令和8年度施政方針演説(令和8年3月議会)

更新日:2026年02月17日

令和8年2月17日
令和8年第2回(3月)

1.はじめに

本日ここに、令和8年第2回千曲市議会定例会が開会し、令和8年度一般会計予算案をはじめ諸議案のご審議をお願いするにあたり、新年度の市政運営に臨む所信とともに、重点施策などの概要について申し上げます。

依然として続く物価高は、原材料価格の高騰、円安の進行による輸入コストの増大や慢性的な人手不足による物流・人件費の上昇などの要因が複合的に影響し、価格に転嫁せざるを得ない状況により起こっています。また、今日の世界情勢は複数の要因により、不透明感を増し、我が国の社会・経済情勢に与える影響が懸念されています。

千曲市では、国の重点支援地方交付金を活用した「第4弾ちくま生活応援券」の交付について、1月30日の市議会臨時会においてお認めをいただきました。市民の皆さま全員に1人当たり10,000円分の商品券を配布する準備を進めております。

物価高への対応をはじめ、人口減少対策、福祉医療の充実、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化対策、DX、防災・減災対策など、行政の役割は拡大し、それに伴う財政需要も増加しております。自治体を取り巻く環境は厳しい状況にありますが、令和8年度の市政運営に当たっては、最終年度となる「第三次千曲市総合計画」に掲げた基本目標のもと、計画された各種施策・事業に取り組み、市の発展と住民福祉の向上に努めてまいります。

住民福祉の向上のためには、行政サービスの充実が必要ですが、それには財源を伴います。そこで、限られた財源をどのように配分していくかが重要であると同時に、市税等の自主財源を増やし安定的に確保していくための成長戦略も重要になります。

千曲市の特性や資源を活かしながら、時代の変化に迅速・的確に対応し、市民が愛着と誇りを持てる「住んでよし・訪れてよし」のまちを目指します。

そのうえで、以下3つの基本方針をもとに市政運営に心血を注いでまいります。

2.基本方針

(1)次世代を育む

基本方針1つ目は、「次世代を育む」であります。

人口減少を抑制し、すべての人が将来にわたって安心して暮らせるまちづくりを進めていくためには、子どもを生み育てやすい環境づくり、また、子どもの育ちを地域で支える意識や取組が重要だと考えています。

これまで様々な子ども・子育て支援施策を講じてまいりましたが、引き続き「こどもまんなか」社会の実現に向け、子どもの意見を尊重し、すべての子どもたちが安心して暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。子ども一人ひとりを大切にする教育、子育て世代が魅力を感じる子育て支援及び子ども・若者支援を推進してまいります。

(2)強みと好機を活かす

基本方針2つ目は、「強みと好機を活かす」であります。

千曲市では、2016年から10年連続で、転入者数が転出者数を上回る社会増を実現しています。当市の強みである「交通の要衝」とされる立地の良さと豊かな地域資源、子育て支援施策の充実、また、働く場所を確保すべく企業誘致などに取り組んできた結果であると認識しております。これらの強みを更に伸ばすため、交通インフラをはじめ社会資本整備による更なる利便性の向上と、防災・減災対策の計画的推進による安全・安心の確保にも努めてまいります。

また、若者の市外流出が続く中、令和9年4月に開学が予定される清泉大学(仮称)農学部の校舎建設もスタートしました。大学と地域・事業者・行政との連携を進めていくことで、若者の市内定着につなげ、地域活性化と地域人材育成を進める絶好のチャンスとなります。子育て環境の充実と併せて、若者と子育て世代に選ばれる、未来に希望が持てる住みよいまちを目指してまいります。

(3)挑戦し、市民の期待に応える

基本方針3つ目は、「挑戦し、市民の期待に応える」であります。意欲ある職員の提案や挑戦する姿勢を評価し、後押しすることで、職員と一丸となって時代や社会の変化に対応してまいります。これまで行政が担ってきた様々な分野において民間事業者等の高い専門性やノウハウなども活用し、持続可能で良質な市民サービスの創出、地域経済の活性化に向けた公民連携事業を引き続き推進してまいります。

例えば、新戸倉体育館の建設は、民間の資金や能力等を活用するPFI方式に初めて取り組む事業であり、千曲市にとって新たな挑戦でありますが、職員がチャレンジ精神を忘れず着実に事業を進めております。市民の皆さまからの期待が高まっている「地域防災拠点・道の駅」などの事業についても、民間事業者との対話を進めております。

市では昨年「千曲市民間活力ガイドライン」を策定しました。行政課題の解決に向け、今後も様々な事業で民間活力の導入を行ないます。行政だけでは気づかない民間視点の提案に決して臆することなく、公民共創によって市民の皆さまの期待に応える努力を続けてまいります。

