令和7年度施政方針演説(令和7年3月議会)

更新日:2025年02月19日

1.はじめに

本日ここに、令和7年第2回千曲市議会定例会が開会し、令和7年度一般会計予算案をはじめ諸議案のご審議をお願いするにあたり、新年度の市政運営に臨む所信とともに、重点施策などの概要について申し上げます。

今日、雇用・所得環境が緩やかに改善する下で、景気も回復傾向が続いているといわれておりますが、物価高騰が続く中、その実感には乏しい状況にあると認識しております。超高齢・急激な人口減少社会の到来は、行政サービスも含め、担い手不足が急速に深刻化し、インフラや公共交通、物流の維持等に支障を生じさせ、あらゆる社会課題に対応しなければならない局面を招いており、将来にも大きな影響を及ぼすと考えられています。

こうした中、自治体においては、地方創生への取組をはじめ、子ども・子育て政策の強化等による人口減少対策、先行きの見えない物価高騰への対応、福祉・医療や教育の充実、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化対策、デジタル化、脱炭素化の推進、頻発化・激甚化する自然災害に備えるための防災・減災対策など、従来にも増して果たすべき役割が拡大しており、それに伴い必要となる財政需要も増加している状況にあります。

諸課題が山積する中ではありますが、未来に向かって持続可能なまちづくりを実現するため、市の将来像「文化伝承創造都市・千曲」を目指し、「すべては市民のために」の思いを心に刻み、職員と共有、一丸となって各種施策・事業に取り組んでまいります。

新年度においても、「第三次千曲市総合計画」に掲げた基本目標の実現に向けて取組を進め、地域の発展と住民福祉の向上に努めてまいります。

地域の発展と住民福祉の向上には、産業振興や定住促進によって市の税収等の自主財源を増やし、将来にわたって安定的に確保していくことが必要不可欠であります。自主財源を生み出す産業振興や定住促進の基盤となるものが、インフラ整備や子育て・教育の各施策であると考えております。本市の強みを活かした基盤整備に加え、また、市民一人ひとりを大切にして、支援が必要な方々へのサポートを拡充しながら、市民生活に寄り添う施策を展開してまいりたいと考えております。

そこで、所信表明で申し述べた以下の4つの基本方針のもと市政運営に全力で取り組んでまいります。

2.基本方針

(1)子どもの育ちと学びを支える(子育て、教育、人財育成)

基本方針1つ目は、「子どもの育ちと学びを支える」であります。

人口減少を最小限に抑え、安心して暮らせるまちづくり、活力あるまちづくりを進めていくためには、安心して子どもを産み育てやすいまちとして、子どもの育ちと学びを地域で支え、皆で子どもを育むことが重要です。

「こども基本法」の理念をもとに「こどもまんなか」社会の実現を目指し、子ども一人ひとりを大切にして、子育て世代が魅力を感じる子ども・子育て支援の推進と教育環境の充実に更に力を入れ、人材(人財)育成に取り組んでまいります。

また、子ども一人ひとりを大切に学びの個性を尊重し、子ども・若者の居場所づくりや多様な学びへの支援にも取り組んでまいります。

(2)強みを伸ばし活かすまちづくり

2つ目は、「強みを伸ばし活かすまちづくり」であります。

本市の持つ「強み」は立地・交通アクセスの良さに起因する住みやすさであると思っております。

立地の良さを更に伸ばし活かすため、引き続き都市基盤や社会資本の整備を進め、子ども・子育て支援の充実などと併せて、子育て世代・女性・若者に選ばれるまちにしたいと考えております。子育て世代・女性・若者の定着には、働く場所も必要となります。良好な都市基盤・社会資本を整備することは企業等の進出、交流人口の増加につながり、雇用や税収を確保する上で重要な手段であると考えています。

(3)地域の個性に光を当てる(地域のブランド化)

3つ目は、「地域の個性に光を当てる」であります。

もう一つの本市の強みは、歴史・文化、豊富な地域資源であります。森将軍塚古墳、あんずの里、姨捨棚田、戸倉上山田温泉、歴史的街並みなど、他の自治体が羨むような地域の宝があふれています。各地域の個性に光を当て地域の特色を磨き、ブランド力向上を目指してまいります。一人ひとりが地域への誇りと愛着を持ち、皆でこれらを磨き上げることができるような取組を進め、地域の文化・産業に携わる方々との思いの共有と創造をし、心豊かで品格あるまちを目指してまいります。

(4)市民との絆(きずな)と情報発信

4つ目は、「市民との絆と情報発信」であります。

現在行っている市民の声を聞く取組は、「ようこそ市長室」、「私のまちづくり提案」、「ポリネコ!CHIKUMA」などであります。引き続き効果的に市民ニーズの正確な把握に努め、政策立案に活かしてまいります。また、市長と語ろう「お出かけシェアトーク」もアップデートして、より多くの地区で、可能な限り市内すべての区・自治会での車座集会等につなげ、そうした取組の中で市民と行政との絆を深めてまいりたいと考えております。

さらに、LINE公式アカウントの運用をはじめ、SNSの活用により、適時に適切な行政情報、災害時等における情報発信が可能であることから、その取得において、多くの市民の皆様にLINE公式アカウント等へのご登録をお願いしてまいります。また、SNS、YouTubeやアニメ等を活用し市の魅力PR、情報発信の強化にも引き続き取り組んでまいります。

