インタビュー第4弾【いずみ鍼灸院】
基本情報
店名:いずみ鍼灸院
場所:千曲市上山田温泉4丁目31-2
電話番号:090-3209-4918

今回はいずみ鍼灸院の院長、細井泉希さんにお話を聞かせていただきました。
鍼灸院のご紹介
千曲市内で、女性専用の鍼灸治療院を営んでいます。当院の大きな特徴は、「刺さない鍼(はり)」「痛くない鍼」を用いた、やさしい鍼灸施術を行っていることです。主に使用しているのは小児鍼と呼ばれる丸い先端の鍼で、皮膚に刺さずに表面を撫でたり軽く刺激を与えるもので、小さなお子さんにも使えるほど刺激がやさしいものです。
かつては美容鍼やスポーツ治療、電気を流す鍼なども経験してきましたが、その中で「やさしく、安心できる鍼治療」を選びたいと思うようになりました。現在は、鍼灸治療の中でも特定の治療法をベースに、患者さん一人ひとりの状態に合わせてツボを選びながら施術しています。
来院される方の多くは40~50代の女性で、子育てがひと段落してご自身の身体と向き合いたいという方が中心です。また、親御さんの紹介で来る小学生や高校生の患者さんもいます。冷え性や肩こり、慢性的な疲れなど、女性特有の不調を安心して相談できる場所として、地域の方にとって身近な存在でありたいと願っています。