3.令和8年度予算案の概要

次に、以上の方針に沿って編成した令和8年度当初予算案の概要について申し上げます。

令和8年度は、第三次千曲市総合計画の最終年度にあたることから、計画に掲げた目標を着実に実現するため、引き続き人口減少抑制に資する子育て支援策と、市の強みである「交通の要衝」を活かしたまちづくりに重点を置いた予算編成に取り組みました。

まず、歳入については、今年度(令和7年度)の市税収入は、当初予算として過去最高額となる約83億円を計上しましたが、来年度(令和8年度)におきましては、個人市民税の増収が引き続き見込まれるほか、これまでの企業誘致などの成果による固定資産税の増収も期待されます。この結果、今年度(令和7年度)を更に上回る86億6千万円の市税収入を見込んでおります。

一方、歳出については、少子高齢化の進行に伴う扶助費の増加に加え、これまでに借り入れた地方債の償還はピークを過ぎ、市債残高は5年連続で減少しているものの、依然として高い水準での償還が続きます。また、人事院勧告に基づく人件費の増加や会計年度任用職員の処遇改善にも真摯に取り組んだため、義務的経費が減少しにくい厳しい財政環境にあります。このような状況の中で、第三次千曲市総合計画の目標達成に必要な事業をしっかり見極め、一般会計の予算総額は前年度比21億5千万円増の338億円といたしました。

このほか、国民健康保険特別会計をはじめとした3つの特別会計と水道事業及び下水道事業の公営企業会計予算につきましては、総額約179億7千万円、前年度比1.8%増を計上し、それぞれの事業の安定した運営に努めてまいります。

以上のように、令和8年度当初予算は、市税収入の堅調な増加が見込まれる一方で、物価高騰に伴う経常的な経費の上昇や義務的経費の増加といった極めて厳しい財政状況の中での編成になりましたが、将来を見据え、子育て支援事業と「交通の要衝」を活かしたまちづくりに重点を置いた予算案としました。

なお、予算執行にあたっては、常に費用対効果を念頭に置き、限られた財源を有効かつ効率的に活用し、市民の生活を支えるとともに、地域の持続的な成長を確かなものとしてまいります。

4.重点施策

重点施策1 子育て支援と教育環境の充実

重点施策の1つ目は、「子育て支援と教育環境の充実」であります。これまで子育ての経済的・精神的負担を軽減し、妊娠期から子育て期にわたる「切れ目のない支援」に取り組んでおります。令和8年度におきましても、国の政策と併せ既存施策の拡充と新たな支援策を講じてまいります。引き続き保育園の施設整備も計画的に実施するとともに、教育環境の充実にも取り組んでまいります。

産後ケア事業の拡充

まず、産後ケア事業の更なる拡充であります。現在、本事業では、訪問型・通所型・宿泊型を実施し、1回の利用につき対象児1人分の利用料の7割を公費負担しております。令和8年度からは、対象児1人分の利用料の8割を公費負担とし、新たに多胎児やきょうだい児も対象に追加することといたします。

また、里帰り出産等で県外において産後ケアを利用した場合の利用料についても新たに助成いたします。

産前産後ヘルパー訪問事業

次に、産前産後ヘルパー訪問事業であります。これまでは、妊婦及び出産後6か月未満の子どもがいる世帯で、日中、母親以外に家事育児を支援できる人がいない世帯のみが利用対象でした。令和8年度から、利用対象を妊婦及び1歳未満の子どもがいるすべての世帯へと利用対象を拡大いたします。

予防接種事業に係る費用助成の拡充

次に、予防接種事業に係る費用助成の拡充であります。子どものインフルエンザワクチン任意接種の費用助成については、現在、1回目接種のみが対象となっております。令和8年度からは、13歳未満に対する2回目接種も費用助成の対象といたします。

また、おたふくかぜワクチン任意接種の費用助成については、現在、1歳児が対象となっておりますが、令和8年度からは、年長児に対する2回目の接種も費用助成の対象といたします。感染症の流行を防ぎ重症化の予防に努めてまいります。

母子免疫RSウイルスワクチン定期接種事業

次に、母子免疫RSウイルスワクチン定期接種事業であります。RSウイルス感染症は、急性の呼吸器感染症で、年齢を問わず何度も感染を繰り返します。初回感染時には、より重症化しやすいと言われており、2歳までにほぼ100%の乳幼児が少なくとも一度は感染するとされております。