3.令和7年度予算案の概要

次に、以上の方針に沿って編成した令和7年度当初予算案の概要について申し上げます。

将来に向け、持続可能な千曲市を目指し、今年度(令和6年度)に引き続き人口減少抑制につなげる子育て支援策と、市の強みである「交通の要衝」を活かしたまちづくりに重点を置いた予算編成に取り組みました。

歳入については、国が掲げる「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」により、個人市民税の増収が見込まれるほか、これまで実施してきた企業誘致などの成果により固定資産税の増収が見込めることから、当初予算としては過去最高額となる市税約83億円を見込み、前年度を上回る一般財源を確保することとしました。

一方、歳出については、少子高齢化の影響により引き続き扶助費が増加するほか、庁舎建設や東日本台風の災害復旧事業で借り入れた地方債の償還額が高い水準で推移し、人事院勧告に基づく人件費も増加するなど、義務的経費が増加する中ではありますが、市の発展に必要な事業を見極め、一般会計は予算総額で前年度比7億円増の316億5千万円を計上いたしました。

このほか、国民健康保険特別会計など3つの特別会計と水道事業及び 下水道事業の公営企業会計予算につきましては、総額約176億5千万円の前年度比0.45%増を計上し、それぞれの事業の円滑な運営に努めてまいります。

以上、令和7年度予算は、歳出において義務的経費が軒並み増加するという極めて厳しい(財政)状況ではありますが、冒頭に申し上げたとおり、将来に向け、持続可能な千曲市を目指し、子育て支援事業と「交通の要衝」を活かしたまちづくりに重点を置いた予算案といたしました。

なお、予算執行に当たっては、常に費用対効果を念頭に、限られた財源を有効活用し、市民満足度の向上に努めてまいります。

4.重点施策

重点施策1 子ども・子育て支援と教育環境整備

1つ目は「子ども・子育て支援と教育環境整備」であります。子育て世代の経済的・精神的負担の軽減と妊娠期から子育て期にわたる「切れ目のない支援」を充実させ、既存事業の継続と新たな支援策を講じてまいります。併せて、保育園の施設整備も計画的に実施するとともに、教育環境の整備や学力向上への取組を進めてまいります。

〈福祉医療費給付金事業の拡充〉

まず、福祉医療費給付金事業の拡充であります。市内在住の18歳までのお子さんや障がいをお持ちの方などを対象に、医療費の負担を軽減し福祉の増進を図ることを目的として、福祉医療費給付金事業を実施しております。

令和5年度から子どもの対象年齢を15歳から18歳まで拡大し、令和6年8月からは精神障害者の給付対象を入院費まで拡大するなど、福祉医療制度の拡充に努めてまいりました。令和7年8月からは、新たに、現在1レセプトで同月内上限500円の窓口負担がある子どもの福祉医療費について、窓口負担を無料化し、子育て世帯の更なる負担軽減を図ってまいります。

〈保育施設の整備〉

次に、保育施設の整備であります。「戸倉保育園改築事業」につきましては、「戸倉保育園基本計画」に基づいて「基本設計・実施設計」を行い、令和8年度から着手する改築工事に向けて、事業を推進してまいります。

また、保育室が不足している「埴生保育園」につきましては、0歳児・1歳児のプレハブ保育室設置を進め、保育環境の早期改善を図ってまいります。

このほか人口が増加している地域にある「五加保育園」の未満児保育室増築工事は、令和7年度内の完成を目指してまいります。新園舎が4月開園予定の「屋代保育園」につきましては、新園舎建設後の旧園舎解体工事を進めるとともに、跡地利用についても検討してまいります。

公立保育園は、老朽化が進んでいる園舎があることから、引き続き千曲市公共施設等総合管理計画や千曲市公共施設再編計画、千曲市公共施設個別施設計画の方針に沿い整備を進め、安全・安心な保育施設の確保を目指します。

〈不登校対策支援事業〉

次に、不登校対策支援事業であります。市内小中学校の不登校児童生徒の社会的自立に向けた支援を図るとともに、「千曲市フリースクール等利用者補助金」制度を創設し、多様な学びの場へ通う児童生徒への支援、保護者の負担軽減を図ってまいります。

〈学力向上〉

次に、学力向上についてであります。学校の授業においては、1人1台端末を活用しながら、自ら問いを立て、主体的・対話的に課題解決に向かう授業改善に取り組み、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体化を推進してまいります。

また、児童生徒一人ひとりに、新しい時代に必要となる資質・能力を育成するため、引き続き、小学校6学年・中学校3学年を対象に、「全国学力・学習状況調査」を行い、他の学年においても、「小中学校総合学力調査」を実施し、学力や学習の状況を把握し、日々の授業改善や教育課程の改善などに活用してまいります。

〈地域クラブ活動体制整備事業〉

次に、地域クラブ活動体制整備事業(中学校部活動の地域移行)であります。本市では、坂城町と共に「千曲坂城クラブ」を令和5年3月に設立し、個人と社会のウェルビーイングの実現を目指して、本年度は更なる生徒のニーズに対応していくため、3つの新専門部を設置し、18の専門部で休日部活動、一部の専門部では平日部活動についても、段階的に「千曲坂城クラブ」での活動に移行してまいりました。

