令和4年度施政方針演説(令和4年3月議会)

更新日:2023年03月03日

令和2年2月28日
令和4年第1回(3月)

1.はじめに

本日ここに、令和4年第1回千曲市議会定例会が開会し、令和4年度一般会計予算案をはじめ諸議案のご審議をお願いするにあたり、新年度の市政運営に臨む所信の一端を申し述べるとともに、重点施策などの概要を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症は、昨年もウイルス変異を繰り返しながら世界的に猛威を振るい、首都圏を中心に多くの都道府県に「緊急事態宣言」が発出され、外出自粛、飲食店等事業者への営業時間短縮など、人の移動・接触機会を減少させる要請や日常生活においても多くの制限が課せられました。
今年に入ってからも、感染力が強いとされるオミクロン株により、感染者が爆発的に増加を続け、1月27日から長野県に「まん延防止等重点措置」が新型コロナウイルスが出現後、初めて適用されました。この重点措置は現在も延長されており、未だに収束の兆しが見えない状況が続いております。
改めて市民の皆様、事業者の皆様には、感染予防・感染防止対策にご理解とご協力をいただいていることに、心から感謝を申し上げます。また、日々医療の最前線に立って、国民の健康と生命を守る使命をもって業務に取り組まれている医療従事者の皆様をはじめ、日々の生活を支え、社会機能を維持していくために感染リスクを感じながらも、それぞれの現場で業務に取り組まれているエッセンシャルワーカーの皆様にも、改めて心から敬意を表し、感謝を申し上げます。

現在、市では、千曲医師会や関係機関のご協力により、連携して3回目のワクチン接種を進めております。3回目の接種にあたっては、接種を希望される方がよりスムーズに接種できるように、65歳以上の希望者には、市が接種日時・会場を指定する仕組みを取り入れるなど、これまでの経験を踏まえて接種業務を推進しております。また、県による接種会場も戸倉創造館等に設けることで、さらにワクチン接種を加速化しております。今後も関係機関と連携し、一日も早い収束に向け、全庁あげて取り組んでまいります。

私は、令和2年11月の市長就任以来、新型コロナワクチン接種業務を推進するほか、コロナ禍において疲弊する市民生活への対応や地域経済対策などに取り組んでまいりました。また、選挙公約や所信表明で申し述べたように、市民目線に立って市民の皆様がどう感じるか、先を考える丁寧な市政運営を心がけてまいりました。
そして、常に市民の皆様の声に耳を傾け、市民感覚・民間感覚とのズレが生じないよう、具体的には、意見募集方法の充実、「ようこそ市長室」の日程追加、課題ごとに「お出かけシェアトーク」を開催するなどし、皆様のニーズを把握することによって、施策のアップデートを行ってまいりました。

当市の課題である、少子高齢化の進展や若い世代の転出超過による生産年齢人口の減少は、地域経済の縮小、市の財政規模の縮小を招き、生産・消費などの経済活動、道路・公園などの社会資本整備、医療・介護などの社会保障制度のほか、地域社会の様々な基盤の維持に大きな影響を与えます。
将来にわたって安定的な自主財源を確保し、豊かな市民生活や健全な行財政運営を維持するためには、若い世代の定着を図り、生産年齢人口の減少に歯止めをかけなければなりません。そのためには、良好な産業基盤を整備して雇用を確保するとともに、計画的で調和のとれた高度な土地利用を促進し、住みやすいまちづくりを進めていく必要があります。
また、若い世代に選ばれる住みやすいまちづくりを進めていく上では、基盤整備以外にも、子どもや若者を大切にし、子育て世代から選ばれるまちにするための子育て支援や教育の充実も必要不可欠となってまいります。
そして、安定した自主財源をもとに、良質な行政サービスを提供し続けることにより、年齢を重ねた後も、誰もが住み慣れた地で安心して生き生きと暮らせるまちにしたい。人々の笑顔があふれ、心が躍るまちづくりを実現したいとの思いがございます。

そこで、新年度では、社会情勢や市民ニーズ等に鑑み、皆様の様々な不安を解消し、安心感を与えること、都市基盤の整備や成長戦略によって人口減少問題に立ち向かうこと、そして、訪れたい、住みたいと魅力を感じさせることに取り組み、笑顔あふれ、心が躍るまちを目指します。
なお、現在、千曲市は人口減少が進んでおりますが、昨年は転入が転出を上回る208人の社会増となっております。県下19市中、増加率では0.35%であり1位となりました。この結果は、市のこれまでの取り組みや千曲市の立地など、住みやすさが評価されたものと受け止めております。
しかし、現状に甘んじることなく、要因を丁寧に分析し、社会情勢や市民ニーズの変化に即応できる体制を構築し、施策を推進することで、より一層選ばれるまちを目指してまいります。

