所信表明(令和6年12月議会)
1 はじめに
市議会定例会の開会にあたり、二期目の市政に向けた私の 所信の一端を申し述べさせていただきます。
去る10月27日執行の千曲市長選挙におきまして、多くの皆様からご信任をいただき、再び千曲市の舵取り役を担わせていただくこととなりました。
あらためまして、皆様に厚く御礼申し上げますとともに、皆様からお寄せいただきましたご期待にお応えすべく、その職責の重さを改めて心に刻み、「すべては市民のために」との思いで、精一杯取り組んでまいります。
2 基本姿勢・方針、主な取組
本市の課題と基本姿勢「すべては市民のために」
少子高齢化の進展や若い世代の転出超過による「生産年齢人口」の減少によって、地域の担い手不足が顕在化し、地域経済の縮小や地域活力の低下を招きつつあります。そうした状況下においては、急激な人口減少を最小限に抑制し、地域経済の縮小・地域活力低下の克服に努め、安心して暮らせる、活力を維持できるまちにするための施策を一刻も早く進めていかなければなりません。
また、気候変動による頻発化・激甚化する自然災害への備えとして、防災・減災の取組も急を要するものであります。さらに、 公共施設等の更新時期を迎え、老朽化や耐震基準不適合、合併に伴う偏在などの問題に直面しています。
これらの課題にスピーディに対応すべく、これまで私は職員や 議会の皆様とともに取り組んでまいりましたが、いずれも限られた財源の中では容易なことではありません。住民サービスを低下させずに安心して暮らせるまちにするためには、産業振興や定住促進によって市の自主財源を生み出し、これを将来にわたって安定的に確保していくことが必要不可欠であります。自主財源を生み出す産業振興や定住促進の基盤となるものが、インフラ整備や子育て・教育の各施策であると考え、これらを中心に力を注いでまいりました。
それぞれの事業の実施には、財政状況に最大限配慮して財政規律を守りながら、時期や手法を工夫して財政負担の平準化を図っております。
しかし、先の選挙戦を通じて、市の財政状況や事業について不安の声も寄せられました。議会の議決を経て進められているはずの事業であり、市報やホームページなどでも伝えてまいりましたが、正確な情報がまだまだ市民の皆様に伝わっていなかったことが分かりました。より多くの市民の共感、納得を得られるためには、その前提となる正確な情報の共有が大切であります。
そこで、今後は財政状況や事業について、より多くの市民に 分かりやすく説明する方法を検討してまいります。
私は、これまで「すべては市民のために」という姿勢でスピード感を持って市政運営に取り組み、職員にも常々市民の立場に 立って考える「想像力」と、前例踏襲でなく創意工夫で取り組む「創造力」とスピード感を持って職務に精励するよう訓示してまいりました。これからも引き続き「すべては市民のために」二つのソウゾウリョクとスピード感を持って市政運営に取り組んでまいります。
市民目線の行政を実現するためには、私たちはサービス業の 一員であるという意識で、常に市民の皆様のために気配り・心配りをし、職員の挨拶や報告・連絡・相談などの「凡事徹底」に引き続き努めてまいります。
なお、市民には当然、職員も含まれます。職員の仕事の質を高め、生産性を向上するため、能力を最大限発揮できるような「働き甲斐のある」職場環境づくりが大切です。これまで行なってきた職員との昼休みの意見交換の機会などを通じて、より良い職場環境づくりに努めてまいります。組織改編も順次行ない、 縦割り行政の弊害をなくし、社会の変化に即応できる組織にしてまいります。
策定された計画の着実な実行
以上の問題意識を持って、令和4年4月よりスタートした市の最上位計画である「第三次千曲市総合計画」に掲げた基本目標のもと、計画された各種施策の着実な推進により地域の発展と住民福祉の向上に努めてまいります。本市の強みを伸ばしつつ社会変化に迅速・的確な対応をすることによって、選ばれるまち、持続可能なまちを目指します。
市民一人ひとりを大切に、福祉・医療など各計画に従い、支援が必要な方々へのサポートを拡充していくことで不安を解消し、 市民生活に寄り添ってまいります。
強みを伸ばし活かすまちづくり
本市の持つ「強み」は立地・交通アクセスの良さに起因する住みやすさと豊富な地域資源であります。長野県は毎年、移住人気ランキング上位県。その長野県の中でも、本市は交通の要衝として県内主要都市へのアクセスも良く、利便性に恵まれた立地にあります。本市の強みをさらに伸ばし、強みを活かしたまちづくりを目指します。
本市の強みである立地の良さを更に伸ばし活かすために都市基盤や社会資本の整備を進め、子ども・子育て支援の充実などと併せて、子育て世代・若い世代に選ばれるまちにしたいと考えております。子育て世代・若い世代の定着には働く場所も必要です。良好な都市基盤・社会資本を整備することは企業等の進出につながり、雇用や税収を確保する上で重要な手段となります。
子どもの育ちと学びを支える(子育て、教育、人財育成)
千曲市は8年連続で転出者よりも転入者が多い「社会増」となっておりますが、その主な要因は本市の立地の良さによる子育て世代の転入増加であると認識しております。人口減少を最小限に抑え、安心して暮らせるまちづくり、活力あるまちづくりを進めていくためには、安心して子どもを産み育てやすいまちとして、子どもの育ちと学びを地域で支え、皆で子どもを育むことが重要です。
そして、「こども基本法」の理念をもとに「こどもまんなか」社会の実現を目指してまいります。子ども一人ひとりを大切にし、子育て世代が魅力を感じる子ども・子育て支援の推進と教育環境の充実に更に力を入れ、人材(人財)育成に取り組んでまいります。
具体的には、子ども一人ひとりを大切に学びの個性を尊重し、こども・若者の居場所づくりやフリースクールの利用者支援にも取り組んでまいります。