令和7年度は、休日部活動をすべてクラブ活動とし、平日も可能な限りクラブでの活動を進めます。令和8年度には、休日・平日すべてクラブへの完全 移行を目指してまいります。

〈通学路の危険箇所整備〉

次に、通学路の危険箇所整備であります。継続的に通学路の安全を確保するために、学校及び関係行政機関と通学路の合同点検を実施し、危険箇所については令和3年度から通学路の交通安全対策事業を進めております。

令和7年度は、埴生小学校への通学路である市道埴生本線歩道新設工事や市内各所のグリーンベルト設置を実施し、通学路の安全対策を講じるとともに、対策実施後の効果検証を行ない、対策の改善・充実を図ってまいります。

また、地域協働の観点からも市民・民間団体、関係行政機関と連携し、交通安全意識の高揚を図るよう情報交換や広報・啓発活動、安全教育、安全パトロールを行なってまいります。

〈学校給食費の公費支援〉

次に、学校給食費の公費支援についてであります。学校給食を賄うにあたり給食食材費及び燃料代等の高騰が続くなか、物価高騰に直面する保護者の経済的な負担軽減と給食の質を確保するため、昨年に引き続き、給食費の増額は行わず、賄い材料費の一部について公費支援を実施いたします。

また、給食費の支払いが困難と認められる家庭に対しましては、就学援助制度により実費相当分の支援を継続して行ってまいります。

〈高校再編〉

次に、高校再編であります。県立高校の再編につきましては、現在、『第三次高校再編・整備計画』に基づき、長野県教育委員会が設置する新校再編実施計画懇話会において、再編対象校の学びの現状、地域連携などの紹介・状況共有を通じ、懇話会参画委員による意見交換・協議が進められています。

私(市長)や教育長のほか、千曲市から多くの方々が参画する懇話会ではグループ討議も始まりましたが、時代を捉えた目指すべき学校像・生徒像、活用する校地や校舎、設置学科について意見を交わし議論しております。

子どもの学びの保障、地域産業の担い手となる人材育成、市のまちづくりの視点も併せてさらに議論を深め、『市内県立高校2校の配置を確保し、適正な学校配置による教育の機会均等を図ること、教育の場を確保すること』を目指してまいりますので、ご理解ご支援をお願いいたします。

〈高等教育機関との連携〉

次に、高等教育機関との連携であります。令和9年4月の(仮称)農学部開学を目指して、現在、清泉女学院大学(本年4月から清泉大学に名称変更)では、旧更埴庁舎跡地に建設するキャンパスのデザイン等について検討が進められているところでございます。

令和7年度は、農学部の開学に先立って、プレオープンキャンパス(仮称)を千曲市内で開催する予定となっております。広く市民の皆さまや事業者の皆さまに大学のことを知っていただき、千曲市一丸となって市内初となる大学を歓迎する意識の高揚を図ってまいります。

今後、農学部開学後の大学との連携につきましては、キャンパスの建設についてある程度の道筋がついてから、農業分野のみならず、産業や観光、教育など様々な分野において強化を進めてまいりたいと考えております。

重点施策2 健康増進支援の充実

〈低所得の妊婦に対する初回産科受診料支援事業〉

まず、低所得の妊婦に対する初回産科受診料支援事業についてであります。低所得の方に対して妊娠期からの支援を充実させるため、初回の産科受診料の費用を助成し、経済的な負担軽減を図るとともに、当該妊婦の状況を継続的に把握することで必要な支援へつなげ、子育て期にわたる切れ目のない支援を行ってまいります。

〈1か月児健康診査の追加〉

次に、1か月児健康診査の追加についてでありますが、乳幼児健康診査については、母子保健法により、「1歳6か月児」および「3歳児」に対する健康診査の実施が義務付けられております。他にも、3か月児健康診査、7か月児・10か月児離乳食相談、2歳児健康診査を実施しておりますが、新たに「1か月児健康診査」を追加することにより、子どもの発育や栄養状況の確認、異常の早期発見、虐待の予防や早期発見につなげ、乳幼児の健康の保持増進に努めてまいります。

〈任意インフルエンザワクチン予防接種助成事業の拡充〉

次に、任意インフルエンザワクチン予防接種助成事業の拡充であります。現在、小中学生及び高校生を対象として実施している任意インフルエンザワクチン予防接種の一部助成を、乳幼児まで拡大し、子育て世帯の経済的負担の軽減と、インフルエンザの流行と重症化の予防に努めてまいります。

〈帯状疱疹ワクチン定期接種事業〉

次に、帯状疱疹ワクチン定期接種事業であります。帯状疱疹は、80歳までに3人に1人が罹患すると推定されており、ワクチン接種によって発症率の低下や発症後の症状軽減が期待できます。

国では、令和7年度から、65歳の方などを対象に帯状疱疹ワクチンの定期接種を開始する方針を決定したため、詳細が決まり次第、希望する市民が安心して接種していただけるよう準備を進めてまいります。

