○千曲市環境基本条例
平成15年9月1日
条例第155号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境の保全に関する基本的施策
第1節 施策の基本方針(第7条)
第2節 基本的施策(第8条―第19条)
第3節 施策の推進体制等(第20条・第21条)
第3章 千曲市環境審議会(第22条―第27条)
附則
前文
私たちのふるさと千曲市は、緑豊かな山々に囲まれ、千曲川が市の中央部を流れ、千曲川に育まれた肥沃な土地と良好な気候に恵まれた地域である。東日本最大級の森将軍塚古墳をはじめとして多くの歴史的遺跡があり、千曲川や月の名所冠着山(姨捨山)をはじめとして、棚田やあんずの里、開湯100年の伝統を誇る戸倉上山田温泉など、豊富な自然環境と、美しい自然景観に恵まれ、先人たちが築き上げてきた地域の伝統と文化を継承してきた。
しかしながら、資源やエネルギーを大量に消費し、廃棄物を大量に発生させる社会経済活動は、私たちに物の豊かさや生活の便利さをもたらした一方で、身近な自然の減少、また都市・生活型公害の増加などを引き起こし、更にはすべての生物の生存基盤である地球環境を脅かすまでに至っている。
私たち市民は、この美しい自然を守り育てるとともに、地球環境の大切さを自覚し、潤いとやすらぎのある良好な環境を将来の世代に引き継ぐため、環境への負荷の少ない持続的に発展することができる「美しい景観と自然のあるまち」を築くことを決意し、ここにこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造(以下「環境の保全等」という。)について、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民が健康で、文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 公害 事業活動その他の人の活動に伴って生ずる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全等は、すべての市民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行わなければならない。
2 環境の保全等は、人間が自然から多くの恵みを受けていることを認識し、自然との共生と環境への負荷の少ない持続的に発展することができる社会を構築することを目的として、市、事業者及び市民がそれぞれの責務に応じた役割分担の下、自主的かつ積極的に行わなければならない。
3 地球環境保全は、人類共通の課題であり、地域の環境が地球環境と深く関わっていることを認識して、すべての事業活動や日常生活において積極的に推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施する責務を有する。
2 市は、自らその社会経済活動に際して環境の保全等に資する取組を率先して実行するとともに、市民及び事業者(以下「市民等」という。)の環境の保全等に資する取組を支援する責務を有する。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念に基づき、事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、及び廃棄物を適正に処理するとともに、自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、事業活動において、環境への負荷の低減その他環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策(以下「環境施策」という。)に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念に基づき、日常生活において、資源・エネルギーの節約、廃棄物の排出抑制等により、環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 市民は、環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境施策に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全に関する基本的施策
第1節 施策の基本方針
(基本方針)
第7条 市は、環境施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる基本方針に基づき、総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 人の健康が保護され、生活環境に被害を及ぼす環境の保全上の支障を防止し、安全で安心して生活できる環境を確保すること。
(2) 生物の多様性の確保を図るとともに、自然環境を適正に保全することにより人と自然との豊かなふれあいが保たれること。
(3) 資源・エネルギーの合理的かつ循環的な利用及び廃棄物の発生の抑制を推進し、環境への負荷の少ない循環型社会を構築すること。
(4) 歴史的・文化的環境の保全、良好な景観の形成、身近な自然空間の整備及び人にやさしい都市施設の整備を推進し、快適な環境を確保すること。
(5) 環境の保全等に資する取組を通じて、地球環境の保全に貢献すること。
(6) 市民等の環境の保全等に資する自発的かつ積極的な取組が促進されるよう、環境に関する教育、啓発等を行うこと、及び市民等の意見が反映されること。
第2節 基本的施策
(環境基本計画)
第8条 市長は、環境施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全等に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
(2) 環境への配慮の指針
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全等に関し必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民等の意見が反映されるよう努めるとともに、第22条に規定する千曲市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境の状況等の公表)
第9条 市長は、環境の状況及び環境の保全等に関する施策の実施状況を公表しなければならない。
(規制的措置)
第10条 市は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し、千曲市生活環境保全条例(平成15年千曲市条例第156号)の規定により、必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するために、必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(経済的措置)
第11条 市は、市民等が自ら環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとるよう誘導するため、助成その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(調査の実施及び監視等の体制の整備)
第12条 市は、環境の状況の把握その他環境施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
2 市は、環境の状況を把握し、及び環境施策を推進するために必要な監視、調査等の体制を整備するよう努めるものとする。
(事業に係る環境配慮)
第13条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、その事業に係る環境の保全等について適正に配慮するよう必要な措置を講ずるものとする。
(市民等の自発的な活動の促進)
第14条 市は、市民等が自発的に行う環境の保全等に関する活動が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(環境教育及び環境学習の振興等)
第15条 市は、市民等が環境の保全等について理解を深めるために、環境教育及び環境学習の振興その他の必要な措置を講ずるものとする。
(環境情報の整備と提供)
第16条 市は、環境の保全等に関する必要な情報を体系的に整備し、適切に提供するよう努めるものとする。
(環境の保全等に資する施設の整備)
第17条 市は、環境の保全等に資する公共的施設の整備その他これらに類する事業を推進するため必要な措置を講ずるものとする。
(資源の有効利用の促進等)
第18条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民等による資源及びエネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量及び適正処理が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
(自然環境の保全)
第19条 市は、森林、農地、水辺等における多様な自然環境を保全し、活用するために必要な措置を講ずるものとする。
第3節 施策の推進体制等
(推進体制の整備)
第20条 市は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な体制を整備するものとする。
(地球環境保全に関する協力)
第21条 市は、地球環境の保全その他広域的な取組を必要とする環境の保全等に関する施策の実施に当たっては、国及び他の地方公共団体その他関係機関と協力して、その推進に努めるものとする。
第3章 千曲市環境審議会
(設置)
第22条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定により、千曲市環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、市長の諮問に応じて環境の保全に関する基本的事項及び一般廃棄物の適正処理の推進に関する事項について調査し、又は審議するほか、必要に応じて環境の保全等に関する基本的事項について市長に意見を述べることができる。
(組織等)
第23条 審議会は、委員30人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験のある者
(2) 関係団体の役員
(3) 関係行政機関の職員
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める者
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長等)
第24条 審議会に会長1人、副会長1人を置き、委員が互選する。
2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第25条 審議会は、会長が招集し、会長が会議の議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決定し、可否同数のときは、議長の決定するところによる。
(専門委員)
第26条 審議会に、専門の事項を調査するため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
2 専門委員は、学識経験のある者及び関係行政機関の職員のうちから市長が委嘱する。
3 専門委員は、審議会に出席し、専門的立場から意見を述べることができる。
4 専門委員は、専門の事項の調査が終了したときは、解任されるものとする。
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成15年9月1日から施行する。
附則(平成17年12月28日条例第59号)
この条例は、平成18年1月1日から施行する。