観光客の消費額は約4.5兆円でございます。ちなみに、日本人国内日帰り客の旅行消費額は約4.7兆円でございます。これは新型コロナウイルス感染拡大前の統計でございます。

 

 これまではインバウンドに注力し、伸びしろがある訪日外国人観光客の消費額を増やすことに積極的に取り組まれてきたことと存じます。また、映画やテレビドラマなどのロケーション撮影場所として千曲市を売り込み、そのロケ地巡りの観光誘客を目指すロケツーリズムについても、聖地巡礼という言葉で再度注目され、関係各位のご尽力もあり、徐々に体制も整ってきたと伺っております。

 

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束に至っていない現在、外国人の往来や映画興行などが非常に厳しい現状に置かれていることは否めません。その意味で、昨年と同じように力を入れていくことは得策ではないと考えております。

 したがいまして、新型コロナウイルス感染症が収束しない当面の間は、これまでの観光振興策、具体的にはインバウンドやロケツーリズムに重点を置いた観光振興策は見直し、規模を縮小してまいります。

 

 短期的にやるべきこと、中長期的にやるべきことを区別して、地元客・国内客をターゲットに内需を大切にする観光振興策を再考しなければなりません。

 新型コロナ収束までの間に、まずは、清潔な公衆トイレ、わかりやすい案内板、駐車場、親切な対応など、基本的な受け入れ環境を総点検し、早急に改善してまいります。同時に、新たな魅力を掘り起こし、千曲市の地理的な優位性も活かすことができる広域観光を強化してまいります。県、周辺市町村、観光局、事業者等との連携を強化して、魅力ある観光商品の開発にも取り組んでまいります。

 

将来像

 日本遺産となった「月の都 千曲」のブランドイメージを確立し、ブランド力の向上に努めてまいります。市内の特色ある農業や商工業などの産業、伝統行事、景観、温泉など市内の様々な文化を伝承し磨き上げ、進化させ、そして、新たな文化を創造する「文化伝承創造都市・千曲」を目指し、豊かで品格あるまちづくりに取り組んでまいります。

 

4.結びに

 ただいま申し上げたどの政策も、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力なくして実現できるものではありません。私は、これからの4年間、小さくてもキラリと光る存在感がある「文化伝承創造都市・千曲」を目指し、全身全霊を尽くす所存でございます。皆様方には、今後とも、格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。

 

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