〈産科・小児科開設補助事業〉

次に、産科・小児科開設補助事業であります。地域における医療体制の構築を推進し、子育て世帯が安心して子どもを産み育てられる環境を整えるため、産科・小児科開設補助事業を創設いたします。

産科及び小児科を開設する、又は既存診療所等に産科及び小児科を新設する際の土地・建物・医療機器の取得などに係る経費の1/2以内を補助し、補助金額の上限は5,000万円です。令和7年度の早い時期に募集を開始できるよう準備を進め、予算は応募があった際に補正予算等で対応してまいります。

重点施策3 物価高騰対策

3つ目は「物価高騰対策」であります。長期化する物価高騰は、需要と供給のバランスの崩れ、電力・ガス・燃油などのエネルギー価格の高騰や原材料費の上昇、円安、賃金上昇、人手不足など様々な要因によって生じており、市民生活、地域経済に深刻な影響を及ぼしています。令和7年度においては、物価高騰対策として、次の支援を講じてまいります。

〈ひとり親世帯生活支援特別給付金給付事業〉

まず、ひとり親世帯生活支援特別給付金給付事業であります。長期化する物価高騰の影響を受ける低所得のひとり親世帯を支援するため、児童1人当たり1万円の特別給付金を支給します。

加えて、低所得世帯への支援として、令和6年度千曲市一般会計補正予算(第6号)で予算化しました物価高騰対応重点支援給付金給付事業及び長野県価格高騰特別対策支援金給付事業につきましては、繰越手続きを経て、対象者へ速やかに給付金を支給できるよう取り組んでまいります。

〈事業者支援事業〉

次に、事業者支援であります。エネルギー価格・原材料価格の高騰に直面する社会福祉施設等の安定的なサービス提供を下支えするため、光熱費・食材費・ガソリン代の価格高騰分の一部を助成する「社会福祉施設等価格高騰対策支援事業」、就労継続支援B型事業所を新規建設する福祉施設に対し、資材費等の高騰分を助成する「障害者支援施設等建設費高騰分補助事業」を講じてまいります。

このほか、燃料価格高騰の中にあって、市民の暮らしや産業活動を支える社会インフラである物流を維持している貨物運送事業者や市民の日常生活における移動手段を支えるバス・タクシー事業者に対する助成、また、燃料価格高騰により、経営が圧迫されている農家に対し、燃油購入費用を助成するなど、事業継続に向けた支援を講じてまいります。

重点施策4 活力ある住みよいまちづくり

〈戸倉体育館エリア整備事業〉

まず、新戸倉体育館整備運営事業であります。本事業は、令和10年に開催される第82回国民スポーツ大会に向け、千曲市総合運動公園基本構想に掲げた戸倉体育館エリアの屋内スポーツゾーンに、老朽化している戸倉体育館に代わる新たな体育館を建設するもので、事業方式は、設計・建設・維持管理・運営において、持続可能で良質な公共サービスの提供と市の財政負担軽減を目的として、民間の資金やノウハウ等を活用するPFI方式で実施いたします。

昨年12月にPFI法の規定に基づく特定事業の選定結果について公表し、54億円を提案上限額とする公募型プロポーザルの公告を行ったことから、今後、参加表明の受付や競争的対話の実施、提案書の受付、審査等を経て、今年7月頃には優先交渉権者を決定し、9月には議会承認を得て事業契約を締結したいと考えております。

できるだけ地元企業の活用につながるよう配慮しながら、国民スポーツ大会までの完成を目指し、事業を遅滞なく進めてまいります。

〈観光施設整備事業〉

次に、観光施設整備事業であります。姨捨の棚田ビューポイントの外構施設や公衆トイレ、案内看板等を整備することにより、来訪者が安全に眺望や棚田の散策が楽しめるよう事業に取り組んでまいります。

日本遺産に関しましては、日本人の美意識を表す「月見」をストーリーとした構成文化財の魅力の発信やイベントの開催により認知度の向上を図るほか、当市の持つ地域資源を活かした観光誘客にも引き続き取り組んでまいります。

〈屋代小学校旧本館整備事業〉

次に、屋代小学校旧本館整備事業であります。千曲市指定有形文化財である屋代小学校旧本館につきましては、今年度、実施設計が完了し、令和7年度から改修工事に着手いたします。なお、旧本館の保存と活用にあたっては、地域に親しまれる開かれた施設となるよう「屋代小学校旧本館の保存活用を進める会」と引き続き協議しながら進めてまいります。

〈シティプロモーション推進事業〉

次に、シティプロモーション推進事業であります。これまでPR大使を起用した地域資源を巡る動画の制作・公開、市内外でのイベントへの出演、千曲市を舞台にしたアニメ「Turkey!」のオリジナルデザイン制作、ラッピングトレインなど、千曲市の知名度向上とイメージアップを図り、市の魅力を全国に発信することを目的に取り組んでまいりました。

「Turkey!」については、制作サイドから、2025年の公開が発表されたことから、公開に向けて、市内各地を「Turkey!」のデザインで装飾(シティドレッシング)し、ラッピングバスを運行させるなど、市民に向けたアニメの訴求を図り、放送開始前から機運を高めてまいります。アニメ放送開始以降は 聖地巡礼などにより千曲市を訪れる観光客等に対し、視覚的にも受け入れ態勢を整え、市内の賑わいの創出に繋がるよう取り組んでまいります。

