特産品 あんず

更新日:2022年03月02日

青空とあんずの花が咲く街並みを見下ろす風景写真

薬師山からのあんずの花

長野県内でのあんず栽培は長野地域で栽培面積、収穫量ともに9割近くを占めます。そして、市内のあんず栽培は県内の栽培面積、収穫量の5割近くを占め、県内有数のあんず栽培地域となっています。
その中心は森・倉科・更級地区で、特に森地区では、花が咲く4月始めになるとあんず祭りが開催され、20万人近くの観光客が訪れます。

なぜあんずが多いの?

遠くに山、あんず木々が続き、近くに満開のあんずの花を映した写真

あんずの花はうめに続いて4月はじめ頃に開花します

この森地区であんずの栽培が始まった経緯は、一説によれば、天和年間(1681~1683年)元禄時代、伊予宇和島藩主伊達宗利侯の息女豊姫が、松代藩主真田幸道侯に興し入れの際、故郷の風情を偲ぶよすがにと、国許よりアンズの苗木を取り寄せ、松代東条地区に植え付け、それを森・倉科地区へ配布したのが始まりと言われています。

あんずってどんなくだもの?

オレンジ色の丸いあんずの実の写真

あんずの実は6月下旬から7月上旬にかけて収穫されます。

バラ科サクラ属の果樹で、ウメ・スモモと近縁です。英名はアプリコット(apricot)。日本の主な産地は長野、青森、福島県。
あんずは酸味が強いため、生食よりもジャムやシロップ漬けなどに加工して利用されています。しかし、最近では、ヨーロッパ系あんずとの交配により、酸味の少ない生食用品種が増えてきました。

あんずはいつ日本に来たの?

原産地は中国北西地方、中央アジア。中国では2000年も前から種の中の「杏仁(きょうにん)」を収穫するために栽培されていたようです。その後、ヨーロッパに1世紀頃に伝わり、多くの品種改良がなされ中東、アフリカと渡り、18世紀頃になるとアメリカにも伝わり、今ではカリフォルニアが世界的な産地になっています。
日本に渡ってきた時期は明らかではありませんが、平安時代の文献である「本草和名」(918年)や「和名類聚抄」(923年)には、杏にカラモモの和名がつけられ、また、歌にアンズの花が詠じられています。カラモモをアンズと言うようになったのは江戸時代からのようです。

どんな種類があるの?

あんずの種類
品名 原産地 特徴など 熟期

平和
(へいわ)

  • 大正時代の初期に森の南沢氏が自家のあんず園の偶発実生から発見 第一次世界大戦の終結を記念して命名された品種
  • 酸味が強く甘みが少ないので、主にジャムやシロップ漬け、干しあんずなどの加工用に栽培されている
  • 果重は50~70グラム前後
  • 6月下旬~7月上旬に出荷

早生

信山丸
(しんざんまる)

長野県果樹試験場

  • 酸味が強く、主にジャムやシロップ漬けなど加工用として栽培されている
  • 果重は40~50グラム前後とやや小ぶり
  • 6月下旬頃から出荷

早生

昭和
(しょうわ)

  • 昭和15年ごろ、森の西村杖造氏が自家のあんず園で発見
  • 甘味は中くらい 酸味が強くシロップ漬け等に最適
  • 果重は平均35グラム

中生

信州大実
(しんしゅうおおみ)

長野県果樹試験場
  • 「新潟大実」と「アーリーオレンジ」を交配して昭和55年に登録された品種
  • 甘味は多く、酸味は中程度で生食に適するほか加工にも良い
  • 果重は80グラム~100グラム前後と大粒
  • 7月中旬頃に出荷

晩生

信月
(しんげつ)

長野県果樹試験場
  • 「新潟大実」と「チルトン」の交雑実生
  • 加工・生食両方に利用できる
  • 果重は平均80グラム
  • 森地区で最後に出荷される品種

晩生

ハーコット カナダ
  • カナダ生まれの品種で昭和54年に日本に導入
  • 酸味が少なく甘味が強いので生食用に栽培されている
  • 果重は80~100グラムとやや大きめ
  • 裂果が多く、胴枯れ病等に弱い
  • 7月上旬頃から出荷

晩生