有害鳥獣対策

更新日:2023年11月29日

山すそやその周辺の田畑で、有害鳥獣による農作物の被害が毎年発生しています。
自身の農地を守るために、野生鳥獣の特徴を知り対策をしましょう。

野生動物から農作物を守るために

被害を防ぐためには、

1.取り残した農作物や生ゴミ等を畑などに放置しない

 放置すると、野生動物の「エサ」になり被害の拡大につながる恐れがありまので、土に埋める等の適切な処理をしてください。放置された農作物は、知らないうちに「餌づけ」を行っていることになります。

(野生鳥獣被害防止マニュアル(農林水産省) 抜粋)

2.野生動物の生態を知り、そのうえで対策をとる

 「周辺のやぶ払いをして動物の隠れ場所をなくし農地に近寄らせないようする」、「田畑を柵などで囲い侵入を防ぐ」、「作物が動物からは見えないようにする」など生態を知り必要に応じて対策していくことが大切です。

3.総合的に対策をとることが必要

 1.知らないうちに行われている餌づけ行為をやめ、2.やぶ払いなどにより人間の生活域に出てくるのを難しくし、効果的な囲い(柵)によりで田畑への侵入を防ぐ。そして、人に慣れてしまった田畑周辺の野生動物は捕獲する。といった総合的な対策が必要です。
 総合的な対策は、各農家が個人的に対処できることもあれば、隣近所・集落・集団で協力しなければ効果が上がらないものあります。

野生鳥獣被害防止マニュアル(イノシシ、シカ、サル)≪農林水産省作成≫

野生動物の生態

 野生動物による農業被害を防ぐために、これをやれば大丈夫という「特効薬」は、残念ながらありません。
 しかし、動物の生態を知り、より効果的に「動物が嫌がる環境づくり」を行っていくが大切です。

1.イノシシ
からだ 足が短く、弾丸のようにずんぐりしており、とげのある草藪(やぶ)などを移動するのに適している
生息環境 低木や茂みの多い里山など
餌場に数日から数ヶ月滞在し、次の餌場を求めて移動する
雄は単独で行動し、雌は子供など10頭程度の群れで行動する
食べもの 栄養価の高い新芽や新葉、タケノコ、ドングリ、クズやヤマイモの根や地下茎、昆虫の幼虫やミミズ、サワガニ、カエルなど
その他にも、人間が食べるものはほとんど食べる
性質 警戒心が強いが、安全な場所とわかっていれば障害物に関係なく侵入する
本来は昼行性なので、人間を警戒しなくてよい環境では昼間に活動する
視力は良くないが臭覚が非常に敏感で、また学習能力も優れている
能力 人間よりはるかに速く走ることができ、1メートル程度の高さの障害物を助走なしで飛び越えられる
有刺鉄線などのように多少でも柔軟性がある場合、20センチメートル程度のすき間があれば成獣でも地面を掘らずにくぐり抜けられる
オスの成獣で70キログラム以上、メスでも60キログラム程度の重さを鼻で持ち上げられる(大きな石でも鼻で動かすことができる)
2.ニホンシカ
からだ からだ 体重40~110キログラム、体長110~170センチメートル程度
毛は茶色で白斑(しらふ)があり(鹿の子模様)、冬毛は灰褐色でオスにだけ角がある
生息環境 餌を求めて数十キロメートル移動でき、昼間は森にいて夜間は農地へ出てくる
繁殖期を除き、通常オスとメスは別々の群れを作り行動する
食べもの 有毒なシキミやアセビなど一部を除き、ほとんどの植物を食べる草食性
性質 2~3時間採食をして、2~4時間反芻(はんすう)をするリズムを繰り返し、昼夜を問わず活動する
能力 強いジャンプ力で2メートルの障害を飛び越えることができる
1歳で繁殖が可能で、毎年出産できるほどの高い繁殖力を持っている
3.ハクビシン
からだ 体長は50センチメートル程度で体付きはネコに似ているが、鼻筋に白い線がある
尾長が約40センチメートルと長く、四肢が短い
前足後足ともに5本指であるため、足跡から4本指のタヌキなどと見分けができる
生息環境 タヌキと同様に人里近くの野山や人家などに生息する
食べもの 植物が中心の雑食性で、小動物、カエルや昆虫など何でも食べる
特に果実類を好む
性質 警戒心が強い
夜行性なので昼間は野山などの棲みかに潜み、夜間に活動する
能力 木登りが得意で針金なども渡ることができる
ジャンプ力もあり、1メートル程度の高さの障害物を飛び越えられる
また、体が小さいため狭いところに入り込むことができる