2.令和4年度予算案の概要

まず、新型コロナウイルス感染症の影響から市民生活や地域の経済活動を守ることを最優先し、「感染拡大の防止対策」「地域経済への支援」「市民生活への支援」「新たな社会への対応」など切れ目のない施策を推進するための予算編成に取り組んだところでございます。
また、令和4年度から、新たなまちづくりの基本指針となる「第三次千曲市総合計画」をスタートさせ、この総合計画に掲げた市の将来像「人をてらす 人をはぐくむ 人がつながる 月の都~文化伝承創造都市・千曲~」の実現に向け、基本目標に基づく各施策を着実に推進させたいと考えております。
歳入一般財源については、国の「令和4年度地方財政計画」を踏まえ、市税で個人市民税、法人市民税及び固定資産税の増収を見込むなど、一般財源の総額は前年度程度を確保することといたしました。
一方、歳出については、過度に歳出を抑え込まず、必要な事業を見極めて選択する予算配分に努めました。予算総額では前年度比3億9千万円減の261億8千万円といたしましたが、前年度に計上されていた災害復旧費約12億8千万円を除くと、実質約8億9千万円の増となりました。
まず、新型コロナウイルス感染症に係る「感染予防対策費」、「生活・企業支援策」として、「市民へのワクチン接種に係る経費」、「赤ちゃん応援特別給付金・子育て応援祝品」及び「推し店プラチナチケット事業費」等を引き続き計上するとともに、新たに、接触機会の低減と自治体DXの推進を目的とする「行政手続きのオンライン化事業費」、「電子図書館事業費」及び「住民参加型システム構築事業費」等を計上し、これらの事業を一体的に進めることにより、コロナ禍で疲弊する社会や市民生活への対応を図ってまいります。

新規事業としましては、子育て関連では、出産後の母親を支援するため、従来の訪問型に加えて通所型を新設した「産後ケア事業」、子育てのしやすいまちづくりを推進するための「育児参加促進事業」、その他、善光寺御開帳関連では、「旅館ホテル等観光需要喚起事業」、「日帰りバスツアー」等の事業を展開し、相乗効果による誘客を図るための予算を計上いたしました。
また、観光資源の活用と脱炭素・低炭素社会の実現を目的に、グリーンスローモビリティの導入に向けた調査研究費を計上いたしました。
なお、脱炭素社会の実現に向けては、「蓄電システム設置補助事業」や、令和4年度に工事着手する「長野電鉄屋代線跡地の自転車・歩行者専用道路整備事業」、「シェアサイクル社会実験」等に引き続き取り組むための予算を計上し、社会情勢の変化に対応した施策を実施してまいります。

その他の事業では、高齢者や観光客の利便性を図るため整備を進めてきた「戸倉駅エレベーター設置事業」が令和4年度に完了するとともに、市民の健康増進とエネルギーの有効活用を図ることを目的に整備を進めてきた「余熱利用施設Re SPA(リスパ)シンコースポーツ」が本年6月に開業するほか、姨捨棚田地域を中心とした「日本遺産推進事業」等を引き続き実施するなど、これまで申し上げた各事業を推進することにより、市行政が停滞することのないよう努めてまいります。
このほか、国民健康保険特別会計など3つの特別会計と水道事業及び下水道事業の公営企業会計予算につきましては、前年度比2.4%増の総額約171億1千万円の予算を計上し、それぞれの事業の円滑な運営に努めてまいります。
令和4年度予算は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、市民生活や経済活動の回復を中心に据えました。予算執行に当たっては、費用対効果を基本とし、限られた財源を有効活用し、住民福祉の向上に努めてまいります。

3.令和4年度の重点施策

皆様の様々な不安を解消し、安心感を与えるため、「新型コロナへの対応」、「災害への備え」、「子育て支援」に力を入れてまいります。都市基盤の整備や成長戦略によって人口減少問題に立ち向かうため、「都市基盤・社会資本の整備」、「自治体DXの推進」、「脱炭素社会へ向けた取り組み」を行ってまいります。そして、訪れたい、住みたいと魅力を感じさせるため、「地域活性化・地域活力の創造」に取り組んでまいります。そしてこれらの施策を実現していくための市の最上位計画である「第三次千曲市総合計画」を推進してまいります。
新年度はこの8つを重点施策といたします。以下施策ごとに申し上げます。

重点施策1 長期化する新型コロナウイルス感染症への対応

重点施策の1つ目は「長期化する新型コロナウイルス感染症への対応」でございます。皆様の不安を解消できるよう、市ができることを着実に進めてまいります。

〈新型コロナウイルスワクチン接種〉

昨年5月から、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、国の方針に基づきワクチン接種を実施してまいりました。白鳥園南側の特設会場での集団接種やバスを活用しての巡回接種、千曲医師会の協力により実施した個別接種など、初回(1・2回目)接種率は、90%を超える高い接種率となっております。
現在、ワクチン追加接種実施計画に沿って3回目の接種を進めており、2回目のワクチン接種完了から概ね6か月を経過した方から、順次接種券を送付しております。接種会場については、ワクチン接種を希望する方の利便性を図るため、病院等の個別接種会場と、市庁舎に集団接種会場を設けております。
なお、3月下旬からは、白鳥園南側特設会場に集団接種会場を開設する予定でございます。オミクロン株の出現により、全国で新型コロナウイルス感染症の陽性者が爆発的に増加しています。市民の皆さまには、感染予防、重症化防止のためのワクチン接種をご検討いただきますよう改めてお願い申し上げます。
新年度におきましても、ワクチン接種業務は継続することから、ワクチン接種を希望されるすべての皆様が安心して接種を受けられるよう、引き続き安全な接種体制を堅持し、スピード感を持って対応するとともに、接種後もこれまでと同様に感染予防対策の徹底について、市民の皆様に呼びかけてまいります。

