○千曲市議会基本条例
令和6年2月26日
条例第2号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第5条)
第3章 議会と市民の関係(第6条・第7条)
第4章 議会と市長等の関係(第8条―第11条)
第5章 議会運営(第12条・第13条)
第6章 議会の機能強化(第14条―第20条)
第7章 議会改革の推進(第21条)
第8章 議会の体制整備(第22条―第24条)
第9章 補則(第25条・第26条)
附則
千曲市は、まちの中央を千曲川が雄大に流れ、千曲川の西に広がる姨捨の棚田は日本遺産に登録され、月の名所としても名高く、眼下には善光寺平を一望できる風光明媚な場所である。また、千曲川の東の森・倉科地区に早春に咲き誇るあんずの花は、一目十万本とも言われ多くの花見客の目を楽しませる。市の南部には善光寺参りの精進落としの湯として知られる戸倉上山田温泉があり、「月・山・川・花・温泉」が千曲市の魅力である。この素晴らしい自然と歴史・文化の豊かな郷土に全ての市民が誇りを持ち、健康で文化的な暮らしが営まれるまちづくりを進めている。
地方公共団体の意思決定機関である議会は、監視、調査、政策立案及び立法の機能強化が求められる中、千曲市議会は議会改革を進めてきた。
議会は、日本国憲法がうたう地方自治の下、市民から負託を受けた市長と共に、二元代表制の一翼として将来を見据え、市民の意思を把握し、実現するために責任ある役割を担っている。また、自治体政策の立案、決定、執行、評価での論点を明確にし、市民に開かれた市政を目指す責務を有する。
更に、合議制である議会は、多様な意見を集約するため、市民との対話を根幹に、法令等を遵守し、自由闊達な討議を重ね、その審議経過を市民に積極的に公開するよう努めなければならない。
千曲市議会は、市民の負託に全力で応える決意の下に議会の役割を果たすため、高い倫理観を持ち、より質の高い議会を目指し、ここに議会の最高規範として議会基本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、千曲市議会(以下「議会」という。)の基本理念、千曲市議会議員(以下「議員」という。)の責務、活動原則等の基本的事項を定めることにより、合議制の機関である議会の役割、議会と市民の関係、議会と市長の関係を明らかにするとともに、地方自治の本旨に鑑み、市民の負託に的確に応え、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、市政における唯一の議決機関として、議員はその責務を自覚し、市民の意思を市政に反映させるため、公平かつ公正な議論を尽くし、真の地方自治の実現を目指すものとする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、市民の代表機関として、常に公平性及び透明性を確保し、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市長その他執行機関(以下「市長等」という。)の事務について、適切な行政運営が行われているかの監視及び評価機能を果たすこと。
(2) 提出された議案の審議及び審査を行うほか、政策の提案及び提言を行うこと。
(3) 市民に分かりやすい言葉及び表現で説明責任を果たし、議会活動への市民参加を推進すること。
(4) 市民の多様な意見を的確に把握するよう努め、市政及び議会活動に反映させること。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市民の代表として高い倫理観と品位を保ち、議員としての資質向上に努め、千曲市政治倫理条例(平成17年千曲市条例第50号)を遵守すること。
(2) 議会の構成員として、一部の団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の福祉の向上のために活動すること。
(3) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(会派)
第5条 議員は、会派を結成できるものとする。
2 会派は、同一の理念を共有する議員で結成し、政策集団として議会活動を行うものとする。
3 会派は、政策決定、政策提言、政策立案等に際して、会派間で相互に協議及び調整を行い、合意形成に努め、円滑かつ効果的な議会運営に努めるものとする。
4 会派について必要な事項は、議長が別に定める。
第3章 議会と市民の関係
(市民参加及び市民との連携)
第6条 議会は、市民の意思を議会活動に反映することができるよう、市民が議会活動に参画する機会の確保に努めるものとする。
2 議会は、議会における委員会を原則公開するものとする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用し、議会の審議に反映するよう努めるものとする。
4 議会は、市民への説明責任を果たすとともに、市民の意見を的確に把握するため、市民との意見交換の場を設けるよう広聴に努めるものとする。
(情報公開及び広報の充実)
第7条 議会は、多様な広報手段を用いて議会活動に関して有する情報を積極的に発信し、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう広報活動に努めるものとする。
第4章 議会と市長等の関係
(市長等との関係)
第8条 議会は、市長等との関係において、常に品格及び冷静を基調とする緊張関係を保持し、事務の執行の監視及び評価を行うものとする。