RSウイルスワクチンを妊娠中の妊婦に接種することで、最も重症化リスクが高い乳幼児早期の感染による重篤な下気道炎(かきどうえん)症状の抑制が期待できます。

国が令和8年度から定期接種を開始する方針を示したため、詳細が決まり次第、妊婦が安心して接種していただけるよう準備を進めてまいります。

保育施設の整備

次に、保育施設の整備であります。「戸倉保育園改築事業」につきましては、仮設園舎を白鳥園多目的広場南側に設置し、引越後、現在の園舎の解体と新園舎の建築工事に着手いたします。令和10年4月の開園を目指して事業を進めてまいります。

また、老朽化が激しい八幡保育園の改修につきましては、将来の改築までの保育環境の改善を図るため、令和9年度に着手予定の屋根・外壁等の中規模改修工事に向けて実施設計を行ないます。

このほか遊戯室にエアコンが無い稲荷山・桑原・八幡・更級・上山田の5保育園にエアコンを設置いたします。財政負担の平準化を図るためリース事業とし、令和8年度中に5園すべてに設置したいと考えております。電気容量の改修工事を伴うため、設置までにはある程度の期間を要しますが、保育環境の早期改善に向けて事業を推進してまいります。

公立保育園は、老朽化が進んでいる園舎が多数あることから、引き続き千曲市公共施設等総合管理計画、公共施設再編計画及び公共施設個別施設計画の方針に沿って整備を進めてまいります。

乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)

次に、乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)であります。令和8年4月から全国の自治体で乳児等通園支援事業が本格実施となります。本市では、令和8年度は公立の屋代保育園・更級保育園の2園で実施いたします。

全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、保護者の多様な働き方やライフスタイルに関わらず、柔軟に利用できる支援に取り組んでまいります。

学校給食費の無償化

次に、学校給食費の無償化についてであります。国による小学生対象の給食費の負担軽減(いわゆる給食無償化)が実施されるにあたり、国による支援の不足額を市が負担し、小学生については全額無償化を実施いたします。給食の質を確保し、物価高騰に直面する保護者の経済的な負担を軽減いたします。

中学生については、給食食材費等の高騰に対応するため、賄い材料費の一部について公費支援を引き続き実施し、保護者負担の増額は行ないません。給食費の支払いが困難と認められる家庭に対しましては、従来通り、就学援助制度により実費相当分の支援を継続いたします。

通学路の危険箇所整備

次に、通学路の危険箇所整備であります。通学路の安全を確保するために、継続的に学校及び関係行政機関と通学路の合同点検を実施し、危険箇所については令和3年度から通学路の交通安全対策事業を進めております。

令和8年度は引き続き、埴生小学校への通学路である市道埴生本線歩道新設工事や市内各所のグリーンベルト設置を実施し、通学路の安全対策を講じるとともに、効果検証を行ない、今後の改善と充実を図ってまいります。

また、地域協働の観点からも市民・民間団体、関係行政機関と連携し、交通安全意識の高揚を図るよう情報交換や広報・啓発活動、安全教育を行なってまいります。

地域クラブ活動体制整備事業

次に、地域クラブ活動体制整備事業(中学校部活動の地域展開)であります。令和5年3月に「千曲坂城クラブ」を設立し、基本理念を「すべての子どもたちにスポーツ・文化芸術活動を保障する」と掲げました。本年度は18の専門部で、休日部活動をすべてクラブ活動とし、平日も可能な限りクラブでの活動を進め、段階的に「千曲坂城クラブ」での活動に移行してまいりました。

令和8年度は、休日・平日の活動すべてクラブに移行いたします。クラブ設立から3年が経過し、それぞれの専門部で充実した活動が展開されておりますが、一方で財源の確保、指導者の確保、活動場所への移動手段といった課題が生じています。今後、課題解決に向けて、みんなで知恵を出し合い、より魅力あるクラブの実現を目指して取り組んでまいります。

重点施策2 清泉大学(仮称)農学部との連携

重点施策の2つ目は、「清泉大学(仮称)農学部との連携」であります。大学が開学すれば、若者の市内定着や農業その他の産業活性化につながるとの期待が大きく、地域で活躍する人材の育成は、いわば、市の基幹施策・産業施策としても位置付けられるものであります。

昨年12月に新キャンパスの起工式が行なわれ、本年1月14日には清泉大学の主催による市内事業者を対象とした連携に関わる説明会が開催されました。市からも関連する部署の職員が参加し、リモートによる参加者も含めて全体で22事業所、43名の参加がありました。この説明会では、(仮称)農学部のオリジナル科目について、事業所への実習生受け入れのお願い、行政・産業との連携等について丁寧に説明をいただきました。