〈新型コロナウイルス感染症に係る経済対策〉

長引く新型コロナウイルス感染拡大は、市内経済に大きな影響を与えております。製造業においては一部で業況が持ち直しているものの、観光、飲食、サービス等の非製造業については依然として厳しい状況にあると認識しております。
これまで市では感染防止に努める一方、国・県による事業者支援に加え、資金融資や様々な給付金・助成金、また、「がんばる事業者応援クーポン」「キャッシュレスによるポイント付与」「推し店プラチナチケット」などによる消費・需要喚起事業を実施し、事業者の皆さまの下支えをしてまいりました。
新年度も引き続き新型コロナウイルスの感染状況や社会情勢を見極めながら、アフターコロナを見据え、経済団体とも協力して、地域経済回復に向けた切れ目のない支援策を講じてまいります。

重点施策2 災害への備え

防災・減災対策では、ハード・ソフトの各事業を着実に進めてまいります。

〈ハード事業〉

令和元年東日本台風災害を機に、国・県・流域市町村が連携して立ち上げた「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」では、現在、流域全体で河川整備、流域対策、まちづくり・ソフト施策を一体的に進めております。
国は千曲川本川の水位低下を目指して、河道掘削をはじめ堤防の整備・強化、洪水時の流下断面の拡大、そして、洪水調整機能の強化などを目的とした遊水地を整備し、市内では中・新田地区、八幡代地区の2か所に整備する計画で進めています。また、県では沢山川をはじめとする県管理河川の堤防補強・強化や浚渫等を行い、市町村は、開発行為における調整池や地下浸透桝の整備、公共施設等への雨水貯留槽の整備などにより、支流への雨水排水の流入を極力遅らせ、短時間での千曲川への流入を抑制することを目指しています。
こうした対策は、令和6年度、令和9年度と段階的に進めるとしておりますが、市は、「千曲川杭瀬下水位観測所」における氾濫危険水位5mの高さに洪水を到達させないことが最も重要であると考えていることから、国・県に対して、「河道掘削による河道整備の実施」、「堤防の嵩上げや補強等による堤防強化」、「遊水地整備」などが、緊急的に実施され、早急に効果が発揮されるよう引き続き強く要望してまいります。
市としては、国が進める遊水地整備が円滑に進むよう国と連携して取り組み、更には住宅や公共施設への雨水貯留施設の設置など、まちづくり・ソフト施策による河川への流入抑制や、排水ポンプ場の機能維持・確保のため、水害による施設の対策浸水深を設定、耐水扉の整備のほか、水位監視カメラやポンプ稼働時の回転灯設置、水位情報の迅速な市民への提供など、減災対策を総合的に実施することで治水対策を強く推進してまいります。

〈ソフト事業〉

また、「逃げ遅れゼロ」を実現するために適時適切な避難情報の発信、発令、確実な情報伝達に努め、感染リスクをためらうことなく避難行動がとれる感染症予防対策を施した避難先の確保など、避難所の充実を図り、併せて防災・減災に関する啓発を行うことによって、市民が「自らの命は自らが守る」という認識のもと、自分の判断で適時適切な避難行動をとれる防災意識の高い社会の実現をめざしてまいります。
市では、新たに配置する危機管理担当部長を核に、今後も防災行政無線の増設、電話応答装置設置、防災備蓄品の拡充、避難所の充実を図ってまいります。また、防災・減災の実現には、地域の絆や助け合いなどコミュニティの醸成が重要な鍵となることから、各地域での防災・減災の教育や訓練など、市民活動を活発にして「地域防災力」を高める取り組みが必要となります。昨年11月に区長・自治会長様を対象に「地区防災計画」の作成について説明会を開催いたしました。引き続き、すべての区・自治会で「地区防災計画」の作成に取り組んでいただけるよう必要な支援をしてまいります。
また、市民一人ひとりの避難行動を後押しする「マイ・タイムライン」を作成していただくためのシートを2年続けて全戸配布いたしました。新年度におきましても、すべての皆様が「マイ・タイムライン」を確実に作成し、災害時に取るべき行動を明確にしていただけるよう、改めて作成シートの全戸配布を行い、出前講座などによる説明会の開催を行います。併せて、市報やSNS等の各種媒体を使った啓発も行い、市民の防災意識の向上に努めてまいります。

重点施策3 子育て支援の推進

〈結婚新生活支援事業〉

この事業は、結婚に伴う新生活のスタートアップに係る費用を補助し、経済的支援を行うことで婚姻数の増加と少子化対策につなげるものですが、制度を拡充し、より力強く新生活を後押ししてまいります。

〈マタニティタクシー助成事業〉

この事業は、平成27年度より、妊婦の方に「マタニティタクシー利用料助成券」を交付しておりますが、今年度実施したアンケート結果をもとに、利用期間を1年間延長し、支援の拡充を図ります。