〈サテライトオフィス進出支援〉

次に、サテライトオフィス進出支援であります。令和6年度に、市が開設を支援した「萬屋ビルヂングサテライトオフィス」に入居する企業に対して、進出支援金を交付することで、地方への新たな人の流れを創出し、地域活力の向上や将来的な移住・定住に繋げてまいります。

〈その他の事業〉

このほか、しなの鉄道が計画する交通系ICカード導入事業に対し、沿線自治体としてその費用の一部を負担する「地域鉄道キャッシュレス決済導入事業」を実施するほか、書かない窓口の実現を目指し、市民の申請書記載の負担を軽減する「申請書作成支援システム導入事業」に取り組むなど、市民の利便性の向上を図り、住みよいまちづくりに繋げてまいります。

重点施策5 安心・安全なまちづくり

〈防災対策事業〉

まず、防災対策事業であります。市民一人ひとりが主体的に行動する防災意識の高い社会を実現し、「逃げ遅れゼロ」を目指してまいります。引き続き、防災行政無線戸別受信機の活用による情報伝達手段の充実や、民間事業所との協定締結による避難先の確保、また、避難所開設運営体制の強化と防災備蓄品の拡充による避難者の受け入れ体制の強化を図ってまいります。

加えて、各地域における備蓄品の整備や地区防災計画の作成を促進するため、自衛消防団等運営補助金の拡充を図るとともに、計画を踏まえた防災訓練や防災教育を実施するなど、「地域防災力」を高める取組が進められるよう、引き続き必要な支援をしてまいります。

また、河川の越水等による外水氾濫と下水道の排水能力を超えることによる内水氾濫、それぞれに即したハザードマップの作成を進めており、新年度当初のできるだけ早い時期に全戸配布する予定です。併せて自分とその家族を守るため、災害時に取るべき行動を明確にしておく「マイタイムライン」の作成が進められるよう、出前講座などを通じて支援を行うとともに、市報やSNSなどの各種媒体を使った啓発を行い、防災意識の向上に努めてまいります。

このほか、消防団に対する新たな支援策として、準中型自動車免許を取得した消防団員に対し、免許取得に係る費用の全額補助を行うなど、地域消防力の充実・強化を図ってまいります。

〈地域防災拠点・道の駅整備事業〉

次に、地域防災拠点・道の駅整備事業についてであります。昨年9月に策定した基本構想においては、地域防災力の向上や地域資源の活用による地域経済の好循環、来訪・再来訪につながる本市の魅力発信など、多様な課題の解決につながる多機能拠点の整備に向け、導入する機能や事業手法・管理運営手法を整理いたしました。

また、市報において「安心安全と賑わいを創出する。地域防災拠点・道の駅整備事業について」と題した特集ページを連載し、事業の経緯や必要性などについても、市民の皆様にわかりやすく周知してまいりました。

現在、基本計画の策定作業に入っており、今後も国等関係機関への働きかけを行うとともに、民間活力の導入も念頭に関係団体や期成同盟会とも意見交換を重ねてまいります。

〈信濃川水系緊急治水対策プロジェクト〉

次に、令和元年東日本台風災害を機に国・県・流域市町村が連携して立ち上げた「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」は、流域全体で各種施策を一体的に進めております。

国では、千曲川本川の河道掘削、堤防強化、市内2か所に計画した遊水地整備を進めております。

中・新田地区の埴生遊水地では、令和5年5月の起工式以降、排水樋門付近の工事が完了し、現在は東林坊川の付け替え工事が進められております。また、八幡地区の平和橋遊水地では、用地取得が進み、工事着手に向けた準備が進められており、並行して遊水地整備に合わせた内水対策について、地元調整や詳細検討をしております。

千曲川の土口水門付近では河道掘削が継続して行われ、中地区でも河道整正による堆積土砂の搬出が進められております。また、雨宮地区の 堤防においては令和7年度末完成を目標とした堤防強化(越水対策)が集中的に進められており、野高場地区においても令和9年度末完成を目標とした堤防強化(浸透対策)が計画的に進められる予定です。県管理河川においては、沢山川の堤防強化が今年度完了となり、継続して沢山川をはじめとする河川の浚渫等が行われます。

本市では、千曲川杭瀬下水位観測所における氾濫危険水位5mの高さに洪水を到達させないことが最も重要であると考え、国、県に対して河道掘削、堤防強化、遊水地整備及び計画に基づく河川整備等について粘り強く要望するとともに、緊急的に進める事業が円滑に進むよう連携して取り組んでまいります。また、住宅や公共施設への雨水貯留施設の設置などによる河川への流入抑制や、排水機場の改修整備、市民への迅速な水位情報の提供など、減災・治水対策を総合的に推進してまいります。

〈雨水排水ポンプ場の更新工事〉

次に、雨水排水ポンプ場の更新工事であります。市内3箇所に設置されている雨水排水ポンプ場については、ライフサイクルコストの低減を図るとともに、排水機能の維持・確保を目的として令和6年度より工事着手し、令和8年度まで計画的に更新工事を実施してまいります。