被害防止対策

イノシシ、シカの場合

 全国各地で耕作地に動物の侵入を防ぐために様々な形態の柵が設置されています。トタンで畑などの耕作地を囲い、その外側に動物よけのネットを斜めに垂らす、簡易の電気柵を張るなどの方法により防除効果が期待できます。

ポイント

  • 視覚的に作物を見えにくくする。(農作物を見られないようにする)
  • 飛び越えられないようにある程度の高さを確保する。
  • 隙間(すきま)を作らない。
  • イノシシなどが嫌がる状況をつくる。(電気ショック、ネットにより足が絡みつくなど)

(参考)イノシシの場合の侵入防止方法

イノシシの場合の侵入防止方法の詳細
トタン板 トタンだけで田畑を囲って防除する場合は、イノシシの目の高さと視覚的遮断効果を考えると、高さ80センチメートル程度のものを使用すると良い。
トタン板は、起伏がある場所に設置すると隙間ができやすく、その隙間をイノシシに狙われやすいので注意が必要。また、飛び越える、押し倒す、鼻で持ち上げることによって侵入した事例もある。
有刺鉄線 イノシシは毛深く、皮膚が丈夫なため、とげが当たってもそれほどの痛みを感じないようである。地面から20センチメートル間隔で有刺鉄線を5段張った場合でも、間をくぐり抜けたり、上を乗り越えるので、あまり効果が期待できないと見られる。
ネット 柔軟性があり、構造が不安定なので、60センチメートル程度の高さにした場合、金網よりも侵入防止効果がある場合がある。起伏や斜面の多い場所での設置が比較的容易。しかし、中の作物が見えてしまうので、イノシシが繰り返し侵入を試み、網目を押し広げたり、食い破られることもある。設置の際は、外側に1メートルほど地面に垂らすと良い。
防風ネット 下をくぐり抜けて侵入することが多いため、地面との接点(接地面)の折り返しや固定が必要。折り返しには、石をおもりに使うよりも、杭を地中に打ち込んで固定する方が良い。(イノシシは好んで石を鼻で転がし、ミミズや昆虫などのエサを探す習性があるため。)
金網 トタンに比べて景観を損なわない、風通しがよいなどの理由で使用される。視覚的な遮断効果は薄く、イノシシから農作物が見えてしまう。また、地面との接点(接地面)を地面に打ち込むなどの補強がないと、くぐり抜けられる恐れがある。
溶接金網
(ワイヤーメッシュ)
直径約5ミリメートルの金棒を格子状に溶接し、桝目が約15センチメートル角程度のものが多く出回っている。イノシシが鼻を引っかけやすい形なので、持ち上げられないよう、支柱はしっかり打ち込む。また、視覚的な遮断効果がないために、イノシシがしつこく侵入を試みる場合がある。このため、飛び越えられないようある程度(1メートル以上)の高さのあるものを使用した方がよい。
ビニールシート 青色のビニールシートが一般的に市販されている。これらのシートは視覚的遮断効果があるため、イノシシの侵入意欲を抑えることが期待できる。しかし、強度に問題があるため、支柱を丈夫なものにしたり、地面との接点(接地面)の固定をしっかり行う。(下からの潜り込みによる侵入事例が多いため。
電線
(電気柵)
効果が期待できるが、(多く使われているためか)失敗事例も多い。
イノシシは鼻先で電線を触れれば電気ショックを受けるが、それ以外の部位で触れてもほとんどショックを感じないため、基本的には鼻先に電線が触れるよう設置する。
また、イノシシが電気ショックを受け、驚き、瞬間的に前方へ走り出してしまうことがあり、侵入を許すだけでなく、電気柵も壊されてしまうことがある。
さらに、電線の隙間が広い場合、幼個体(子どものイノシシ)がくぐり抜けてしまうことがある。
管理面では、下草が電線に触れて漏電しないよう、草刈りをこまめに行う必要がある。(トタンなどを電気柵の下に敷き、草が伸びないようする方法もある。この場合、ゴムマットなどの絶縁素材を敷かないよう注意。)