〈産後ケア事業〉

この事業は、子育て家庭を支援し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を推進するため、出産後の身体の回復や健康、子育てに対する不安を感じる母親が、助産師からアドバイスを受けられるよう支援するもので、これまで自宅への「訪問型」を実施してまいりましたが、病院や助産所への「通所型」も追加し、今まで以上にきめ細かな支援を行ってまいります。

〈赤ちゃん子育て応援事業〉

千曲市民で新たに子どもが生まれた全てのご家庭に対し、給付金とお祝いの品を贈る「赤ちゃん子育て応援事業」でありますが、今年度、新規事業として実施した本事業については、アンケートで9割近くの方から「満足」との回答をいただきました。コロナ禍において新たな命を授かったご家庭の幸せと、未来を担う赤ちゃんの健やかな成長を願い、子育て世帯への経済的支援及び育児支援策として、令和4年度においても継続して実施してまいります。

〈育児参加促進事業〉

今年度新たに「育児参加促進事業」を実施し、父親を対象とした家事・育児講座や両親ともに参加できる子育て講座を実施し、子育て世帯を応援してまいります。

〈保育施設整備〉

屋代保育園の改築事業につきましては、令和2年度に基本計画検討委員会を設置して基本計画の検討を進めており、令和4年3月中には基本計画の策定を完了する見込みでございます。令和4年度は基本計画に基づいて基本設計・実施設計を行うとともに、開発に係る諸手続を進め、令和5年度には用地買収、工事着手を予定しており、令和7年4月の新園舎開園を目指して事業を進めてまいります。
また、稲荷山保育園と桑原保育園につきましても、耐震改修工事に向けた設計業務に着手するとともに、戸倉保育園の改築事業に関する基本計画の検討委員会を設置し、検討を開始いたします。
耐震強度不足や老朽化が進んでいる園舎については、引き続き千曲市公共施設等総合管理計画や千曲市公共施設再編計画、及び千曲市公共施設個別施設計画の方針に沿って整備を進め、安全・安心な保育施設の確保に努めてまいります。
なお、私立保育園についても整備費補助や小規模保育施設開設支援を行うことで、受け入れ可能人数を拡大し、保育を必要とする家庭に十分な支援を行ってまいります。

〈就学援助の拡充〉

経済的理由により就学が困難と認められる家庭に対して、家庭でのオンライン学習に係る通信費の支援を追加するとともに、給食費の支援額について、定額支給から保護者負担の実費相当分に引き上げます。これら就学援助の拡充により、子育て世帯の経済的負担を軽減してまいります。
以上、子育て支援関連事業について申し上げました。「妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援」をより一層充実させるべく取り組んでまいります。

重点施策4 都市基盤・社会資本の整備

〈地域開発の推進〉

人口減少を最小限に抑え、懸念される地域活力の縮小を克服するため、都市基盤の整備・社会資本の整備を行うことは、雇用や税収を確保し、生産年齢人口の増加や住民サービスの維持向上につなげる上で大変重要であると考えております。市の土地利用基本方針では、「新たな市街地を計画的に誘導する地域については、都市計画制度の適切な運用を図り、良好な市街地形成を進める。」としております。市の「都市計画マスタープラン」には、新たな市街地を計画的に誘導する地区として産業拠点や広域交流拠点を位置付けており、既に公民連携事業として「雨宮産業団地」や「八幡東産業団地」について民間事業者による開発が進んでおります。
屋代地区の上信越自動車道西側エリアについても、「都市計画マスタープラン」において産業拠点・広域交流拠点に位置付けられており、地権者や民間事業者による計画的な開発を誘導してまいりました。このほど、地権者で組織する「屋代地区土地区画整理組合設立準備会」から「まちづくり構想案」が示されたことから、市としても内容を精査し、今後、市民の皆さんや議会、関係団体の皆さんとも意見交換したいと考えております。

〈高速交通網の有効活用〉

市内では、地域開発の推進に伴い、2つの大規模な産業団地が動き始めております。雨宮産業団地14.4haは昨年8月に造成工事が完了し、大規模な物流倉庫や製造工場の建設工事が近々始まる予定であります。また、八幡東産業団地9.5haは今年の年末までに造成工事を完了する計画で、大型重機や非常用発電機、パッケージポンプなどの供給基地として、建設機械レンタルの最大手、アクティオホールディングスの日本最大級の統括工場が建設される予定であります。
今後、産業団地の全区画が操業を開始した場合、大型車両を含む多くの関係車両が更埴インターチェンジやその周辺道路に集中し、交通渋滞を招くことが懸念されることから、屋代地区のスマートインターチェンジ整備を進め、交通分散を図る必要があると考えております。
また、広域防災の観点からも、「八幡東産業団地」には災害時に大型重機等の機動力が、「雨宮産業団地」には物流倉庫の備蓄機能が期待されております。しかし、更埴インターチェンジ周辺は、ハザードマップ上、最大浸水深が2m以上と想定されており、令和元年東日本台風では更埴インターチェンジ周辺まで浸水しております。
このため、更埴インターチェンジ周辺浸水時の代替機能として、屋代地区のスマートインターチェンジ整備により、高速道路への新たな接続箇所を確保する必要があると考えております。現在、令和4年度の準備段階調査移行に向け、国やNEXCOと協議しており、早期事業化に向けて引き続き取り組んでまいります。

