○千曲市空き家等の適正管理に関する条例

令和5年3月24日

条例第2号

(目的)

第1条 この条例は、空き家等の適正な管理について所有者等及び市の責務を明らかにするとともに、管理不全な状態にある空き家等に関し必要な事項を定めることにより、市民等の生命、身体及び財産の保護並びに良好な生活環境の保全を図り、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 空き家等 戸建て住宅若しくは併用住宅(2分の1以上が居宅の用に供していること。)又はこれらに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木竹その他の土地に定着する物を含む。)をいう。

(2) 特定空き家等 実態調査及び立入調査により管理不全な状態にあるとして認定された空き家等をいう。

(3) 管理不全な状態 次に掲げるいずれかの状態をいう。

 老朽化又は自然災害その他の事由により倒壊し、又はその一部が脱落し、若しくは飛散するおそれがある等保安上著しく危険な状態にあり、そのまま放置すれば人の生命、身体又は財産に被害を及ぼすおそれのある状態

 不特定の者の侵入を容易に許す等犯罪を誘発するおそれがあり、そのまま放置すれば周辺の防犯上著しく危険となるおそれのある状態

 草木の著しい繁茂、害虫、ねずみ等の著しい発生等により、そのまま放置すれば周辺の衛生上著しく有害となるおそれのある状態

(4) 所有者等 空き家等の所有者、占有者、相続人、相続放棄者(相続放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めるまでの間に限る。)、財産管理人(相続財産管理人を含む。)その他当該空き家等を管理すべき者をいう。

(5) 市民等 市内に居住、滞在、通勤又は通学をする者及び市内において事業を行う者をいう。

(6) 公益活動団体 区・自治会その他市民の公益を目的として活動を行う団体をいう。

(空き家等に関する紛争との関係)

第3条 この条例の規定は、空き家等に関する紛争について、当該紛争の当事者間において解決を図ることを妨げない。

(所有者等の責務)

第4条 所有者等は、空き家等を自らの責任において適正に管理し、当該空き家等が管理不全な状態にならないようにしなければならない。

(市の責務)

第5条 市は、所有者等による空き家等の適正な管理を促進するとともに空き家等が管理不全な状態となることを未然に防止するため、情報の提供その他必要な施策を実施しなければならない。

2 市は、管理不全な状態となった空き家等に対し、管理不全な状態の解消を図るために必要な措置を講じなければならない。

3 市は、空き家等の適正な管理に関する市民等の意識の啓発を図るよう努めなければならない。

(市民等及び公益活動団体の役割)

第6条 市民等及び公益活動団体は、良好な生活環境の保全に努めるとともに、市が実施する施策に協力するものとする。

2 市民等は、適正に管理されていない空き家等を発見したときは、市又は公益活動団体に情報を提供するよう努めるものとする。

3 公益活動団体は、適正に管理されていない空き家等を発見したとき又は前項の規定により市民等から情報の提供を受けたときは、市に当該情報を提供するものとする。

(協働による取組)

第7条 市、所有者等、市民等及び公益活動団体は、この条例の目的を達成するために必要な施策に協働で取り組むものとする。

(実態調査及び立入調査)

第8条 市長は、第6条第2項又は第3項の規定により市民等若しくは公益活動団体から情報の提供があったとき又は適正に管理されていない空き家等を把握したときは、当該空き家等の所有者等及び当該空き家等の実態を把握するため、この条例の施行に必要な限度において調査を行うものとする。

2 市長は、次条から第12条までの規定の施行に必要な限度において、当該職員又はその委任した者に、当該空き家等に立ち入って調査をさせることができる。

3 市長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を当該空き家等に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、当該空き家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。

4 第2項の規定により当該空き家等に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

5 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

6 市長は、第1項又は第2項に規定する調査のために必要があると認めるときは、専門的知識を有する者又は公益活動団体に対し、情報の提供その他必要な協力を求めることができる。

(特定空き家等の認定)

第9条 市長は、第8条に規定する調査により、当該空き家等が管理不全な状態にあると認めるときは、当該空き家等を特定空き家等として認定するものとする。

2 市長は、前項の規定による特定空き家等の認定に係る基準を定めるものとする。

3 市長は、前項に規定する基準を定め、又は改定したときは、これを公表しなければならない。

(特定空き家等の所有者等に関する情報の利用等)

第10条 市長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の特定空き家等の所有者等に関するものについては、この条例の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。

2 市長は、この条例の施行のために必要があるときは、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、特定空き家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。

(助言又は指導)

第11条 市長は、前条の規定により認定を受けた特定空き家等の所有者等に対し、当該特定空き家等に関する除却、修繕、立木竹の伐採その他管理不全な状態を解消するために必要な措置をとるよう助言又は指導をすることができる。

(勧告)

第12条 市長は、前条の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空き家等の管理不全な状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他当該特定空き家等の管理不全な状態を解消するために必要な措置をとることを勧告することができる。

(命令)

第13条 市長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

2 市長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、市長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

4 市長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第1項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

5 市長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第1項の規定によって命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の3日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

6 第4項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。

7 第1項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第11条の助言若しくは指導又は第12条の勧告が行われるべき者を確知できないため第1項に定める手続きによる命令を行うことができないときを含む。)は、市長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市長又はその命じた者若しくは委任したものがその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

8 市長は、第1項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他の方法により、その旨を公示しなければならない。

9 前項の標識は、第1項の規定による命令に係る特定空き家等に設置することができる。この場合においては、当該特定空き家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

10 第1項の規定による命令については、千曲市行政手続条例(平成15年千曲市条例第18号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。

(公表)

第14条 市長は、前条第1項の規定による命令を受けた者が、正当な理由なくその命令に係る措置をとらなかったときは、次に掲げる事項を公表することができる。

(1) 命令を受けた者の住所(法人にあっては、その主たる事業所の所在地)

(2) 命令を受けた者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)

(3) 事実の内容

(4) 命令の内容

(5) 助言又は指導、勧告及び命令の経過

2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、公表される者に対し、あらかじめその理由を通知するとともに、弁明の機会を与えなければならない。

(代執行)

第15条 市長は、第13条第1項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところに従い、自らその措置を命ぜられた者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

2 市長は、前項の措置をとったときは、その費用を同項に規定する措置を命ぜられた者から徴収するものとする。

(緊急安全措置)

第16条 市長は、第11条第12条又は第13条に規定する措置をとった場合において、緊急に当該特定空き家等の管理不全な状態を回避する必要があると認めるときは、当該特定空き家等の所有者等の同意を得て、回避するために必要な最低限度の措置をとることができる。

2 市長は、前項の措置をとったときは、その費用を当該特定空き家等の所有者等から徴収するものとする。

(審査会の設置)

第17条 市長の諮問に応じ、第20条に規定する事項を調査審議するため、千曲市空き家等適正管理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

(審査会の組織等)

第18条 審査会は、委員10人以内をもって組織する。

2 委員は、識見を有する者のうちから市長が委嘱する。

3 委員の任期は2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

4 審査会に会長及び副会長各1人を置き、委員が互選する。

5 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。

6 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(審査会の会議)

第19条 審査会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。

2 会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。

3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(審査会への諮問)

第20条 市長は、第12条から第15条までに規定する措置をとろうとするときは、審査会の意見を聴かなければならない。

(関係機関との連携)

第21条 市長は、この条例の施行のため必要があると認めるときは、警察その他の関係機関に対し、必要な情報を提供し、協力を求めることができる。

(委任)

第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

千曲市空き家等の適正管理に関する条例

令和5年3月24日 条例第2号

(令和5年4月1日施行)