〈木造住宅の耐震化対策の推進〉

次に、木造住宅の耐震化対策の推進であります。大規模地震から市民の生命、財産を守るために、住宅の耐震診断や耐震改修工事に対する助成、また耐震性に劣る住宅の除却、ブロック塀の撤去及び撤去後に設置する軽量塀等に対する助成を引き続き行い、木造住宅の耐震化を促進してまいります。

このほか、建物の耐震化ではありませんが、人命を守るために工事より安価な耐震シェルター等の助成についても引き続き行ってまいります。

重点施策6 将来への投資・基盤整備

〈公民共創による行政課題の解決〉

まず、公民共創による行政課題の解決であります。現在、開発が進んでいる雨宮産業団地・八幡東産業団地は、本市の強みである立地の良さを活かし、公民連携事業として行政と民間事業者が相互に連携協力し、役割を分担することで良好な産業基盤を整備し、もって地域産業の振興と市民生活の向上に寄与することを目的に取り組んだものであります。

山積する行政課題を解決するには、民間事業者等と早い段階から対話を重ね、民間事業者等の高い専門性やノウハウ、資金などを活用し、持続可能で良質な新たな市民サービスの創出、地域や経済の活性化を目指す必要があると考えております。

そこで、今年度から内閣府の支援を受けながら、公共施設等の整備・管理運営や公有財産の利活用などにおいて、従来方式よりも優先してPPP/PFI手法の導入を検討するための指針となる「優先的検討規程」の策定作業を進めております。民間事業者の創意工夫を取り入れる領域や推進体制の構築など、多様な分野において公民共創の取組を進めるための枠組みを早期に整え、運用を始めたいと考えております。

〈屋代地区スマートIC整備事業〉

次に、屋代地区スマートIC整備事業であります。(仮称)屋代スマートインターチェンジの整備については、千曲市とネクスコ東日本が相互に協力しながら、現地での測量・設計業務に取り組んでいます。ネクスコ東日本による設計業務が進み、用地幅が決まることから、市は令和7年度から用地・物件補償等に関する測量・調査を実施し、用地取得を進めてまいります。

また関連事業として、今年度から道路ネットワークのより高い効果発現、多様な交通手段の確保や市内観光地への回遊性・利便性を高めるための条件等を整理し、市内全域の地方創生・地域活性化に向けた新たな交通拠点の整備に必要な施設の配置規模や管理運営の手法等について調査を進めております。

今年1月には交通拠点内施設の管理運営に係る民間活力の導入も念頭にサウンディング型市場調査を行い、参画意向や導入可能な機能、他の関連施設や拠点との連携など、多様なアイデアをお寄せいただきました。今後、各種調査の結果がまとまりましたら、市報やホームページ等を通じて市民の皆様にお知らせしたいと考えております。

〈産業連携ネットワーク道路基盤整備事業〉

次に、産業連携ネットワーク道路基盤整備事業であります。都市計画道路一重山線につきましては、都市計画道路の合理的な整備優先順位を定めた「千曲市都市計画道路整備プログラム」において、早期整備の必要な道路(路線)と位置付けております。打沢屋代間の一重山を越えるルートは、(仮称)屋代スマートインターチェンジと市の中心部を結ぶ重要な路線でありますが、地形的な制約があり、しなの鉄道との交差・北陸新幹線との離隔や歴史的・文化的な資源の保護についての詳細な検討が必要なことから、関係機関と諸条件・課題の整理について長野県から助言をいただきながら、より実現性の高いルートを令和7年度中に選定すべく進めております。

併せて必要な調査等を進め、関係機関との協議や、民間主導の期成同盟会及び県との連携を深めることで、事業化に向け着実に進捗を図ってまいります。

〈国道18号バイパス、姨捨スマートインターチェンジ〉

次に、国道18号バイパスは、稲荷山地区において令和3年度から地盤改良工事が着手されて以降、着実に工事が進められ、今年度は(仮称)稲荷山トンネル内の舗装工事が完了し、現在は横断歩道橋の基礎部分の工事が進められております。引き続き国に対し、稲荷山から篠ノ井塩崎間の早期完成とともに八幡から力石までの未事業化区間の早期事業化を積極的に働きかけてまいります。

また、姨捨スマートインターチェンジは、24時間運用以降、利用台数が増加傾向にあり、本市の西の玄関口として観光面や災害時の代替ネットワークとしての役割が期待されております。周辺は地すべり防止区域であり、地盤状況や地形に課題があるなかで、安全性や利便性向上のためのアクセス道路の予備設計を行うとともに、フル規格化に向けた事業効果の検討を行っております。地元推進協議会と連携した国・県への要望活動を行い、ネクスコなどの関係機関と調整しながら、アクセス道路の整備を進めてまいります。

〈都市計画道路千曲線について〉

次に、都市計画道路千曲線の整備であります。未整備区間である磯部地区の総合体育館入口交差点から千曲坂城消防本部付近までの区間について、今年度は道路線形の決定と詳細設計を進めており、事業への協力と理解を深めていただくよう沿線関係者への説明会を開催しております。

令和7年度は沿線の用途地域の変更も併せて、都市計画決定の変更の告示を目指してまいります。

また、用地取得に必要な用地測量や物件補償調査を進め、令和10年に開催される国民スポーツ大会に向け国道18号または県道聖高原千曲線からのどちらかからは新戸倉体育館にアクセスできるよう事業を推進するとともに、沿線関係者には誠意をもって説明することで、ご理解いただけるよう努めてまいります。