市においても、現在、庁内各部署で大学との連携事業について洗い出しを行なっており、市長直轄の大学連携プロジェクトチームにより、具体的な連携策を講じてまいります。行政(千曲市)はもちろん、農業、食品など産業分野のみならず環境・教育・観光など様々な分野において大学との連携を図り、地域人材の育成・地域活性化の取組を進めてまいりたいと考えております。学生の市内居住・定着の方策についても研究してまいります。

重点施策3 活力ある住みよいまちづくり

新戸倉体育館整備運営事業

まず、新戸倉体育館整備運営事業であります。本事業は、老朽化している戸倉体育館に代わる新たな体育館を民間企業と連携して建設するものであります。

令和10年開催の第82回国民スポーツ大会会場のほか、地域の防災拠点としての機能を有します。最新の空調設備や、省エネ、バリアフリー仕様を基本としつつ、子どもに人気のある遊具を設置するなど、公園機能の充実も図ります。昨年9月にSPC事業者と事業契約を行い、現在基本設計を行なっております。本年9月の工事着工を目指し、遅滞なく事業を進めてまいります。

かわまちづくり事業

次に、かわまちづくり事業であります。本事業につきましては、令和7年度に国土交通省の「かわまちづくり支援制度」に申請した「戸倉上山田地区かわまちづくり計画」が新規登録となったことから、令和8年度から事業に着手いたします。総合運動公園基本構想の「千曲川河川敷エリア」について、デイキャンプ場やマウンテンバイクコースなどを整備し、地域に親しまれる河川空間づくりを行なうものです。千曲川河川事務所及び関係機関等との調整を引き続き行ない、事業進捗に努めてまいります。

地域防災拠点・道の駅整備事業

次に、地域防災拠点・道の駅整備事業であります。令和6年9月に策定した基本構想を基に、令和8年3月末までにパブリックコメントを経て基本計画の策定を完了させます。

策定にあたっては、収益性の高い持続可能な道の駅とするため、運営事業者のほか建設・設計などの事業者ともサウンディング型市場調査を実施してまいりました。地域防災機能と地域振興機能を併せ持つ道の駅の実現に向けて、運営事業者との対話を続けてまいります。

なお、市では現在数多くのハード事業の実施を予定していることも踏まえ、地域防災拠点・道の駅をはじめとする地域振興施設の整備・運営に備えた財源確保を図るため、本議会に「千曲市地域振興施設整備基金条例」(案)を議案として上程しております。

棚田保全事業、観光施設整備事業

次に、棚田保全事業であります。貴重な文化遺産でもある姨捨棚田の自然環境を後世に残すため、交流・学習・観光の場として活用し、地域資源としての価値創出と担い手育成に取り組む体制整備を行ないます。

具体的には、喫緊の課題解決に向けた市長直轄の「(仮称)棚田保全緊急対策特別チーム」を新たに設置します。特別チームでは信州大学から学識者を招き、短期的対応・中長期的対応について関係各所が一体となって協議し、対応してまいります。既存活動への支援、資金確保、人材確保・養成、耕作環境の整備、そして持続可能な組織となる耕作団体の立ち上げに向け、準備を加速いたします。

観光施設整備事業(姨捨の棚田ビューポイント整備)につきましては、県道内川姨捨停車場線の改築事業に伴い、来訪者が安全に眺望や棚田の散策が楽しめるよう長野県と連携して、展望広場に公衆トイレ、駐車場、案内看板等を整備いたします。

日本遺産「月の都千曲」につきましては、令和2年の認定から6年目を迎え、継続審査が行なわれることから、認定継続に取り組み、改めて、「月の都千曲」の認知度アップと地域のブランド力の強化が図られるよう、日本遺産推進協議会及び関係団体の皆様と連携しながら活性化事業を進めてまいります。

なお、令和9年度には、善光寺の御開帳(4月4日〜6月19日)、JRグループによる信州ディスティネーションキャンペーン(7月~9月)が予定されております。

観光産業は千曲市の基幹産業の一つであります。これを伸ばし、地域の「稼ぐ力」を強化するためには、観光地域づくりの司令塔となるDMO(観光地域づくり法人)である一般社団法人信州千曲観光局との役割分担を再確認し、整理したうえで、強固な連携による「持続可能な観光地域づくり」に取り組んでまいります。

デマンド型乗合タクシーの運行継続

次に、デマンド型乗合タクシーの運行継続であります。「稲荷山・八幡エリア」、「更級エリア」、「上山田エリア」の3エリアにおいて、令和5年9月からデマンド型乗合タクシーの実証運行を行なっておりますが、この実証運行期間中の利用状況や利用者・運行事業者からのご意見を踏まえ、千曲市地域公共交通活性化協議会において評価・検証を重ねてまいりました。

その結果、運行便の増便や停留所の追加、接続性の改善など、利便性の向上を図ったうえで、実証運行期間終了の令和8年4月20日以降、3エリアとも本格運行に移行することといたしました。