〈広域的道路網の整備〉

市は、既存の都市拠点や産業拠点、観光文化交流拠点と、雨宮・八幡東産業団地などの新たな産業拠点を結び、人やモノ、文化の流れを市内全域に波及・循環させる幹線道路の整備を国や県と分担し、連携しながら進めております。市内を南北に結ぶ「都市計画道路千曲線」が開通したことから、今後は東西の連携軸となる「都市計画道路一重山線」の整備を進めたいと考えております。
「都市計画道路一重山線」の早期全線開通を目指すには、国・県に依存するだけでなく、市も一定の覚悟、例えば「ここは市で整備するので、あそこは県でお願いしたい」というような姿勢を示した上で、国・県に強く働きかける必要があります。また、屋代地区スマートインターチェンジの早期事業化を目指す上でも、接続道路となる(仮称)市道一重山2号線の開通見通しを示す必要があります。
こうしたことから、令和元年度に、(仮称)市道一重山2号線整備を屋代地区の開発事業から切り離し、市道改良事業として進める方針を固めたものであります。
先ほども申し上げましたとおり、「屋代地区土地区画整理組合設立準備会」から「まちづくり構想案」が示され、周辺土地利用の方向性が確認できたため、現在、道路規格及び詳細設計の見直しを鋭意進め、用地測量及び補償調査についても発注手続きを進めております。このことから、令和4年度においては、用地測量及び補償調査が終了次第、地権者の皆さまに調査結果と今後の進め方をご説明して、合意形成に努めてまいります。
都市計画道路一重山線や屋代地区のスマートインターチェンジ等の社会資本の整備は、それが蓄積され、機能することによって、継続的かつ中長期的に得られる「ストック効果」が特に重要であると考えます。ストック効果には、水害等による災害リスクを低減する「安全・安心効果」、渋滞の解消や利便性・快適性を向上する「生活の質の向上効果」、移動時間の短縮や輸送コストの縮減化により経済活動を促進する「生産性向上効果」があります。
人口減少と地域活力縮小の克服に向けて、移住・定住促進にも資する社会資本の整備を着実に進め、ストック効果を最大限発揮できるよう取り組んでまいります。

重点施策5 自治体DX(デジタル技術による変革)の推進

〈マイナンバーカード〉

現在、国を挙げて普及促進に取り組んでいるマイナンバーカードは、行政手続のデジタル化・オンライン化を推進するうえで必要不可欠なデジタル社会の基盤となるものであることから、引き続きカードの普及に努めてまいります。

〈DXの推進〉

また、急速に進展するICT(情報通信技術)への対応や自治体DXを推進するため、令和3年度に策定した「ICT活用ビジョン・DX推進アクションプラン」に着実に取り組み、デジタル技術の活用による利用者中心の行政サービスの提供と行政事務の効率化・適正化を図ってまいります。

〈行政手続のオンライン化〉

国が示す方針に基づき、マイナンバーカードを用いて電子申請を可能にし、基幹系システムと連携する機能を構築することで、オンライン手続の受付体制を整備してまいります。
なお、今年度開設いたしました上山田戸倉出張所では、現在、住民票の写し、戸籍証明、印鑑登録証明書等の交付業務や各種相談、担当課への文書の取次ぎを行っておりますが、本年10月から新たに、出生や婚姻、死亡などの戸籍届出と、転出・転入などの住民異動届出事務を開始する予定で現在準備を進めております。
そこで、取扱事務の拡大に併せて、本庁舎と出張所間を庁内ネットワークによるリモートでつなぎ、本庁舎に来庁することなく、電話では伝わりにくい申請手続の方法などを本庁舎の担当職員と相談することができるテレビ会議システムを設置してまいります。

〈基幹系システムの標準化・共通化〉

基幹系システムの標準化・共通化につきましては、千曲市・塩尻市・中野市の「3市自治体クラウド」の共同利用について、令和4年度では、国からのシステムの標準仕様、移行手順などを注視し、情報を共有しながら、システム改修など移行に向けて、計画的に準備を進めてまいります。

〈先端技術の活用〉

先端技術の活用では、DXの推進に資するAI(アーティフィシャル・インテリジェンス、人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの新しい技術を用いたツールについて、県と市町村で構成する先端技術活用推進協議会のワーキングチームにおいて共同調達を検討してまいります。

〈住民参加型システム構築事業〉

コロナ禍では、特に住民と行政とのコミュニケーションや意見交換の機会が減少しています。こうした中で、スマートフォンやタブレット等を用いて、住民が正確な情報を確認、学習し、行政が一人ひとりの考え方や意識を把握・収集し、把握・収集した情報から回答者の思考を俯瞰的に眺め、議論や交流をし、政策形成につなげることができる新しい住民参加型システムを導入することで、コミュニケーションのDX化を推進してまいります。このシステムを継続的に活用することにより、地域課題の解決に市民が主体的に参画でき、行政も市民ニーズを的確に捉えた政策形成ができると考えております。