〈公共施設の除却・長寿命化〉

次に、公共施設の除却・長寿命化であります。「公共施設等総合管理計画」に基づき、老朽化した公共施設の統廃合や、長寿命化に対応するため策定した「個別施設計画」を推進するための経費につきましては、特定財源を最大限活用し、令和7年度は、約14億1千万円を計上いたしました。

不用となった公共施設の除却を進め、将来的に不用となる土地について宅地等での売却の検討を行い、税収の増加につなげるとともに、保有施設の縮小を図り、将来の施設維持にかかる経費の負担軽減を図ります。

なお、今年度(令和6年度)に実施した旧更埴庁舎・旧戸倉保健センターの除却に続き、令和7年度では旧屋代保育園、旧歴史文化財センターの取り壊しに着手するとともに、市営寂蒔団地の一部解体工事にも取り組みます。

今後も将来の財政的負担の軽減や平準化を図るため、長期的視点に立った計画的な公共施設の更新・統廃合・長寿命化を推進してまいります。

5.その他の主な事業

〈DX(デジタル技術を用いた変革)の推進〉

はじめに、DX(デジタル技術を用いた変革 )の推進であります。人口減少によって社会の担い手が減り続ける中で、少ない人手で持続的な行政運営を堅持していくため、デジタル技術を活用した様々な改革を継続して実施いたします。

法律に基づき国が推進する「地方公共団体情報システムの標準化」により、全国の自治体が行っている基幹系業務に用いる様式が標準準拠様式に統一され、国が整備した全国的なクラウド環境の利用に努めることとされていることから、本市でも令和7年度中に標準準拠様式を変更し、11月を目途に政府共通のクラウドサービスの利用環境である「ガバメントクラウド」に切り替える予定であります。

また、より良い市民サービスを提供し続けるための業務改革に職員が自律的に取り組んでいけるよう、若手を中心としたDX人材のレベルアップを継続して行います。

〈脱炭素社会づくりについて〉

次に、脱炭素社会づくりであります。市では、2020(令和2)年に「気候非常事態宣言」、2022(令和4)年、長野地域連携中枢都市圏として「2050年ゼロカーボン宣言」を発出し、脱炭素社会の実現に向け事業を推進しており、国の目標に準じ、2013年度を基準として、2030年における温室効果ガスの排出量を46%削減、2050年には、正味排出量ゼロを目標として定めています。

具体的な施策として、令和3年度から「蓄電システム設置補助事業」を開始し、令和5年度から太陽光発電システムと蓄電システムの同時設置者も補助対象として、令和6年度からは、V2H(vehicle to home)にも補助を拡充し、創エネ・蓄エネの推進を図ってまいりました。

令和7年度においても、引き続き、自家消費型の自然エネルギーの推進について、一層の啓発を促し、より効果的な施策を研究しながら更に温室効果ガスの削減に向けた取組を進めてまいります。

〈障がい者が安心して生活できる環境づくり〉

次に、障がい者が安心して生活できる環境づくりであります。本定例会にご提案させていただいております「千曲市手話言語条例」(案)及び「千曲市障がい者による情報の取得及び利用並びに意思疎通の推進に関する条例」(案)に基づき、手話が言語であることの理解や普及、また、すべての障がい者が、必要とする情報を十分に取得し利用するなど、円滑に意思疎通を図ることができるようにするための環境整備を進め、条例に掲げる施策を推進してまいります。

〈戸倉地域福祉センター改修工事〉

次に、戸倉地域福祉センター改修工事であります。当センターは、戸倉・上山田地域を中心とした福祉活動の拠点として、デイサービス等の介護保険事業を行っております。平成3年の開設より33年が経過することから、千曲市公共施設個別施設計画に沿ってエレベーターと浴室の改修工事を行い、利用者が安心、安全に施設を利用できるよう環境整備を図ってまいります。

〈農林業の振興〉

次に、農林業の振興であります。農業の振興については、昨今の世界的な食料情勢の変化に伴う食料安全保障上のリスクの高まりや、地球環境問題への対応、海外の市場の拡大等、農業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、4半世紀ぶりに食料・農業・農村基本法が改正されました。

市では食料・農業・農村基本計画の見直しに着手し、地域計画に基づき生産の効率化と担い手への農地集約を促進する農地中間管理事業を実施するとともに、遊休農地の縮減と新規就農者の育成・確保に努めてまいります。

林業の振興については、市の森林経営管理制度基本方針に基づき、手入れのされていない森林の現地調査や所有者の意向調査を実施し、間伐を主体とした森林整備を行うとともに、松くい虫の被害対策については、被害が拡大している地域や、激害化が著しい地域においては、被害の全量駆除が困難なことから、これら対策対象の面的な配置に留意しつつ、対象地の絞り込みを行い、未被害地域への被害の拡大防止を図ってまいります。

〈移住・定住の促進〉

次に、移住・定住の促進であります。当市において、総人口は減少傾向にあるものの、2016年以降、転入者が転出者を上回る、「社会増」の状態が9年連続で続いております。