↑上の細い鍼が毫鍼(ごうしん)、下の鍼が鍉鍼(ていしん)です。鍉鍼は小児鍼とも呼ばれています。見ての通り先が丸くなっており、刺さりません。

↑鍼だけでなく、お灸もあります。じんわり温かいお灸でホッと身体が和らぎます。
開業のきっかけ
学生の頃から、「いつかは自分で鍼灸院を開業するだろう」と漠然と考えていました。実際に就職し、いくつかの治療院で経験を積みながら、さまざまな施術スタイルを学びました。その中で、自分が心地よく感じる治療、長く続けていきたいと思える施術法が少しずつ明確になっていきました。
令和2年、コロナ禍が始まり、世の中の流れが大きく変わる中で、就職という選択肢に一度立ち止まり、「今は様子を見よう」と考えたんです。そんなとき、地元の知人から「往診してもらえないか」と頼まれたのが、結果的に開業のきっかけになりました。
「往診するなら保健所へ届け出がいる。保健所に届けるなら、いっそ屋号もつけて開業届を出してしまおう」と思い立ちました。特別に大きな決断をしたというよりも、いくつかの偶然と流れが重なり、自然と開業へと進んでいったような感覚でした。
千曲市で開業した理由
開業するにあたって、最初から「千曲市で始めよう」と決めていたわけではありませんでした。地元に戻りたいという気持ちが芽生えたタイミングで、家族が千曲市に住んでいたこともあり、「じゃあ千曲市に引っ越そうか」という流れで越してきました。
実際に暮らしてみると、千曲市は生活の利便性と自然のバランスがちょうどよく、交通の便も良いので、往診などもしやすい環境でした。最初の1年ほどは、鍼灸院という形ではなく、知人からの依頼を受けて往診スタイルで施術をしていたのですが、次第に活動の幅を広げたいと感じるようになりました。その後、友人の働く治療院でダブルワークをしながら経験を積み、令和6年には現在の場所にアパートを借りて、自分の治療院を本格的に始めました。
開業にあたり苦労したこと
創業にあたって、最も苦労したのは「どうやって知ってもらうか」という点でした。鍼灸院のような個人事業は、広告や宣伝をしなければなかなか認知されず、開業してもすぐにお客様が来てくれるわけではありません。特に、私のように一人で運営している場合、すべての業務を自分でこなさなければならず、施術の準備や対応はもちろん、広報や経理といった裏方の仕事も全て担う必要があります。そのなかで「集客」に関する知識や経験が少なかったことは、大きな不安要素でした。
開業当初から、ホームページやInstagramなどSNSの活用はしていたものの、投稿頻度や更新が安定せず、思うように発信できていないのが正直なところです。それでも、少しずつ来院されたお客様からの口コミで広がっていき、今ではありがたいことに紹介で来られる方も増えました。ただ、PRに関しては今でも課題と感じており、もっと自分のスタイルを言葉にして届けていく必要があると考えています。
今年は出店イベントに参加させていただき、そのおかげかSNSのフォローが増え、20〜30代の方から「メンタルの不調」や「体質改善」、「妊活に関するご相談」をいただくことも多くなってきました。もちろん課題はまだまだありますが、「ひとりで頑張るだけでなく、イベントなど人の力を借りることで広がっていく世界がある」ということに気づけたのは、大きな学びになりました。
開業してよかったこと
開業してよかったと感じるのは、なんといっても子供のころからの夢が叶ったことです。私が鍼灸師を目指し、そして今日まで続けることができた人生の指針ともいえる大きな理由が3つあります。
1つめは、「母の足を自分の手で治したかった」という想いです。子供のころに母が足を悪くして、足の痛みや体調不良に苦しむ姿をそばで見続けてきました。小学生のときに「将来、自分が母の足を治す」と心に決めたのが、治療家を志した原点です。
2つめは、「鍼灸でカヌーに関わる仕事がしたい」という想いです。学生時代に所属していたカヌー部で素晴らしい先生や仲間に出会い、スポーツの楽しさを知ることができました。スポーツを楽しむためには、身体作りがとても大切です。鍼灸の専門学校に進むとき、「鍼灸師になったらカヌーに関わる仕事をして、どんな形でもなにか恩返しがしたい」と夢にしていました。
3つめは、「子どものころからお世話になっている地元へ貢献したい」という想いです。資格をとって働き始めてからは、いずれは大好きな地元に戻って、地元の方の治療をしたいと考えていました。
開業してみると、この3つの夢が、小さな形ではありますがすべて叶いました。そのすべての根底には、「大切な人やお世話になった方に恩返しがしたい、役に立ちたい」という想いがあります。
開業当時から、目の前のひとりの患者さんのために力をつくし、そっと寄り添うことを大切にしてきました。困っている方や悩んでいる方が少しでも楽になること。そして患者さんが元気でいることが私にとって「よかった」と思える瞬間です。これからも微力ながら、役に立てるように精進していきます。
これから創業を考えている人へのアドバイス
これから創業しようと考えている方に、まずお伝えしたいのは、「とにかくいろんな人に相談してみてほしい」ということです。私自身、最初は誰に相談すればいいのかもわからず不安でしたが、千曲商工会議所や確定申告のサポートをしてくれた税理士さんとのご縁をきっかけに、制度や支援に関する情報を得ることができました。特に地域に根ざした活動を考えている場合、ネットの情報だけではわからない「その土地ならではの事情」や「現実的な支援制度」を知るためにも、地元の支援機関とつながることは大切だと思います。
最近では、女性の独立開業や副業・ダブルワークといった働き方も広まり、行政や地域の支援体制もより整ってきている印象があります。千曲市に限らず、各地域で創業を応援する機運が高まっている今は、起業に挑戦しやすい時代とも言えるかもしれません。
また、相談することで自分の考えが整理されていくこともあります。何となく頭の中にあった構想が、誰かに話すことで具体的になったり、気づかなかった課題に目を向けることができたり。私は運よく、支援機関の方々に恵まれてきましたが、最初の一歩を踏み出すのは自分自身です。だからこそ、「こんなこと相談していいのかな」と思わず、気軽に声をかけてみるところから始めてほしいと思います。
あとがき
実はこのインタビューの後、プライベートでいずみ鍼灸院さんに鍼灸を受けに行ってきました(もちろん自費です)。丁寧な問診や触診から身体の悩みにアプローチしていただきました。気になっていた「痛くない鍼」……確かに全く痛くない!ちょんちょんと全身に当ててもらいました。お灸もしてもらいじんわり……。とっても癒されました。施術後は目に見えて身体の冷えやこりが解消されており、感動しました!
鍼といえば刺すものというイメージがあった筆者ですが、今回の「刺さない鍼」でその固定観念が覆されました。女性専用の痛くない鍼灸。気になる方はぜひ行ってみてください!!
お店の詳細情報
店名 | いずみ鍼灸院(いずみしんきゅういん) |
住所 | 千曲市上山田温泉4丁目31-2 |
電話番号 | 090-3209-4918 |
駐車場 | あり |
診療日時 |
月曜日~土曜日 完全予約制 10:00~12:00 14:00~18:00 |
電話受付日時 |
月曜日~土曜日 (日曜・祝日は定休日です) 10:00~18:00 |
リンク |
出張治療も行っています。詳しくはいずみ鍼灸院までお問合せください。

↑施術は完全個室で行われます。きれいで落ち着いた空間です。

↑お仕事道具。鍼やお灸に使う艾(もぐさ)です。
本ページへの情報掲載について
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この記事に関するお問い合わせ先
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〒387-8511
長野県千曲市杭瀬下二丁目1番地
電話番号:026-273-1111
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更新日:2025年07月11日