今後もさらなる利便性・収益性の向上を図りながら、持続可能な公共交通の維持に努めてまいります。

次に、デマンド型乗合タクシーの運行継続であります。「稲荷山・八幡エリア」、「更級エリア」、「上山田エリア」の3エリアにおいて、令和5年9月からデマンド型乗合タクシーの実証運行を行なっておりますが、この実証運行期間中の利用状況や利用者・運行事業者からのご意見を踏まえ、千曲市地域公共交通活性化協議会において評価・検証を重ねてまいりました。

その結果、運行便の増便や停留所の追加、接続性の改善など、利便性の向上を図ったうえで、実証運行期間終了の令和8年4月20日以降、3エリアとも本格運行に移行することといたしました。

今後もさらなる利便性・収益性の向上を図りながら、持続可能な公共交通の維持に努めてまいります。

重点施策4 安全・安心なまちづくり

防災対策事業

まず、防災対策事業であります。災害から市民の生命、財産及び暮らしを守るため、自助、共助の意識の向上と、公助により被害を最小限に抑制する体制整備を進めてまいります。

引き続き、SNSや防災行政無線戸別受信機の活用による情報伝達手段の充実、民間事業所との協定締結による避難先の確保、官民一体となった防災訓練の実施、避難所開設運営体制の強化、防災備蓄品の拡充による避難者の受け入れ体制の強化などを図ってまいります。

加えて、各地域における備蓄品の整備と全地区における地区防災計画の作成に向け、出前講座等による防災教育や防災訓練を実施するなど、「地域防災力」を高める取組が進められるよう必要な支援を行なうとともに、市報やSNSなどの各種媒体を使った啓発を行ない、防災意識の向上に努めてまいります。

信濃川水系緊急治水対策プロジェクト

次に、令和元年東日本台風災害を機に国・県・流域市町村が連携して立ち上げた「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」のうち、市内では、2か所の遊水地整備、千曲川本川の河道掘削、堤防強化が鋭意進められております。

中・新田地区の埴生遊水地では、令和8年度末の完成を目指し、現在、周囲堤や東林坊川の付け替え工事が進められております。また、八幡地区の平和橋遊水地では用地取得が進み、令和8年度工事着手、令和10年度末の完成が目標とされています。並行して浸水対策についても、国と連携して詳細な検討を行なっており、早期に効果が発揮されるよう取り組んでまいります。

千曲川の土口水門付近では河道掘削が継続され、雨宮地区の堤防においては今年度末の完成を目標とした堤防強化(越水対策)が集中的に進められております。野高場地区においても令和9年度末の完成を目標に堤防強化(浸透対策)が進められております。県管理河川においては、沢山川の堤防強化が昨年度完了しましたが、継続して市内河川の浚渫等が行なわれます。

本市では、千曲川氾濫危険水位に洪水を到達させないことが最も重要であると考え、国、県に対して河道掘削、堤防強化、遊水地整備及び計画に基づく河川整備等について粘り強く要望するとともに、緊急的な事業が円滑かつ着実に進むよう連携して取り組んでまいります。また、住宅や公共施設への雨水貯留施設の設置などによる河川への流入抑制や、排水機場の改修整備、市民への迅速な水位情報の提供など、減災・治水対策を総合的に推進してまいります。

雨水排水ポンプ場の更新工事

市内3箇所に設置されている雨水排水ポンプ場については、ライフサイクルコストの低減を図るとともに、排水機能の維持・確保を目的に令和9年度完了を目標として計画的に更新工事を実施してまいります。

木造住宅の耐震化対策の推進

次に、木造住宅の耐震化対策の推進であります。大規模地震から市民の生命、財産を守るために、千曲市耐震改修促進計画に基づき、旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震診断や耐震改修、除却、耐震シェルター等に対する助成を行なうとともに、令和8年度から耐震改修工事に対して上限額を引き上げて、所有者の費用負担の軽減を図ります。

また、総合防災訓練等の多くの市民が集まる行事や耐震セミナーの開催にて、耐震化の重要性や助成の周知を引き続き行なってまいります。

重点施策5 将来への投資、基盤整備

屋代地区スマートIC整備事業

まず、屋代地区スマートインターチェンジ整備事業であります。(仮称)屋代スマートインターチェンジは、国及びNEXCO東日本が事業主体として進めており、完成時期の公表はされておりませんが、市の目標としては、令和12年度中の完成を目指し、引き続き国・県・NEXCO東日本と連携し事業推進に努めてまいります。