〈新ホームページ公開と情報発信の拡充〉

令和3年度から市ホームページのリニューアルに取り組んでおり、令和4年4月1日から、新ホームページを公開いたします。新ホームページやSNSを活用し、適時適切な情報提供に努めるとともに、多様化するニーズに応えるため、引き続き情報発信手段の拡充と充実、職員研修にも取り組んでまいります。

重点施策6 脱炭素社会の実現に向けた取り組み

2050年までの脱炭素社会の実現に向けた「改正地球温暖化対策推進法」が本年4月から施行されます。また、県では、2030年までの具体的な行動計画である「長野県ゼロカーボン戦略」が昨年6月に策定されました。
市では、かねてからゼロカーボン宣言の検討を進めておりましたが、本年2月14日に当市を含む長野地域連携中枢都市圏9市町村共同による「2050年ゼロカーボン宣言」を行い、脱炭素社会の実現を目指す旨を表明したところでございます。脱炭素化を圏域市町村の共通課題として捉え、共に宣言し、スクラムを組んで温暖化対策に取り組むことで、より効率的・効果的に推進できるものと考えております。
具体的な事業としては、本年度に引き続き、蓄電システム設置補助制度を実施いたします。売電から自家消費への転換、クリーンエネルギー利用の志向の広まりもあることから、この需要に応えるとともに太陽光発電の普及促進にもつながるものと考えております。また、長野地域連携中枢都市圏9市町村が連携して実施する脱炭素化事業についても、当市の実情に応じた有用な事業を検討してまいります。

重点施策7 地域の活性化・活力の創造

令和4年度から「第三次千曲市観光振興計画」がスタートいたします。新型コロナウイルス感染症の拡大により落ち込んだ観光需要を回復するため、お客様のニーズを的確に把握しながら、ウィズコロナ・アフターコロナにおける持続可能な観光振興に関する施策を順次進めてまいります。

〈日本遺産を活用した地域活性化〉

令和2年6月に文化庁から日本遺産に認定された「月の都 千曲」の認知度向上に向けた取組として、これまで宇宙飛行士の講演会開催やホームページでの情報発信のほか、日本遺産センターのグランドオープンなどによってPRをしてまいりました。
新年度は、市内外へのさらなる認知度向上に向けた講演会開催などの啓発事業を実施するほか、ガイドの養成を引き続き行うとともに、広域観光を視野に入れたモニターツアーの開催、「月の都 千曲」の映像作成など諸事業を展開し、アフターコロナを見据え、日本遺産を活用した地域活性化と観光振興を図ってまいります。

〈サイクルツーリズム・シェアサイクルの活用促進〉

今年度実施したシェアサイクルの社会実験につきましては、利用者から概ね好評をいただき、令和4年度においても上田市と連携して実施してまいります。サイクルポートの設置場所や自転車の台数を増やし、またバッテリーの容量を改善するなど利便性を高め、自転車の活用促進に取り組みます。また、新たに、太陽光パネルと蓄電池を組み合わせたサイクルポートの一部導入を予定しており、脱炭素社会の実現に向けた取組のひとつとしても進めてまいります。

〈誘客事業〉

令和4年4月3日から6月29日までの88日間、善光寺御開帳が開催されます。市では、御開帳の開催を観光誘客の一つの機会と捉え、「旅館ホテル等観光需要喚起事業」、「日帰りバスツアー」等の事業を展開し、相乗効果による誘客を図るため、一般社団法人信州千曲観光局と連携して取り組んでまいります。
なお、千曲市がメディア等に取り上げられることは、市の認知度向上と観光誘客のみならず、市民の誇りや愛着にも繋がることが期待されることから、シティプロモーションに取り組み、千曲市の持つ強みを内外にアピールしてまいります。

〈松田家資料整備〉

火災により焼損した松田家主屋等の修理・修復工事が完了したことから、令和4年度は、外構工事などを進め、令和5年3月には、郷土に伝わる貴重な古文書等を展示する博物館として一般公開する予定でございます。

〈更埴文化会館(信州の幸あんずホール)再開館〉

令和元年東日本台風災害からの災害復旧工事を終え、休館から約2年6か月の歳月を経て、4月3日に再開館いたします。多くの皆様のご理解とご支援により再開できる運びとなりましたことを感謝申し上げます。4月1日からは、更埴文化会館の愛称が「信州の幸(めぐみ) あんずホール」となります。台風被害からの復興記念イベントも実施し、文化芸術の拠点として、今まで以上に多くの皆様に親しまれ、利用していただける施設となるよう取り組んでまいります。

