○千曲市子ども育成条例

平成27年3月25日

条例第1号

前文

子どもは、多様な個性を持ち、様々な環境の下で日々成長しています。

子どもは、それぞれ一人の人間として、個性や他者との違いが認められ、差別、暴力その他の人権侵害から守られるなど、その尊厳と権利が尊重されます。

また、子どもは、社会のルールを守り、他の人の人権を尊重することなどを学ぶとともに、社会の一員として成長に応じた責任と役割を果たしていくことも求められます。

子どもが生まれて初めて出会う人は家族(保護者)であり、家庭は、子どもの育成に大きな責任を負っています。

一方、子どもは、保護者だけでなく社会の大人の姿・行動を見ながら成長することを考えたとき、全ての大人は、子どもの成長に影響を与えていることを認識することが必要です。

次代を担う子どもの育成のためには何が必要なのか、全ての大人が考えながら、それぞれの立場で子どもを保護し、教え、導き、また時には厳しさを持って接するとともに、子どもを信頼し、子どもの声を聞き、社会活動への参加を進めるなど、子どもが自ら成長していくよう支援していくことが大切です。

千曲市は、子どもは社会の宝、未来への希望であるとの認識のもと、全ての大人(市民)と力を合わせ、子どもが尊重され、幸せに育つとともに、子どもが誇りを持つことのできるまちとなることを目指し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、次代を担う子どもの育成について、その基本理念、大人の役割、基本的な施策等を明らかにすることにより、子どもが尊重され、幸せに育つとともに、子どもが郷土の歴史・文化を知り、愛着と誇りを持つことのできるまちづくりに寄与することを目的とする。

(子どもの定義)

第2条 この条例において子どもとは、おおむね15歳までの者をいう。

(基本理念)

第3条 子どもの育成は、次に掲げる基本理念により行われるものとする。

(1) 子どもが一個の人格として尊重されるとともに、子どもにとって最善の利益がもたらされること。

(2) 子どもが優しさやたくましさを身に付け、人を愛し、郷土や国を愛し、世界の平和を願い、自然を大切にする心、社会の役に立とうとする意識、世界に通じる広い視野と豊かな国際感覚を養うことができるよう支援されること。

(市民の役割)

第4条 市民は、その言動が子どもに大きな影響を与えることを認識し、子どもから信頼されるよう自らを省みるとともに、子どもの育成に積極的に関わるよう努めるものとする。

(保護者の役割)

第5条 保護者は、子どもの人格形成や行動に大きな責任を負うことを自覚し、子どもが基本的な生活習慣や社会的なルールを身に付けることができるよう努めるものとする。

(学校等の役割)

第6条 保育所、幼稚園、学校(以下「学校等」という。)は、子どもの多様な能力や可能性を伸ばし、豊かな人間性、基本的な社会性を育成するなど、教育に重要な使命があることを自覚するとともに、保護者や地域との連携を図るよう努めるものとする。

2 学校等は、子どもの心身の健康と安全を確保するための体制整備に努めるものとする。

(地域等の役割)

第7条 区、自治会等の地域関係団体及び子どもの育成に関わりのあるボランティア団体、特定非営利活動法人など(以下「地域等」という。)は、身近にいる子どもに関心を持ち、体験学習の機会を提供するなど、子どもを育てる活動を積極的に進め、地域コミュニティの輪を広げるよう努めるものとする。

(企業等の役割)

第8条 企業、官公庁、団体、大学、病院等(以下「企業等」という。)は、企業等で働く保護者が、子どもと十分触れ合うことができる環境づくりに配慮するよう努めるとともに、学校等が行う職場体験活動など、子どもの育成に関する活動に協力するよう努めるものとする。

(市の責任と役割)

第9条 市は、家庭、学校等、地域等、企業等の子どもを育てる営みの調整役として相互の連携を図るとともに、市民の意識を高め、社会全体で子どもを育むために必要な施策を策定し、実施するものとする。

2 市は、前項の規定により策定する施策に、市民の意見を反映させるよう努めるとともに、子どもに関する施策の総合化に向けた取組みを行うものとする。

(子どもの健康の保持増進と環境整備)

第10条 市は、子どもの健康を保持し、増進していくとともに、教育関係施設の整備を行うなど、子どもが健やかに育つための安全で良好な環境づくりに努めるものとする。

(相談体制の充実等)

第11条 市は、子どもの育成に関する保護者の学習の機会、意見交換会や相談の場の提供に努めるものとする。

2 市は、子ども自身からの相談及び子どもの育成に関する総合的な相談に対応できる体制の充実に努めるものとする。

3 市は、関係機関及び地域等の連携を進め、社会全体で子どもを見守り、支援し、擁護し、救済する体制の充実に努めるものとする。

(虐待の防止)

第12条 市は、虐待を早期に発見し、子どもを保護するため、関係機関及び地域等との連携を図るなど、虐待防止のための体制の充実に努めるものとする。

(子育て支援)

第13条 市は、保護者が子どもを育てるにあたり、必要に応じて経済的、社会的支援を行うとともに、関係機関と協力し、支援体制の充実に努めるものとする。

2 市は、子育てに関して困難を抱えている家庭の把握に努めるとともに、その状況に配慮した支援を行うものとする。

(活動への支援)

第14条 市は、子どもの自主的な企画・運営によるスポーツ、文化等に関する活動への支援、活動場所の提供などに努めるものとする。

2 市は、子どもの豊かな感性を育てるための活動など、子どもの育成に関する市民活動の奨励、支援に努めるものとする。

(子どもの社会参加の促進)

第15条 市は、子どもの社会参加意欲と、意見を表明する能力の向上のため、子どもの学習の機会や、子どもから意見を聞く機会を設けるなど、子どもの思いや考え方を市政等に反映するための取り組みを行うものとする。

(16歳から18歳までの者についての配慮)

第16条 この条例の施行に当っては、おおむね16歳から18歳までの者についても、自立性を尊重しながら、大人としての必要な資質が更に育まれるよう、必要な配慮がなされるものとする。

(委任)

第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長その他の執行機関が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

千曲市子ども育成条例

平成27年3月25日 条例第1号

(平成27年3月25日施行)