なお、市の役割である事業用地の取得につきましては、全ての地権者の皆様から合意をいただくことができました。現在、埋蔵文化財発掘調査に着手しており、完了後は、本年秋頃の工事着手を予定しています。また、関連事業として、令和8年度から高速バス停機能を有する交通拠点の整備に着手予定であり、順次、実施設計・用地測量・用地取得を進めてまいります。

産業連携道路ネットワーク

次に、産業連携道路ネットワークであります。その一部であり市の東西を連携する都市計画道路一重山線は、市内幹線道路のバイパス効果を有し、交通分散による渋滞緩和及び災害時のリダンダンシー確保が図られます。また、輸送・移動時間の短縮により経済活動の効率化、生産性と利便性の向上により地域経済活性化に寄与するものです。

一重山を越えるルート[打沢屋代間]は、現在、複数のルート案について、千曲建設事務所から助言をいただき関係機関と協議し、比較検討段階であります。検討案は、いずれも一重山を越える部分はトンネル形式であり、しなの鉄道との交差については平面・高架・地下の複数案から、より実現性の高いルートとなるよう検討を進めております。引き続き、関係各所との協議を行ない、地権者の皆さまにご理解いただけるよう進めてまいります。また、期成同盟会及び県との連携をより深めることで、事業化に向け着実に進捗を図ってまいります。

なお、(仮称)屋代スマートインターチェンジの1次アクセス道路である市道一重山2号線は、地権者の皆さまのご理解をいただき事業用地の概ね9割を取得いたしました。引き続き、用地物件補償、埋蔵文化財の発掘調査及び本線の工事を進めてまいります。

国道18号バイパス、姨捨スマートインターチェンジ

次に、国道18号バイパスは、稲荷山地区において令和3年度から地盤改良工事が着手されて以降、着実に工事が進められ、現在横断歩道橋や雨水調整池の整備が進められております。引き続き国に対し、稲荷山から篠ノ井塩崎間の早期完成とともに上山田から八幡までの未事業化区間の早期事業化を積極的に働きかけてまいります。

また、姨捨スマートインターチェンジは、24時間運用以降、利用台数が増加傾向にあり、本市の西の玄関口として観光面や災害時の代替ネットワークとしての役割が期待されております。周辺は地すべり防止区域であり、地盤状況や地形に課題があるなかで、安全性や利便性向上のためのアクセス道路の予備設計を実施し、フル規格化の検討を行なっております。また、早急に行なうべき対策として、冬期間の利用者の安全確保や除雪融雪作業の効率化を図るため、スマートインターチェンジ周辺の急勾配箇所に定置式凍結防止剤散布装置の設置や舗装修繕を行ないました。各種課題を整理しつつ、地元推進協議会とも連携し、NEXCO東日本などの関係機関と調整しながら、周辺道路の整備を着実に進めてまいります。

都市計画道路千曲線について

次に、都市計画道路千曲線の整備であります。未整備区間である磯部地区の総合体育館入口交差点から千曲坂城消防本部付近までの区間について、用地測量及び物件補償調査を進め、沿線関係者の皆さまには個別に説明し事業への協力と理解を深めていただくよう努めております。

令和8年度は引き続き、物件補償調査を進め用地取得を行ない、令和10年に開催される国民スポーツ大会に向け、国道18号または県道聖高原千曲線からのどちらかからは新戸倉体育館にアクセスできるよう事業を推進するとともに、沿線関係者の皆さまには誠意をもって説明を尽くし、ご理解いただけるよう努めてまいります。

重点施策6 効率的で持続可能な行政運営

自治体DXの推進

まず、自治体DXの推進であります。人口減少によって社会の担い手が減り続ける中で、良好な行政サービスを維持し、市民生活の向上・発展に寄与するため、市を挙げてDXを始めとする業務改革に取り組んでまいります。

デジタル技術の進展により、これまで市役所に来ることが当たり前だった各種手続きが、自宅やコンビニでもできるようになってきました。今後、生成AIを活用するなど働き方改革も積極的に推進し、相談業務などに職員は注力し、より丁寧な市民対応ができる環境を整備いたします。また、国が推進する自治体フロントヤード改革の実現に向けた研究や環境整備、人材育成にも取り組んでまいります。

さらには、電子入札・電子契約システムを導入し、行政だけでなく事業者の皆さまの事務負担、財政負担の軽減も図ってまいります。

市役所窓口等の受付時間短縮

次に、市役所窓口等の受付時間短縮であります。確保した時間で事務処理や職員の打ち合わせに充てるなど市民サービスの質の向上、職員の残業削減など働き方改革の推進などを目的に、本年7月1日より市役所窓口と電話の受付時間を短縮いたします。

なお、市民の皆さまの混乱とサービスの低下を招かぬよう導入開始から6か月間は試行期間とし、より良い運用方法を検証したうえで令和9年1月からの本格導入を目指してまいります。