重点施策8 第三次千曲市総合計画の推進

今議会に上程いたします「第三次千曲市総合計画」は、計画期間を令和4年度から令和8年度までの5か年といたします。構成については、第二次千曲市総合計画までは「基本構想」「基本計画」「実施計画」の3層構成としておりましたが、地方自治法の一部改正を踏まえ、「令和元年東日本台風災害」や「新型コロナウイルス感染症」による社会や地域の急速な情勢変化に対応し、市民に分かりやすい計画とするため、「基本計画」と「実施計画」の2層構成としております。
また、まち・ひと・しごとの創生による人口減少の克服と地域経済の活性化を目的とし、地方創生を推進する「第2期千曲市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を統合した計画としております。策定に当たりましては、市民等多くの方にご参加いただきました「まちづくりワークショップ」や「お出かけシェアトーク」、「市民意識調査」や「パブリックコメント」を経て、多くの皆様からご意見を伺うとともに、「千曲市総合計画審議会」を設置し、公募委員9名を含む22名の市民参画をいただき、計8回の審議会と市の部課長との合同による各部会によって審議を進めてまいりました。
さらに、議会におかれましても、「総合計画及び創生戦略に関する特別委員会」を設置し、ご提言・ご助言をいただくなど、共に策定を進めていただいてまいりました。
計画案では、市の将来像を「人をてらす 人をはぐくむ 人がつながる 月の都~文化伝承創造都市・千曲~」と掲げ、月明かりのように誰にもやさしく「人をてらし」誰もが輝くまち、「人をはぐくむ」ことを大切にする魅力あるまちを形成し、「人がつながる」活力あるまちを目指すとともに、「月の都」を市のブランドイメージとして定着させ、今ある市内の様々な魅力と特色ある文化を次代に伝承し、新たな文化を創造する持続可能なまち「文化伝承創造都市」を目指すこととしております。
第三次千曲市総合計画は、「種をまき、それを育み、花を咲かせる」ための市政全般にわたる、最も基本となる総合的な計画であり、市民の安全・安心を第一に、千曲市の魅力や地域資源を活かし、市民の皆様や関係団体、そして議会の皆様とともに、この総合計画に掲げた諸施策を着実に実行したいと考えております。

4.その他の主な事業

〈国道18号バイパスと姨捨スマートインターチェンジ〉

「国道18号バイパス」は、近年の激甚化・頻発化する災害に対し、大規模災害時は現国道18号の代替路として重要な役割が期待されます。現在、稲荷山において地盤改良工事が進められておりますが、引き続き稲荷山から篠ノ井塩崎間の早期完成と、八幡から力石までの未事業化区間の早期事業化を積極的に国に働きかけてまいります。
「姨捨スマートインターチェンジ」は、コロナ禍においては多少利用台数の減少が見られますが、24時間運用以降、増加の傾向にあります。令和4年度は、次の段階となる「車種制限の撤廃」に向け、周辺アクセス道路の地質調査と解析調査を実施し、将来の「フル規格化」に向けた環境を着実に整えてまいります。今後も千曲市の社会基盤の整備として必要な道路整備を着実に行ってまいります。

〈通学路の危険箇所整備〉

昨年6月に発生した千葉県八街市における児童の交通事故被害を踏まえ、関係機関と通学路合同点検を実施し、危険箇所について令和3年度から通学路の交通安全対策事業を進めています。令和4年度も、スムーズ横断歩道の設置、歩道新設を含む道路改良工事を計画的かつ継続的に実施し、通学路の安全対策を強化してまいります。

〈戸倉駅のバリアフリー化〉

しなの鉄道戸倉駅にエレベーターを新設し、バリアフリー化を推進することで、高齢者・障がい者や観光客の利便性向上を図ります。本年度は、事業主体であるしなの鉄道株式会社が詳細設計を進めており、令和4年度はエレベーター設置工事に着手する予定です。令和5年4月の供用開始を目指し、引き続き、しなの鉄道と連携して取り組んでまいります。

〈長野電鉄屋代線跡地整備〉

当該事業につきましては、健康づくりや通学路としての利用を目的とした自転車・歩行者専用道路の整備にあたり、整備検討会議を重ね、要望など踏まえた設計案がまとまりました。倉科踏切から屋代中学校の先線までの約950m区間のうち、北側より工事に着手してまいります。

〈地域福祉、相談支援の充実〉

認知症や障がいなどによる判断能力の低下があっても、その人の権利が守られ、その人らしい生活が送れるよう成年後見制度の相談支援の拠点となる「中核機関」を千曲市社会福祉協議会内に本年4月に開設し、制度の利用支援を図ってまいります。
また、互いに支え合う地域共生社会の実現や介護予防につながる活動の取り組みの一助として、地域で運営されている「いきいきサロン」の活動に対する補助を千曲市社会福祉協議会と連携して行い、地域の交流の場を広げていくとともに、ボランティアの育成や支援を図ってまいります。
併せて、団塊の世代が75歳以上となる2025年(令和7年)を控え、介護や医療などの支援が必要となりやすい後期高齢者人口が増えていくことから、「地域包括支援センター」における高齢者の相談体制の充実を図ってまいります。

〈教育の充実〉

GIGAスクール構想の充実により、学習指導要領が目指す主体的・対話的で深い学びの実現に取り組んでまいります。また、児童生徒が、千曲市の自然、歴史、文化、伝統などについて学んだことを地域に発信する機会を設けることにより、あらためて地域の大切さについて考え、「ふるさと」に誇りと愛着を抱くことのできる教育を地域ぐるみで推進してまいります。
不登校児童生徒対策については、関係機関が連携して、中学校卒業後を見据えた、切れ目のない支援を行うよう努めてまいります。