2 本会議及び委員会における質疑及び質問は、論点及び争点を明確にし、市民に分かりやすい方法で行うものとする。
3 市長等の反問権については、千曲市議会会議規則(平成15年千曲市議会規則第1号。第21条において「会議規則」という。)の定めるところによる。
(市長等による政策形成過程の説明)
第9条 議会は、市長等が提案する重要な政策、計画、施策、事業等(以下「重要な政策等」という。)について、次に掲げる事項の説明を求めるものとする。
(1) 重要な政策等を必要とする背景
(2) 他の類似する政策等との比較検討
(3) 重要な政策等の形成過程における市民の意見公募等の実施状況
(4) 総合計画における位置付け
(5) 実施に係る財源措置
(6) 関係する法令、条例、規則等
(7) 将来にわたる効果及び費用
2 議会は、重要な政策等の提案を受けたときは、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算及び決算審議における説明)
第10条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長等に求めるものとする。
(政策立案及び政策提言)
第11条 議会は、条例の制定又は改廃、議案の修正、決議等を通じて、政策の立案及び提言を行うものとする。
第5章 議会運営
(議会運営)
第12条 議会は、議員相互間の議論を尊重し、公正、公平かつ効率的な議会運営に努めなければならない。
2 議会は、議長又は副議長を選出するに当たり、その職を志願する者に、本会議において市民に対して所信を表明する機会を設けるものとする。
3 議長は、中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
(委員会)
第13条 委員会は、それぞれの設置目的に応じた機能が十分発揮されるよう運営されなければならない。
第6章 議会の機能強化
(議会の機能強化)
第14条 議会は、市政の執行に関する監視及び評価機能並びに政策の立案及び提言に関する機能の強化を図るものとする。
(非常時における議会機能の維持)
第15条 議会は、重大な感染症のまん延や大規模な災害等の発生した場合においても、議会の機能を維持できるよう必要な措置を講ずるものとする。
2 非常時の議会の行動基準に関しては、議長が別に定める。
(専門的知見の活用)
第16条 議会は、議案の審議の充実、政策形成機能の強化及び政策の効果の評価に資するため、専門的な知見を有する者の積極的な活用を図るものとする。
(委員間討議)
第17条 議会は、議会の機能を発揮するため、原則として委員会活動を中心に委員間の討議を行うものとする。
2 委員会は、委員間における討議を通じて合意形成を図り、条例の制定又は改廃案の提出、政策立案、政策提言等に積極的に取り組むものとする。
(討論の充実)
第18条 議会は、議事機関として、その意思決定に当たり、議員間の公平で自由な議論を尽くすため、本会議における議員の討論は、賛否を明確にし、一議題につき3回まで行うことができるものとする。
(政務活動費)
第19条 会派及び議員は、政務活動費を有効に活用し、市政及び議会に関する調査研究を積極的に行うものとする。
2 会派及び議員は、政務活動費の適正な執行に努め、収支報告書及び調査結果を公表することにより、政務活動費の使途の透明化を図るものとする。
3 前2項に定めるもののほか、政務活動費に関しては、千曲市議会政務活動費の交付に関する条例(平成15年千曲市条例第6号)の定めるところによる。
(予算の確保)
第20条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保し、円滑な議会運営を実現するため、市長に対し必要な予算の確保を求めるものとする。
第7章 議会改革の推進
(議会改革の継続的な取組)
第21条 議会は、社会情勢の変化により新たに生ずる市政の課題に適切かつ迅速に対応するため、継続的な議会改革に取り組むものとする。
2 議会は、市民に分かりやすい議会運営を行うため、会議規則、千曲市議会委員会条例(平成15年千曲市条例第211号)、議会内での申合せ事項等を議会運営委員会において継続的に見直すものとする。
第8章 議会の体制整備
(議会事務局の強化)
第22条 議会は、議会の政策形成及び立案能力の向上を図り、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実強化並びに組織体制の強化を図るものとする。
(議会図書室の充実強化)
第23条 議会は、議員の議会における審議及び調査研究に資するため、議会図書室について、必要な資料の収集保管のみならず、議会に積極的に情報提供を行う機能の充実強化に努めるものとする。
(先端技術の活用)
第24条 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、先端技術の積極的な活用を図るものとする。
第9章 補則
(他の条例との関係)
第25条 この条例は、議会に関する基本的な事項を定める条例であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。
(検証及び見直し)
第26条 議会は、この条例の施行後、市民の意見及び社会情勢の変化を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の施行状況について議会運営委員会で検討を加え、この条例の見直しを行うものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。