また、学びは生きる力の礎となります。ICT活用による基礎学力の向上を進め、そのうえで探求的な学びの定着につなげてまいりたいと考えております。
さらに、清泉女学院大学(清泉大学)の農学部の開設は本市にとって絶好のチャンスとなります。2027年の開学を目指し、大学と市内の学校との連携、市民の生涯学習の充実、地域の農業・ 商業・工業など、地域の人材育成と産業振興につながるよう、 可能な限りの支援をして大学を中核とした施策にも取り組んでまいります。
子育て世代の意見で多いものが、こどもの遊び場の充実と小児科不足への対応です。具体的なニーズを把握して対策を講じてまいりたいと考えております。18歳以下の子どもの医療費については来年度中の完全無償化に向け準備を進めております。
なお、子どもを育むという観点から、来年度から教育委員会に保育課とこども未来課を移管する組織再編を考えており、今議会で条例案を提出いたします。
地域の個性に光を当てる(地域のブランド化)
また、もう一つの本市の強みは、歴史・文化、豊富な地域資源です。森将軍塚古墳、あんずの里、姨捨棚田、戸倉上山田温泉、歴史的街並みなど、他の自治体が羨むような地域の宝があふれています。各地域の個性に光を当て地域の特色を磨き、ブランド力向上を目指します。一人ひとりが地域への誇りと愛着を持ち、皆でこれらを磨き上げることができるような取組を進め、地域の文化・産業に携わる方々との思いの共有と創造し、心豊かで品格あるまちを目指します。
これらの歴史文化遺産・地域資源を観光振興につなげるため、姨捨棚田、稲荷山重伝建、古墳などグローバルとサスティナブルも意識して海外も視野に、持続可能な地域として魅力発信してまいります。そのためには、基本的な観光地として必要な整備にも 取り組んでまいりたいと考えております。
なお、八幡地区の地域防災拠点・道の駅については、市内全域の経済振興(農業、観光)と交流の拠点が道の駅であり、水害リスクの少ない場所に防災拠点を整備する考えであります。道の駅ですので、「公民共創」による民間企業と連携し、地域経済の好循環と市益につなげてまいりたいと考えております。
戸倉上山田温泉街については、県道の早期改良、国道18号 バイパス早期事業化を目指しつつ、地域との連携で戦略的に 「昼間も街歩きが楽しめる」新しい温泉街の形を研究してまいりたいと考えております。
また、総合運動公園構想にもとづき、戸倉体育館周辺、白鳥園、河川敷一体を魅力あるエリアにする計画は、段階的にかつ着実に進めております。なお、戸倉体育館は老朽化し耐震基準不適合であり、安全で快適な空調設備を有する避難所として早期整備する計画で進めてまいります。
以上の事柄を進めていくためには、常にアンテナを高くし、チャレンジ精神とスピード感を持って部局横断的に市民や民間企業等とも連携しながら取り組んでまいります。
市民との絆、情報発信
現在行っている市民の声を聞く取組である「ポリネコ!CHIKUMA」が今年度のマニフェスト大賞シティズンシップ部門の優秀賞を受賞しました。消防団の課題や子育て世代の声、 中学生の声など広く市民の声をお聞きしてきた取組ですが、これに基づく政策立案を進めております。引き続き効果的に活用して市民ニーズを正確に把握できるよう努めてまいります。また、市長と語ろう「お出かけシェアトーク」もアップデートして、より多くの地区で、可能な限り市内すべての区・自治会での車座集会等につなげてまいりたいと考えております。
さらに今年度からLINE公式アカウントの運用も開始し、ご好評をいただいております。プッシュ型の通知により、適時適切な 発信、情報取得が可能となります。多くの市民の皆様にご登録をお願いいたします。そしてSNSやYouTubeやアニメ等を活用し市の魅力PR、情報発信の強化に引き続き取り組んでまいります。
3 結びに
ただいま申し上げたいずれの政策も、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力なくして実現できるものではありません。
今、私たちは様々な課題に直面しておりますが、一期目は精一杯皆様とともに課題解決の道筋をつけてまいりました。これからも月明かりのようにやさしく一人ひとりを照らし、個人の尊厳を大切にし、人を育み、その成長を見守り、それぞれの文化を大切にして、人々がつながっていく「品格のあるまち」を目指します。そのために引き続き、情報収集、客観的分析、柔軟な発想、スピード感、 創意工夫を大切にして、ベストを尽くしてまいります。
今後も千曲市のブランド力の確立と向上に努め、市内の特色ある農業や商工業などの産業、伝統行事、景観、温泉など市内の様々な文化を伝承し磨き上げ、進化させ、そして、新たな文化を創造する「文化伝承創造都市・千曲」を目指し、豊かで力強さを持ち合わせた「品格あるまちづくり」に引き続き、取り組んでまいります。
まちづくりは、私一人だけで行うものではありません。千曲市は皆様一人ひとりのまち、私たちのまちであります。職員はもちろん、議会の皆様、市民の皆様と共に教え合い、共に学び合い、共に助け合いながら、まちづくりに取り組んでまいります。
今や、千曲市は県内でも勢いのあるまちとして注目され、確実に活力が生まれ始めています。私は、圧倒的熱量と覚悟を持って「すべては市民のために」これからも精一杯働いてまいります。信念と決断力を持って、皆様と一緒に心おどる新しい千曲市の姿を一緒に体現してまいりたいと考えております。
皆様方には、今後とも、格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。
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更新日:2024年12月26日