〈スポーツ施設整備〉

安心して施設を利用していただくため、内外壁や天井、照明設備などの非構造部を主とした耐震化を進めてまいります。令和4年度は勤労者体育センターの耐震化工事に着手します。
また、総合運動公園構想につきましては、白鳥園周辺の整備・活性化や市民の健康増進、各種スポーツ施設の整備など、戸倉体育館周辺の活用方針を踏まえ、関係行政機関や市民参画による基本構想策定協議会において、調査、研究を進めております。新年度においては、市民アンケートなどを踏まえ、様々な課題や整備に向けての財源、官民連携(PPP/PFI)による整備手法の調査検討を整理しながら、策定協議会や個別検討部会において協議・検討をいただき、構想の策定を進めてまいります。

〈水道事業の広域化・広域連携〉

人口減少や水需要の減少、施設の老朽化、自然災害への対策など、水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。将来にわたり持続的かつ安定的な事業運営体制を構築するため、「上田長野地域水道事業広域化研究会」において広域化・広域連携について検討を重ねてまいります。安全で安定的な水道インフラを確実に将来世代に引き継ぐため、水道事業の基盤強化について、利用者の皆様の意見聴取に努め、ご理解とご協力を得ながら丁寧に検討してまいります。

〈公共施設及びインフラの更新・統廃合・長寿命化の推進〉

「公共施設等総合管理計画」に基づき、老朽化した公共施設の統廃合や、長寿命化に対応するため策定した「個別施設計画」を推進するための経費を令和4年度は約5億4千万円計上いたしました。今後も将来の財政的負担の軽減や平準化を図るため、長期的視点に立った計画的な公共施設の更新・統廃合・長寿命化を推進いたします。

5.組織機構の見直し

事業推進及び事務改善の見地から、戦略的にスピード感を持って社会の変化に的確かつ効率的に対応し、市民の期待に応えるため、新年度も更に組織機構を見直してまいります。
令和4年度における主な組織機構の見直しでございますが、まず、災害時の迅速かつ的確な初動対応と、事前の備えで危機管理能力を強化するため、総務部に「危機管理担当部長」を配置して、組織体制の強化を進め、安全・安心を目に見える形にしてまいります。
次に、人口減少の打開策となる移住定住と、ふるさと寄附金の増収を戦略的に進めるため、経済部に「ふるさと振興担当部長」を配置し、「ふるさと振興課」を新設し、移住定住係とふるさと納税係の2係を設けます。
なお、移住定住関連業務は観光交流課から、ふるさと振興課へと移管いたします。また、新たに「企業誘致に伴う従業員受入れ態勢の構築」にも取り組むことで、企業誘致と関連付けながら雇用の確保と移住定住の推進を図ってまいります。さらに、ふるさと納税についても、その業務を企画政策部総合政策課から移管し、返礼品の研究・開発や寄附金額の増収に向けて、更なる強化を図ってまいります。
また、観光交流課で担当していたシティプロモーション関連業務については、総務部秘書広報課に移管することで広報を一元化し、市内外への情報発信を強化してまいります。
健康福祉部では、収束が見通せない新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種や啓発といった予防対策を充実・強化させるため、健康福祉部に「保健予防担当部長」を配置いたします。新型コロナウイルス感染症対策に係る業務が来年度も引き続き必要であることから、「感染症対策室」を新設し、健康推進課で担当していた予防対策の啓発、ワクチン接種業務等を移管して業務分担の明確化と効率化を図ります。
企画政策部では、デジタル化を促進し市民の利便性向上を図るとともに、デジタル技術やAI等の活用により行政事務の効率化を図るため、情報政策課に「DX推進係」を新設いたします。
また、令和10年度に長野県で開催予定の国民スポーツ大会と全国障害者スポーツ大会において、千曲市では3競技が行われることから、教育部スポーツ振興課に「国民スポーツ大会準備係」を新設し、事前対応を行ってまいります。
以上が令和4年度の主な組織機構の見直しですが、今後も重点施策の実施や社会情勢の変化等に即応できるよう、組織改編を適宜行ってまいります。

6.結びに

さて、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、市民生活においても、また地域経済においても極めて厳しい状況が続いております。こうした先行きの見えない状況下だからこそ、「すべては市民のために」「すべての市民を笑顔にする」という思いを大切に、この難局を乗り越えていかなければなりません。それには、皆で知恵を出し、果敢に挑戦し、行動していくことが重要であると考えております。
常に想像力(イマジネーション)と創造力(クリエーション)といった二つの「ソウゾウ力」を持ちつつ、これらを身に付けるために、机上の空論に終わらせることなく、現場主義を実践するよう努めてまいります。
令和4年度は、千曲市のさらなる成長に向けて、種から大きく成長させる、花を咲かせる一年であると考えております。
以上、令和4年度の施政方針を申し上げました。各施策を着実に進め、笑顔あふれ、心躍るまちづくりの実現に向けて、議員各位及び市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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