 どの侵入防止の方法も一長一短があり、それぞれの方法の弱点を補うように組み合わせることにより効果が期待できます。したがって、既に持っているものを組み合わせて効果的な柵をつくる工夫も必要です。
 また、音、光や匂いを使った防除方法は、あまり効き目がないと言われています。イノシシなどが慣れてしまう場合が多く、一時的には効果があったとしても持続性がなく、決定的な効果は期待できません。
(野生鳥獣被害防止マニュアル(農林水産省) 抜粋)

(野生鳥獣被害防止マニュアル(農林水産省) 抜粋)

ハクビシンの場合

 登はん能力やバランス感覚が発達しているため、低い侵入防止柵やネット柵では効果が無く、防鳥網程度の網では破って侵入してしまいます。
 また、音、臭い、光等の対策は、警戒心が強いため一時的には効果がありますが、身に危険が及ばないとわかると効果が低下します。
 最も効果的であると思われる対策は、「電気ショックによる対策」です。ハクビシンは体が小さいため、従来の電牧柵ではくぐり抜け、ネット型電気柵では最下部が通電されてないため破って侵入します。

獣捕獲数の推移を示したグラフ
鳥捕獲数の推移を示したグラフ

電気柵等の補助制度

 市では、田畑へイノシシなどの野生動物が侵入しないように設置する「防除柵」や「電気牧柵」の購入費用の一部を補助する制度があります。
 補助条件、補助限度額などに制限がありますので、詳しくは農林課へご相談ください。(JAながのでも補助制度があります)

駆除期間中はご協力をお願いします

 有害鳥獣駆除期間中は、千曲市猟友会の会員が銃や箱檻等を利用して有害鳥獣の駆除を実施しますので、農作業の時は十分注意していただくとともに、ご理解ご協力をお願いします。

駆除状況(事業主体:千曲市有害鳥獣駆除対策協議会)

野生動物を捕獲するには

 野生鳥獣は、法律により保護すべきものされ、捕獲は厳しく制限されています。

1.資格が必要

 オリ、ワナなどを使って野生動物を捕獲するには、その道具(わな、銃器など)に対応した狩猟免許を持っていることが必要です。

2.許可が必要

 資格を持っているだけでは、捕獲できません。狩猟期間(長野県は、毎年11月15日から翌年2月15日まで)以外は、県などの許可を受けなければ捕獲することはできません。

狩猟期間中の捕獲について

 狩猟期間の野生鳥獣の捕獲については、狩猟で使う道具(銃、わななど)に対応する狩猟免許を持っている人が、狩猟をする区域の都道府県に登録をして、決められた期間中に行うことができます。また、狩猟で捕獲できる鳥獣の種類も法令により限定されています。

爆音器の適切な使用について

 近年、爆音器の騒音による苦情が多くなってきています。
 爆音器を使用する場合は、周辺の状況等を考慮して適切に使用いただくよう、ご理解とご協力をお願いします。

  • 地形や周辺環境を考慮して音の出す方向を調整してください!
  • 音量は必要最小限にしてください!
  • 使用する時間帯に注意してください!(特に、早朝や夜間には使用しない)
  • 住宅に近い場所などでは他の防除方法についての検討もお願いします!

なお、長野県からも次のように通知されていますので、ご協力をお願いします。

  1. 住宅地から直線距離にして200メートル未満の位置で使用しないこと。
  2. 早朝及び夜間には、使用しないこと。
  3. 爆音器に代わる、例えば防鳥網や電気柵などの使用を推進すること。

この記事に関するお問い合わせ先

農林課
〒387-8511
長野県千曲市杭瀬下二丁目1番地
電話番号:026-273-1111
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