公共施設の除却・長寿命化

次に、公共施設の除却・長寿命化であります。「公共施設等総合管理計画」に基づき、老朽化した公共施設の統廃合や、長寿命化に対応するため策定した「個別施設計画」を推進するための経費につきましては、特定財源を最大限活用し、令和8年度は、約10億7千万円を計上いたしました。

利用予定がない公共施設は遊休化させることなく除却を進めるとともに、跡地の利活用について庁内の各部署及び地元区や民間事業者等の意見を聞き、市の活性化や税収の増加につながる活用方法を検討いたします。

なお、今年度に実施した上山田公民館力石支館、旧屋代保育園、旧歴史文化財センターの除却に続き、令和8年度では市が保有する集会施設の地元譲渡の手続きを進めてまいります。

今後も将来の財政的負担の軽減や平準化を図るため、長期的視点に立った計画的な公共施設の更新・統廃合・長寿命化を推進してまいります。

重点施策7 第四次千曲市総合計画の策定

重点施策の7つ目は、「第四次千曲市総合計画の策定」であります。市の最上位計画である「総合計画」は、現在、令和8年度までを計画期間とする「第三次千曲市総合計画」の推進中であります。最終年度となる令和8年度は、計画に掲げた「まちづくりの目標」の検証・総括とともに、「第四次千曲市総合計画」の策定を皆さまと一緒に進めてまいります。

第四次総合計画においては、引き続き「文化伝承創造都市・千曲」を市の将来像として、「人」に光を当てながら、千曲市の文化の伝承と新たな文化の創造に取り組み、快適な暮らしと明るく親しみやすさを感じる「住んでよし、訪れてよし」のまちづくりを目指してまいります。千曲市を人々が知り、訪れ、滞在し、定着し、次世代につないでいく。この仕組みを作るため各種施策の拡充・強化を進めてまいります。

5.その他の主な事業

脱炭素社会づくり

はじめに、脱炭素社会づくりであります。千曲市では、2020(令和2)年に「気候非常事態宣言」、2022(令和4)年、長野地域連携中枢都市圏として「2025年ゼロカーボン宣言」を発出し、脱炭素社会の実現に向け事業を推進しております。国の目標に準じ、2013年度を基準として、2030年における温室効果ガスの排出量を46%削減、2050年には、正味排出量ゼロを目標としています。

温室効果ガスの排出削減の積極的推進とともに、複雑多様化する環境問題に取り組むため、令和8年度に「千曲市環境基本計画」を改訂いたします。引き続き、自家消費型の自然エネルギーの推進について、一層の啓発と、「ゼロカーボン」に向けた効果的な取組を進めてまいります。

地域福祉計画の策定

次に、地域福祉計画の策定であります。地域共生社会の実現を目指す保健福祉分野の行政計画である「地域福祉計画」は、現行の第三次計画が令和8年度で終了することから、これまでの取り組みを総括し、本市における福祉課題を明らかにするとともに、保健・医療・介護などの各分野の個別計画との整合性を図り、新たな計画を策定してまいります。

障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画の策定

次に、障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画の策定であります。障がい者の自立と社会参加の実現を目指す「障害者計画」は、現行の第3次計画が、令和8年度で前期3か年の計画を終了することから、これまでの取り組みを検証し、必要に応じた見直しを行ないます。

また、障害福祉サービスなどの提供体制の確保を図るための指標である「障害福祉計画・障害児福祉計画」は、それぞれ現行の第7期計画・第3期計画が令和8年度で終了することから、これまでの取り組みを総括するとともに、当事者またはその家族などへのアンケート調査などを通じて実態把握を行ない、新たな計画を策定してまいります。

商工業振興条例に基づく企業への助成金の拡充

次に、商工業振興条例に基づく企業への助成金の拡充であります。市内企業の構造的な人手不足への対策として、「自動化・省力化等生産性向上事業」の助成金額の引き上げや「職場環境整備事業」助成金の対象経費下限額の引き下げにより、企業の生産性向上や人材の定着に繋げてまいります。

農林業の振興

次に、農林業の振興であります。農業の振興については、農業者の高齢化や担い手不足を補うために、スマート農業の導入を支援するとともに、耕作放棄地の解消と優良農地の保全を一体的に進めるため、新規就農者への支援や、認定農業者への農地集積の推進を図ってまいります。

林業の振興については、本年度より向こう10年間の計画期間とした千曲市森林整備計画に基づき、間伐や主伐・再造林などの森林施業の計画的な実施により、森林の有する多面的機能の十分な発揮を推進してまいります。