引き続き相談会等に積極的に参加し、本市の認知度の向上を図るとともに、移住者に寄り添うことを重視して、令和6年度に開設しました移住定住支援サイト「ちくま、つく間に。」をより充実させながら情報発信に取り組み、移住を検討している方々に安心して千曲市を選んでいただけるよう努めてまいります。

併せて、移住の促進はもとより、市内事業所等の人材確保の一助となり 得る制度、定住に結びつける制度の創設について研究してまいります。

〈空き家対策の推進〉

次に、空き家対策の推進であります。専門家団体と連携して行う「空き家相談会」をはじめとする相談体制の充実を図り、セミナーなどの啓発、空き家に関する制度の周知徹底など、管理不全な空き家の発生抑制に努めてまいります。また、危険な状態や管理不全な状態となった空き家は、空家法に基づく行政指導、申し立て制度の活用、除却の補助事業、解体シミュレーターの利用により早期解消を目指してまいります。

〈かわまちづくり事業〉

次に、かわまちづくり事業であります。本事業につきましては、令和6年度に「戸倉上山田地区かわまちづくり協議会」を立ち上げてかわまちづくり計画の検討を重ねてまいりました。

令和7年度は、かわまちづくり計画をかわまちづくり事業認定制度に応募し、計画登録後は、国土交通省と連携を図りながら事業を推進してまいります。

〈水道事業・下水道事業〉

次に、水道事業・下水道事業であります。水道事業は、人口減少に伴う収入減少や施設の老朽化、自然災害への対策など、経営環境が一層厳しさを増しており、将来にわたり安全、安心な水を安定的に提供するためには、ハード・ソフト両面で基盤強化を図っていく必要があります。

事業を取り巻く厳しい経営環境の変化を踏まえ、子や孫の世代まで持続可能な経営体制を構築し基盤強化を図るため、令和6年4月に「上田長野地域水道事業広域化協議会」を設立し、上田市に設置されました協議会事務局に各構成団体から職員派遣を行い協議を進めてまいりました。今後も広域化・広域連携にむけて、協議・検討をより一層深めてまいります。

下水道事業については、重要な社会基盤として、整備・拡張から適正な 維持・管理の時代へと移行しております。農業集落排水事業処理場3施設の公共下水道への統合を進め、施設更新費用や維持管理費の削減による経営の合理化を図ってまいります。令和7年度は、倉科地区の公共下水道への接続工事を実施いたします。森・羽尾地区については、引き続き都市計画と下水道事業計画の変更手続きを進めてまいります。

〈体育施設の整備及び国民スポーツ大会〉

次に、体育施設の整備及び国民スポーツ大会であります。安心して社会体育施設を利用いただくため、内外壁や天井、照明設備などの非構造部を主とした耐震化を進めてまいります。令和7年度は東部体育館の耐震化工事に着手いたします。

続いて、令和10年に長野県で開催予定の第82回国民スポーツ大会、第27回全国障害者スポーツ大会についてであります。昨年10月7日に市民、関係機関・団体、行政の代表者107名からなる千曲市準備委員会を設立しました。

本年には、長野県での開催が決定する見込みであることから、市民の皆様の大会への関心を高める取り組みと併せ、開催に向けた準備を千曲市準備委員会及び各競技団体等と連携し進めてまいります。

6.組織機構の見直し

(1)文化観光スポーツ部の新設

まず、観光を軸にスポーツと文化を活用した交流人口の増加を目的に市長部局に「文化観光スポーツ部」を新設します。

経済部から日本遺産推進係を新設した観光課を移管し、教育委員会からは文化課、歴史文化財センター並びにスポーツ振興課から名称を変更したスポーツ課及び新設する国スポ・全障スポ推進室を移管します。

(2)こども・教育部の新設

次に、「こどもまんなか宣言」を受け、「すべてのこどもが幸せに暮らせる千曲市」の実現に向け、こどもに関する組織を一体化し、出生から義務教育までの連携を強化するため、教育委員会に属する教育部の名称を「こども・教育部」に変更し、改編を行います。

具体的には、健康福祉部から人権政策に係る業務を除いた人権・男女共同参画課並びに廃止となる次世代支援部から、こども未来課及び保育課を移管します。なお、こども未来課・保育課を担当するこども未来担当部長を配置します。

 

以上が主な組織機構の見直しとなりますが、今後も、社会情勢の変化等に対し的確かつ効率的に対応できるよう、組織改編を順次行ってまいります。

なお、令和7年度も引き続き国、県に加え民間企業へも職員を派遣し、職員の人材育成に取り組んでまいります。

7.結びに

以上、申し上げた施策を着実に進めるためには、山積している市の課題を皆さまと共有し、学び合い、助け合うことが大切であります。そして、私たち一人ひとりが主体的に挑む力を持ち、創意工夫と地道な努力を積み重ねることが未来の千曲市を築いていくものであると考えております。

そのためには、今のような時代だからこそ、個人の尊厳を大切にして、月明かりのようにやさしく一人ひとりを照らし、人を育み、その成長を見守り、人がつながり、千曲市を誇りに思える「品格あるまちづくり」に取り組んでまいります。そして、より一層市民の(を深めてまいりたいと考えております。

引き続き、皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。

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