民法等の一部改正法(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

更新日:2026年07月03日

父母の離婚後の子の養育に関する民法等の改正(共同親権等)について

令和6年(2024年)5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部改正法が成立し、令和8年(2026年)4月1日より施行されました。

この改正法により、こどもを養育する父母の責務を明確化するとともに親権(単独親権、共同親権)、養育費などに関するルールが見直されました。

改正法のポイント

1.親の責務に関するルールの明確化

父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されました。

こどもの人格の尊重

父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。こどもの意見に耳を傾け、こどもの人権を尊重しなければなりません。

こどもの扶養

父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責任を負います。この扶養の程度はこどもが親と同程度の生活を送れる水準でなければなりません。

父母間の人格尊重・協力義務

こどものためにお互いを尊重して協力しあうことが大切です。下記のようなことは、このルールに違反する場合があります(注意1)

  • 父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等
  • 別居親が同居親による日常的な看護に、不当に干渉すること
  • 父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること(注意2)
  • 父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由もなくその実施を拒むこと 

(注意1) 違反した場合、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。

(注意2) 暴力等や虐待から逃れることはルールに違反しません。

2.親権に関するルールの見直し

父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになりました。

親権の行使方法(共同親権の場合)

  • 父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されました。
  • 親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行使することができないときは、他方が行使します。
親権の単独行使
  • 日常の行為(食事や服装の決定、短期間の旅行、通常のワクチン接種や習い事等)
  • こどもの利益のため急迫の事情があるとき(DVや虐待からの避難、病気や怪我で緊急の治療が必要な場合等)
親権の共同行使
  • 日常の行為に当たらない行為(こどもの転居、進路に影響する進学先の決定、心身に重大な影響を与える医療行為の決定、財産管理等)
特定の事項に関する親権行使者の指定

父母が共同して行うべき特定の事項(急迫な事情があるとはいえないこどもの転居や財産管理等)について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、父母のどちらかを当該事項に係る親権行使者に指定し、単独で親権を行使することができます。

3.養育費の支払確保に向けた見直し

  • 養育費の取決めに基づく民事執行手続が容易になり、取決めの実効性が向上しました。
  • 法廷養育費の請求権が新設されました。
  • 養育費に関する裁判手続の利便性が向上しました。

養育費取決めの実効性の向上

養育費の支払いが滞った場合、これまでの民法では、養育費の支払いのための別居親に対する財産の差し押さえについて、公正証書、調停調書、審判書などの「債務名義」が必要でした。しかし、今回の改正により養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されたため、父母間で作成した文書に基づいて差し押さえの手続きを申し立てることができるようになりました。

法廷養育費

  • 今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、こども一人当たり月額2万円の法廷養育費を請求することができます。
  • 法廷養育費はあくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的なものです。父母の協議や家庭裁判所の手続きにより、各自の収入などを踏まえた適切な額の養育費を取り決めることが重要です。

裁判手続の利便性向上

  • 今回の改正では、養育費に関する裁判手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が当事者に対し収入情報の開示を命じることができることとしました。
  • 養育費を請求するための民事執行の手続きにおいては、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになりました。

4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

  • 家庭裁判所手続中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられました。
  • 婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されました。
  • 父母以外の親族(祖父母等)とこどもとの交流に関するルールが設けられました。

親子交流の試行的実施

家庭裁判所は、調停・審判において、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。その際、手続中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握することが望ましい場合に、家庭裁判所は当事者に親子交流の試行的実施を促します。

婚姻中別居の場合の親子交流

父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらない時は家庭裁判所の審判などで決定します。

父母以外の親族とこどもの交流

祖父母等とこどもとの間に親子関係に準ずるような密接な関係があった場合には、父母の離婚後も、交流を継続することがこどもの利益のため特に必要があるとき、家庭裁判所はこどもが父母以外の親族と交流するよう定めることができます。

5.財産分与に関するルールの見直し

  • 財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されました。
  • 財産分与において考慮すべき要素を明確化されました。
  • 財産分与に関する裁判手続の利便性が向上しました。

6.養子縁組に関するルールの見直し

  • 養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されました。
  • 養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されました。

養子縁組後の親権者

  • 未成年者のこどもが養子になった場合には、養親がそのこどもの親権者となり、実親は親権を失います。複数回の養子縁組がされた場合には、最後に養子縁組をした養親のみが親権者となります。
  • いわゆる連れ子養子の場合には、養親(再婚相手)とその配偶者である実親が親権者となります。この場合は実父母の離婚後に共同親権の定めをしていたとしても、他方の親権者は親権を失います。

養子縁組についての父母の意見調整の手続

15歳未満のこどもが養子縁組する際には、父母双方が親権者であるときにその意見対立を家庭裁判所が調整し、こどもの利益のために特に必要があるときに限り、父母の一方を養子縁組についての親権行使者に指定することができるようになりました。

7.参考

本改正に関する詳細やその他の見直しについて分かりやすく説明していますのでご覧ください。

父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました

こども家庭庁パンフレット「ひとり親家庭のためのみらい応援ガイド」

この記事に関するお問い合わせ先

こども未来課
〒387-8511
長野県千曲市杭瀬下二丁目1番地
電話番号:026-273-1111
お問い合わせフォーム