空き家対策の推進

次に、空き家対策の推進であります。令和8年度は、空き家の状況を把握するために、市内全域の実態調査を行ないます。

そのほか、千曲市空家等対策計画に基づき、専門家団体と連携して行なう「空き家相談会」をはじめとする相談体制の充実、セミナーなどの啓発、空き家に関する制度の周知徹底など、管理不全な空き家の発生抑制に努めてまいります。

また、危険な状態や管理不全な状態となった空き家に対しては、空家法に基づく行政指導や、所有者調査、申し立て制度の活用、除却の補助事業、解体シミュレーターの利用により早期解消を目指します。

水道事業・下水道事業

水道事業は、人口減少に伴う収入減少や施設の老朽化、自然災害への対策など、経営環境が一層厳しさを増しており、将来にわたり安全・安心な水を安定的に提供するため、ハード・ソフト両面で基盤強化を図る必要があります。

事業を取り巻く厳しい経営環境の変化を踏まえ、子や孫の世代まで持続可能な経営体制を構築し基盤強化を図るため、現在、「上田長野地域水道事業広域化協議会」において協議・検討を進めており、令和7年11月には 水道事業統合を行う場合の基本的方針を定める「上田長野地域水道事業広域化基本計画」が合意されました。

その後、より詳細な事項を定める事業計画(案)の検討を行なっており、令和8年度も、引き続き住民の皆さまの声に耳を傾け、民意が反映された事業計画となるよう協議を進めてまいります。

下水道事業については、重要な社会基盤として、整備・拡張から適正な維持・管理へと移行しております。農業集落排水処理場3施設(倉科・森・羽尾)の公共下水道への統合を進め、維持管理費の削減による経営の合理化を図ってまいります。倉科地区については、令和7年度末に公共下水道への統合が完了します。森・羽尾地区については、令和8年度に実施設計業務を行ない、引き続き公共下水道への接続に向けて事業を進めてまいります。

文化芸術振興の推進

次に、文化芸術振興の推進であります。現行の「第3期千曲市文化芸術振興基本計画」が最終年度を迎えるにあたり、令和9年度を始期とする「第4期基本計画」の策定に着手いたします。すべての市民が、生涯にわたり文化芸術を通じて心豊かな生活を送ることができるよう、また、より多くの方に文化芸術に親しんでいただけるよう、実効性のある計画を策定してまいります。

信州やまなみ国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会

次に、令和10年9月、10月に開催予定の信州やまなみ国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会であります。千曲市では3種目の競技が開催されることが決定し、昨年8月6日に千曲市準備委員会を千曲市実行委員会へ改組し、11月には専門委員会を立ち上げました。

開催2年前となり、市民の皆さまに向けて関心や気運を高めるための取組と併せて、令和9年度のリハーサル大会、10年度の本大会に向けた準備を実行委員会や競技団体等と連携して進めてまいります。

6.結びに

さて、内外の情勢が不透明感を増し先行きが見えない中にあって、物価高騰の長期化は、市民生活においても、また地域経済においても厳しい状況が続いております。

その一方で、10年連続の転入増加、テレビアニメ「Turkey!」の高評価、清泉大学(仮称)農学部の進出、世界の持続可能な観光地選出など、千曲市にとって、嬉しく誇らしい気持ちになる話題も増えています。メディアで取り上げられることも多くなり「勢いのあるまち」になっております。転入者、アニメファン、大学生、観光客など、市外から千曲市に来られる方々も更に増加するでしょう。そうした方々に私たちは、ウェルカムという気持ちで明るくフレンドリーに接し、千曲市ファンを増やそうではありませんか。

千曲市で生活している私たちは「千曲市愛」にあふれているはずです。千曲市に愛着と誇りを持ち、快適に暮らしている私たちは、まさに「住んでよし」を実感しています。そこに「訪れてよし」をぜひともプラスしましょう。千曲市の歴史・文化と暮らしを伝え、訪れる人も満足できるよう、皆で明るくフレンドリーに接し、そして私たちは「千曲市愛」の伝道師になり、関係人口、交流人口、そして定住人口の増加につなげてまいりましょう。明るい考え方・思考と優しく親しみのあるつながりを大切にし、ここに暮らしている私たちもお互いに明るくフレンドリーにいきましょう。

このまちに住んでいる私たちが、このまちの空気、土地柄、「まち柄」を形作ると私は考えております。それは生活の質の向上とまちの品格を形作ることになります。

以上、令和8年度の施政方針を申し上げました。私は「千曲市愛」があふれるまちにすべく、市長として、これからも明るい思考で大いに悩みながら挑戦し、「住んでよし・訪れてよし」の未来に希望が持てるまちづくりを進めてまいります。議員各位及び市民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

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